「「下級労働者」の群像劇」午後8時の訪問者 Shunsuke Fushimiさんの映画レビュー(感想・評価)
「下級労働者」の群像劇
この映画のテーマはやはり「下級労働者」だ。だが、この作品がダルデンヌ兄弟の作品のうちで異色なものになっている。理由は二点だ。まず、一人ではなく複数の「下級労働者」に焦点を当てる点。次に、カメラが下級労働者の側ではない、非当事者である点だ。つまり、これらは今までのダルデンヌ兄弟の作品とはまったく真逆の構成になっている。
たしかに、探偵物チックになっている。しかし、あくまで見させるためであって、重要ではない。
ダルデンヌ兄弟は、自身のテーマを今までの作品でより深く考えてきた。そして、「それがより普遍的なことである」と伝えるために、群像劇という普遍性のある視野の広い映画にしたのではないか。病弱、移民、介護、そして彼らはみな下級労働者だ。問題はより複雑だし、多面的だと再認識させられる。
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