劇場公開日 2017年4月8日

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「きっと、一人ひとりの良心のあり方を問われます」午後8時の訪問者 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5きっと、一人ひとりの良心のあり方を問われます

2017年5月7日
iPhoneアプリから投稿

いまさら、良心ですか?と正面から問われるとちょっと口籠もってしまいそうですが、やはりそうです、と答えるしかないですね。
経済格差、差別、移民、テロ、自国第一主義、EU(設立の理念も含めた)崩壊の危機。どれもこれも個人のレベルで対処することの難しい大きな問題ですが、だからこそ今、個人で出来ることは何か、その行動基準は何か、ということを観るもの一人ひとりに問いかけてくる映画だと思いました。
死んだ者を蘇らせることは出来ないが、悼むこと、偲ぶことは出来る。それは名前を取り戻して、埋葬すること。それが8時5分に扉を開けなかったことの唯一の償い方。
例えば、難民のボートが沈んで、名前など誰もわからないままのたくさんの死者を悼み、偲ぶことは難しいですが、この街で生活してた誰某(名前)として埋葬されれば、遺族や少しでも関わりのあった方は、故人の生前のことに想いを馳せ、想像することで生きてる方の心の中に蘇らせることは出来ます。
ジェニーはきっとそう考え、それを実現させるために行動したのでしょう。良心とか、良心に基づく責任の取り方というものは、本人が決めることなので、他人が口を挟む余地はありません。だからこそ、ジェニーの行動には、我々からすると、何でそこまでするの?と思うようなことがあったのだと思います。
『たかが世界の終わり』に続き、このような(きっと興行的にはリスクのありそうな)作品作りを許容するフランス文化の奥深さにまたもガツンと打ちのめされました。

グレシャムの法則