劇場公開日 2017年6月3日

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「「母はいてくれさえすればいい」」20センチュリー・ウーマン DEPO LABOさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「母はいてくれさえすればいい」

2020年6月2日
iPhoneアプリから投稿

・母が営む宿舎というシチュエーションに、いろんな生い立ちと性格の人物を放り込んだときに起きる出来事を、淡々と切り抜いた映画。
・だから次々と事件が巻き起こる。
・各人物像のキャラの濃さも相まって、その事件は予測不可能。
・ドキュメンタリーに限りなく近い。
・脚本の構造どうなってるんだ?
・ノンフィクションは本当におもしろい。
・観ていてなぜこんな個人的な内容の作品が作られるのかと思った。
・今の時代は人間関係の葛藤やどう生きるべきかということが、時代の共通課題になっているのではないか。
・昔は人間関係どころじゃないところもあったのかもしれない。それがジブリの鈴木さんがいうところの貧乏の克服というところだろう。
・個人的な人間関係をつぶさに紐解くと、観ている人には、ところどころ共感できる部分がある
・そこに教えがあり、ヒントがあり、郷愁がある
・そういうものをいまの時代のお客さんは求めているのではないか。価値が宿るのではないか。
・そして、女性主体の映画であることもマーケティング的にも影響が大きいのではないか。
・映画の中の70年代は、男性主体の社会であったのではないかと想像する。
・「いやいや女性たちのクセはすごかったし、すごい影響を受けたんやで」と、監督は当時の女性の力強さも描いている。
・その想いがタイトルに反映してる
・スマホが出ない。音楽はレコード。えりのでかいシャツ。
・女性が求めていることは、快楽ではない。自分が求められているという手がかりがほしい。
・子が母に、自分の面倒を見ることを諦めただろうと問う。母が私のようになってほしくないからだ、その為には他の人の助けが必要だと応える。それに子は、「母がいてくれさえすればいい」と言う。
・この子どもの言葉は、あらゆる子どもにとって共感できる言葉じゃないだろうか。
・めんどくさいから干渉しすぎないでくれともとれるし、あなたじゃないと代わりはいないという、どっちの言葉にもとれるダブルミーニングになっている。
・息子の母に対する複雑な感情を言い当てている。そこがすべての息子・娘が共感できるパンチラインになっている。

DEPO LABO