「and now. Gundam begins」機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
and now. Gundam begins
そして最後のナレーションは、『君は生き延びることが出来るか』 正に次回予告の最後のコピー。長い間かかったオリジンシリーズがここの完結である。最後迄鑑賞できるとは思えなかったので、感傷もひとしおだ。ブリティッシュ作戦(コロニー落とし)からのルウム開戦、南極会議への流れ、そしてレヴィルの演説へとの怒濤の流れが今作のストーリー展開である。この辺りはようやくテレビシリーズへの直に繋がる序章なので、面白さが膨らむ。白眉はレヴィル将軍の態度の豹変、否、元々騙すことに決めたのだろう。デギン・ザビとの会話の中で、その青さを嗅ぎ取った将軍の職業軍人としての誇りかどうかはわからない。かくして本来停まる筈だった戦争は、続行推進グループの思惑の通り、泥沼へと舵を切ることとなる。映画『チャーチル』の如く、悪の枢軸ナチスドイツと徹底抗戦を決断するチャーチルのそれとレヴィルを重ね合わせることは、短絡過ぎるかも知れないが・・・
いずれにせよ、戦争はこうして大人達の私利私欲を大義というオブラートでくるめて、始まってしまう。なにもしらない子供達はその都合の犠牲をモロに受けながらでだ。シャアの『私に跪け、神よ』の台詞の不遜さが、彼のダークヒーロー振りを決定的に印象付けるシーンである。それは狂った男なのか、それともニュータイプとしての責務の覚悟なのか、はたまたこの世の全てへの復讐心なのか、いずれにせよ、赤い翠星の本領発揮となる、シャアの成長物語、完である。スタッフロール中の地球への進行、ジャブローへの攻撃シーンは、テレビシリーズへの展開を繫げる興味深いシーンであった。ただ、木馬乗組員の紹介テロップは必要なかったのではと。それと、ティム・レイの子供への想いは、テレビシリーズの精神的に病んだ姿とのギャップを創り出すのに大事な場面であった。