「なぜかサイコスリラーの空気をまとっている。」パターソン バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
なぜかサイコスリラーの空気をまとっている。
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会話が微妙に噛み合わない夫婦。誰にも読まれない詩を書き続ける主人公。夫の仕事中、家のどこかを白黒に塗り続けている妻。ペルシャ系の女性だが夢はカントリーシンガーという奇妙さ。判を押したように繰り返される日常。行く先々に現れる双子たち。
さすがにうがち過ぎだろうと思いながら、この夫婦が崩壊に向かうシュールなサイコスリラー的展開になるなのではないかと終始ハラハラしていた。作家と夫婦と双子のモチーフが重なると、ジャームッシュ版『シャイニング』か!?と考えるのも仕方ないではないか。
いや、もちろん前情報でほのぼのとした日常を描いているとは聞いてはいたが、「それって本当なのか?」と疑わせるに充分なほど、水面下に不穏なものを感じる映画なのだ。ハラハラした。恐ろしかった。そしてそんな不穏さも何食わぬ顔で日常で包んでしまうジャームッシュは、やはり一筋縄でいかない監督だと再認識した。
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