「愛しい日常」パターソン 奥嶋ひろまささんの映画レビュー(感想・評価)
愛しい日常
噛み合ってない夫婦、変わらない日常。
なるほど、この映画はパターソンの日々のストレスが
終盤に爆発し、パターソンの町が火の海になる話だな!
と予想を立てて観てたのだけど、
月曜日、火曜日のバスの乗客の会話を見て、
ジャームッシュぽいなと、思って調べて観たら
監督はジム・ジャームッシュで、見方を変えました。
代わり映えのない日常のパターソン個人の話だなと。
同じルーティンで毎日を暮らす主人公。
何故か部屋の中をモノトーンにして行く空気の読めない妻。
バーで会う逆、バスの乗客。ブルドック。
これが主人公の全て。
なのだけど、地味な暮らしの中にも不思議な事がたくさん
起こる。
乗客の馬鹿な会話、仲の良かったカップルが別れたり、
やたら出て来る双子たち、バスの故障、
ランドリーのラッパー…
僕も、10年ほど日記を付けてたのだけど、
毎日同じ事の繰り返しばかり描いてる気がして、
何かした方が良いんじゃないか?と
その変わらない日々を愛せなくなってしまったけど、
パターソンはこの日常を愛してて、
代わり映えのない日常の素晴らしさに気付いてる
同じ日々が良いんだよ。と言ってくれてる気がして
とても嬉しかった。
これからどうやって生きようかと悩んでる時に、
全く違う場所から来た日本人と出会い、
詩を共通点として、ノートを貰い
また同じ日々を戻って来る。
不思議だけど、運命って、こういう出会いってあるよなと
感じる最高のエンディングだったと思います。
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