20センチュリー・ウーマンのレビュー・感想・評価
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母なる世紀。
世代や環境で好みが分かれそうな作品。監督の自伝的映画らしいが、
この監督もきっとフェミニストなんだろうな。個人的に自分の息子
が可愛くて仕方ないけど、女手で育てる方法が分からない過程とか、
他人を頼っておいてけっこう文句つけてるあたりに苦笑いしながら
自身の子育てを振り返る形となった。どんなに理想を掲げてみても、
息子は息子のやり方で生きていく。そりゃこんな境遇だから母親の
言うことをよく聞くいい子に育つだろうけどやがて自分の道を選ぶ。
彼女を助ける女性陣も最後には自分で自分の道を選ぶ。母親自身が
最もそれを成し遂げてきた女なんだから、周囲も彼女に感化される
でしょう。羨ましいけれど、ちょっと面倒くさい感じのするこんな
母親像は当時の日本にまだいない。特異なことは何も起こらないが、
少年の目を通して描かれる各年代の女性たちは魅力的。父性がほぼ
ないところが問題だけど(爆)こういう環境なのだから仕方ないよね。
しかしホントにヘビースモーカー、あれじゃ肺を遣られてしまうよ。
する事が限られた退屈な時代。だからこそ沢山話して触れ合って人の温も...
つまらないものを観た
ただひとこと、薄っぺらい。
時代性と、少し風変わりな親子関係、それを取り巻く個性的な人々をうまく絡めて描いているのだと思うが、どれをとってもぐっとくるものが一つもない。
結局なにを描きたかったのか、まるでピンとこない。
アーティスティックな映像表現も何だか浅はか。
少しも格好いいと思えず、むしろムカムカする。
70年代のパンクシーンは個人的に好きなはずだが、部屋で踊るシーンなどかっこいいどころか寒気すらする。
第一、学校とか仕事とか毎日の営みのようなものが見えなくてすごく不自然。それでそんな四六時中、ドラマティックなことが起きたり哲学的な会話ばかり繰り広げる?
エピローグで主人公が、自分の息子には母親がどんな人間であったかを語り尽くすことはできないだろう…的なセリフを語る。そりゃあそうでしょう、どうってことのない人物像だったもの。魅力的然と描いてはいたけれど。
そしてその結び方もやはり陳腐。
猫みたいなエル・ファニング
夜中に窓から入ってきて布団にもぐりこんで一緒に眠り、朝になると器用に梯子(?)を降りて帰ってゆく、不愛想な猫のようなエル・ファニング様がとてつもなく可愛い。
最後の、登場人物それぞれが語るエピローグが良かった。
過ぎ去ってしまったけれどかつてそこに確かにあった時間、というのが映画のなかに詰まっている感じ。
Shakedown 1979
母親+魅力的な2人の女性との関係の中でジェイミー少年が成長していく物語かと思いきや、突っ張って生きざるを得ない3人の女性がジェイミーを通じて変化していく話だった。
タイトル通り主人公はドロシア。激動の20センチュリーを生き抜いてきたが、自分は不幸せ、という観念に囚われている。生きるためにパートナーとの関係を捨てており、本当はパートナーシップを築きたかったが、気がついたら年老いてしまい、もうダメなのではと思い込んでいる。
ジュリーは母親に支配され、自分を生きることができない。アビーは子どもを産みづらくなるような運命を背負ってしまった。みな自分の問題を見ないよう、突っ張って生きている。強いようだが脆いと言える。
ジェイミーは少年だけど、なんか仏っぽい。エル・ファニングと毎晩一緒に寝ているのにエロいことを我慢できる15歳なんてあまり現実的ではない。ちょいと都合良すぎる存在だ。
まぁ、でもそんな仏の15歳と関わっていくうちに、彼の存在が鏡のように機能し、年上の女たちはパートナーシップの問題や、自身を受け入れられないなど、自分たちが目を背けていた問題に直面していく。ジュリーの母親はセラピストという設定だが、ジェイミーはまるでナチュラルボーンのセラピストのようだ。
物語上、ジェイミーとの関わりではっきりと変容した瞬間が描かれていたのは母親だけだったように思えた。しかし、エピローグでジュリーは母親と縁を切り、アビーも子どもを授かるなど(結果はさることながら、チャレンジしたのがすごいと思った)、自らを縛るものをブチ切って自分として生きている様子が語られており、エンディングはなかなかグッと来るものがあった。流石パンク映画だ。
母親は大恐慌時代の人とか言われていたけどずいぶんリベラルだし、登場人物たちは基本的に現代的な価値観を持っており、物語自体も普遍的なので、現代に置き換えても問題ない作品だと思う。しかし、1979年という設定は個人的にとても魅力的だった。
パンクがメインストリーム化する前の1979年のアメリカ西海岸のパンクの空気を感じられて良かった。
Black Flag ファンと Talking Heads ファンの対立とか、
(やはりアメリカのパンクはインテリ系元祖NYパンクとDIYアメリカンハードコアという大きな流れがあり、融合したり別れたりしながら進化したのかなぁ、ヘンリー・ロリンズ加入前でも地元西海岸だと Black Flag はすでに大物だったかとか、Ramones の影響は本国アメリカでは、1979年においては小さいのかなぁ、とかいろいろ想像)
アビーがやっぱりNYで洗礼を受けたとことか、ロンドンパンクの大物だと、ロンドン・コーリング前でありながらやはり The Clash が受け入れられていたのかなど、映像で観ると感銘を受ける。
パンク / ニューウェーブの物語なので、クラブに行くシーンも、1979年でありながらディスコじゃないのがいいね!
ニューウェーブ姉ちゃんのアビーがたいへん魅力的でした。思春期にあんなお姉ちゃんと出会っていたら、めちゃくちゃ影響受けるだろうな。
カーターの演説も素晴らしく説得力があり、1979年から現在に向けてのメッセージに思えてならなかったです。
昔のアルバム写真を見返した時のような。
画面から放つ色合いがとても優しくて爽やか。
毎日が天候に恵まれたような心地よい日差しと日常感が
最後まで一貫していて、観ていて気持ち良かった。
1979年 当時7歳。男子。
自身の記憶から薄らいでいく十代の頃の夏休みの出来事が、
思い出されてなんとなく懐かしい気持ちになり、
また当時の母親との関係をふと思い出したりもして。
昔のアルバム写真を見返した時のような気持ちになりました。
クルマが駆け抜けていく映像が印象的。
まるでタイムマシンのよう。
ドロシア
部屋で読書をしながらタバコをふかす姿がとても味わい深い。
一人の人間として対等に真剣に息子と向き合って話し合おうとする。
息子の急激な成長と変化に戸惑いながらも一生懸命な母親の姿を
自身の母親と重ねて観ていました。
ジュリー
見た目も価値観も自分よりもはるかに大人に感じる幼なじみの女の子。
こんな子いたなぁ…。
あれだけ仲良しだったのに次第に疎遠になっていく感じも。
アビー
年に一度あるかないかの疎遠な親戚の集まりで
こんな感じのお姉さん居た。
親戚中で一番浮いていてどこか都会的な雰囲気。唯一話せた仲。
そしてジェイミー
個性的な女性に囲まれて女性からたくさんのことを教えられて、考え、学び、成長していく姿が私には羨ましく見えました。今思い返すとあんなに母親や異性と向き合って話すことなんてなかったなぁ。
特に母親からあれこれ言われるたび鬱陶しくて仕方なかった。
反抗したりして。だけど本気で叱ってくれていたんだ。
そりゃ親は疲れるわ…
ジュリーにタバコの吸い方を教わるシーン。
あの年頃ってやっぱりカッコから入っていくんだね。大人の世界に。
女子からかっこいいタバコの吸い方を学ぶなんて一生忘れないだろう。私にも教えて欲しい…
で、今の自分はウィリアムかなーと。
監督のとても個人的な思い入れが詰まった作品ですね。
とても心の優しい人なんでしょう。きっと。
今度母親に会うときはいろんな話をしてみよう。
なんて思いました。
古き佳き、情熱
昔って、便利ではないけど自由だったなー、とシミジミ感じる作品。
生理をみんなで連呼とか、処女喪失時の詳細ブチまけたりとか、クリ◯◯スという単語を親にも言っちゃうとか、ホントみんなして自由ww
残念ながらコンディション調整をミスり、前半ウトウトしてしまったのでDVD出たらもう一回観ようかしら。
Black FlagもTalking Headsも両方好きだ
77年でPUNKは終わったって解釈もあってピストルズは1stのみ発表でJ・ロットンはPILでニュー・ウェイヴのジャンルにThe Clashは「London Calling」で純粋にロックンロールをジャズやレゲエにダブを取り入れていわゆる初期PUNKは基本的に77年度の1stアルバムな訳で!?
母親の青春時代はヒッピーでも無ければモータウンや50'sなオールディーズでも無いジャズの時代を謳歌した人でましてやPUNKにそれ以降のハードコア・パンクにニュー・ウェイヴは理解出来ず。
息子のT・アルバのTシャツ(デッキもアルバ)もナイスでBlack Flagの「NERVOUS BREAKDOWN」にTalking Headsを聴き比べる母親の場面は知識がある人には微笑ましく良い意味で笑い所。
年老いてからの子育てはそれなりの歳で産んで育てている母親とはまた違った関係性があるのだと思う反面、過保護なんだか放任主義なんだかイマイチ掴み辛い母親の考え方!?
ズングリムックリな鈍臭い印象だったG・ガーウィグがクールに格好良い女性像で闇を抱えながら演じ魅力炸裂だしE・ファニングも素敵な存在感。
B・クラダップの存在感は薄かったが「カッコーの巣の上で」のオチを話す場面は面白かった。
めんどくさい20世紀Women
♪携帯無え ネットも無え
wifiも全然飛んで無え
ビデオも無え ゲームも無え・・・♪
そんな1979年、とにかく直接話すしか無え
そう、めんどくさい登場人物によるめんどくさい
作品なのです。
話すしかないという事は、
失言も有る、言葉足らずも有る、
ケンカも有る。
が
炎上は無え、延焼も無え・・・
正面から息子と向き合おうとするドロシア、
じょうずな振る舞いはできないけどマトモなアビー、
大事な相手とはセックスができないジュリー。
21世紀風にいうとめんどくさいと、一刀両断、
20世紀風にいうと、みんなマトモで一生懸命。
マトモが大事で一生懸命が愛おしい、ジェイミーは解ってます。
♪I think of all the education that I've missed
But then my homework was never quite like this!
Ow! Got it bad
Got it bad
Got it bad
I'm hot for teacher!♪
俺ら、家さ出るだ!
この21世紀を巣食っている変な空気を壊してくれ!
チーフよ!
水飲み台を持ちあげてくれ!
oh Jimmy
素晴らしきクロニクル
一つの家に住む面々の人生が淡々と綴られた、平坦な物語、というかクロニクルというべきだろうか。
特筆すべき出来事も起こらないし、かなり入り組んでいて知的なところもあるので、大衆受けはしない気がした。
個人的には70年代後半から80年代前半を中心に描かれていただけでツボであり、トーキングヘッズを軸にパンクムーブメントも積極的に取り入れているところも感じて、かなり感傷的に観賞した。
何より、ファッションとかセットがとにかく魅力的で、まさに画面の中で生きたいと終始思いながら喜怒哀楽をくすぐられた。
ウーマン・リヴを強く感じさせるその視点は、不思議と現代的に感じてしまうわけで、同時に世界は決して発達し続けているわけではないと思ってしまう。
そして何より脚本が優れていると感じるわけで、演技演出というものを超越して、発せられる言葉そのもので涙や笑みが出てしまう。日常的な事柄を組み合わせているだけに過ぎないのに、交錯するクロニクルに感動してしまった。思わず、出来もしないのに、自分も自身にまつわるクロニクルを作りたいと思ってしまうまでに、心を動かされた。
たばこも酒もセックスもかなりの頻度で登場するけれど、高潔な映画だと感じてしまった。といっても、教育的とも思わないし、子供にも推奨できない。ただ、素晴らしい作品であることは間違いない。
3人の女性を見ているうちに、少年の心の中が見えてくる。
この映画を監督したマイク・ミルズと言えば思い出されるのはクリストファー・プラマーをオスカーに輝かせた「人生はビギナーズ」で、突然ゲイをカミングアウトした老いた父親というインパクトのある設定の登場人物があれど、その父親を描くことで逆に内向的な息子の心が見え、また息子を見つめていくと父親の愛が見える、という鏡写しみたいな描写を感じる映画で、個人的に興味深かった記憶がある。
そういう意味で、こちらの「20センチュリー・ウーマン」もまた、3人の女性(恐慌時代に生まれ1999年に亡くなる母親、癌と闘いつつパンクをこよなく愛する写真家の女性と、幼馴染の早熟な美少女)に加えて家の改装をしてくれている男性などという周辺の個性的な人々を丹念に描くことで、結果的に映画の中心にいる少年(多感なティーンエイジャー)の心理が繊細に浮かび上がる、ということをやっているようで、やっぱり面白い脚本作り。こういうのって、意味が分からないととことん分からない可能性もあるんだけど、一旦その意図が解せると、登場人物がそれぞれにパズルのピースを持ち寄って、物語を通じて少年の「こころ」を徐々に徐々にくっきりと形作っている様子が感じられてくるから不思議。
ストーリーとしても、アネット・ベニング、グレタ・ガーウィグ、エル・ファニングの3人3世代の女性たちそれぞれが担うそれぞれの世代の「20世紀」がそこにあって、それぞれが見てきた「20世紀」の先にある(映画の時間軸における)現在のアメリカが見えてくるような構成。それぞれの時代の栄枯盛衰を同時に見つめながら、それらが一本の道筋で繋がってすべてが20世紀だった、というのを感じるような。もっと言うと、そこから更に今、この作品を観ている21世紀の現代までの時間の流れをも感じるような、そんな物語だった。
とは言え、やっぱりこの映画は、60年代や70年代のアメリカを体感した人でないと分かりにくいなぁと、日本生まれ日本育ちの私はどうしても思った。きっと本国で生まれ育った(そしてできれば20世紀を生きた実感のある)人には、私には見えない背景や、私以上に感じるものがきっとこの映画にあるのだろうし、そういう意味でこの映画を本当に分かると思える日は来ないのかもしれないなぁと、少し映画を遠く感じながら眺めていた部分もあった。
男性監督が描いた物語のわりに随所で「女性の幻想」を感じないでもないのが気になったところではあるし(物分かりのいい男しか登場しないし)、やっぱり日本人には感覚として掴み切れない部分もあるかな?と思ったけれど、見終わってなんだか爽やかな気持ちになれたのは良かったと思う。
みんないい人たちで
70年代後半の空気
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