「嘘と裏切りと生贄」人狼ゲーム ラヴァーズ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
嘘と裏切りと生贄
今回は「狐」や「狂人」は無くなり、新たに「キューピッド」1人と「恋人」2人という役柄が増えた。キューピッドに選ばれた者は開始直後にサブ役柄として恋人2名を指名する。ゲーム終了時に恋人が生き残っていれば恋人、キューピッドが勝利するというもの。ただし、恋人の片方が死亡すれば、もう一方も死んでしまうという残酷なものだ。恋人は村人側であっても人狼であってもかまわない上に、今回は村人と人狼二人が選ばれたために、勝利条件は人狼側が勝つしかないという論理ゲームとなった。
序盤の段階で役柄は大体わかっているこの作品。5作目ともなれば、徐々にゲームとの面白さがわかってくる。とにかく最初の処刑はゲームをしきりたがりのお喋りな奴が犠牲となるのも定番のようだ。そんな中で、いきなりリア恋人同士が同時に霊媒師だと名乗り、嘘と裏切りの重圧がかかってくる。さらに、キューピッドのひなた(溝口恵)は白血病で余命いくばくもないので賞金が欲しい。恋人に選ばれた人狼の高野蘭子(古畑)は父親の作った借金を返したいという執念がゲームを面白くさせる。
今作の特徴のもう一つは参加者の中に元運営(ゲームを外から楽しみ非合法な賭博の対象としてる奴ら)が賭けの負けがこんできて強制的に送り込まれた者がいること。また、終盤にはその元運営を追い詰め、全貌が見えてきたことにある。
義父の借金の原因がこの非合法賭博に参加していたためとわかり、ショックを受ける蘭子。5人が残った際に、役職がすべて把握できる立場にあったため、示し合わせたように村人の女の子を指名すれば、人狼側の勝利となるものの自身が「恋人」であるため、蘭子、キューピッドひなた、「恋人」一香(佐生)の3人勝ちになるはずだった。しかし、1億を3人で分けるより2人で分けたほうがいいという一香の誘いに乗り、裏切り行為に出たのだ。これで勝ちは蘭子、一香の二人で5千万ずつ。めでたしめでたし・・・と安心させておいて、蘭子はさらに一香を突き落として一人勝ちを選んだのだ。テレビに向かい、「1億円の参加費で私をそちら側に入れてください」「掛け金の代わりに生贄として義妹を差し出します」と叫ぶ。復讐に燃える女子高生を演じているのだ。
これでエンディングを迎えるのだが、もしそのゲームに賭博で参加している義父が大勝していたらどうなるのだろう?負けていても義父の実の娘を生贄にするだろうし、蘭子の申し出は受け入れられないかもしれない。どちらにしても虚しい結果になるはずだ。そのくらい論理的に考えろよ・・・
役職が全てわかっていても、嘘と裏切りの心理ゲームが楽しめる作品にはなっていた。5作目まで見てしまうと、人の命というものに麻痺してしまう運営側と同様、自分も怖くなってしまう・・・