劇場公開日 2017年5月5日

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「画面も音楽もいいけど満足感はもうひとつ」カフェ・ソサエティ りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)

3.0画面も音楽もいいけど満足感はもうひとつ

2017年5月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

1935年生まれだから、もう80歳を超えているウディ・アレンであるが、創作意欲は留まるところを知らず、毎年1作ずつ製作している。
2014年『マジック・イン・ムーンライト』、2015年『教授のおかしな妄想殺人』と連続してエマ・ストーンを起用していたが、彼女がビッグネームになって都合がつかなかったのか、今回は登場せず。
さて、それがどうでたか・・・

1930年代、ニューヨークはブロンクス生まれのボビー(ジェシー・アイゼンバーグ)。
父親の仕事に嫌気がさして、ハリウッドにやって来た。
頼るは大物エージェントの叔父フィル・スターン(スティーヴ・カレル)。
ハリウッドに来てほぼひと月、お忙氏のフィルにはなかなか会えなかったが、ようやく彼のかばん持ちの仕事を得た。
そして、ひょんなことからフィルの秘書ヴォニー(ヴェロニカの愛称)(クリステン・スチュワート)と交際することになったが、彼女には彼氏がいて・・・

というハナシで、ジャンル分けすれば「ほろ苦いロマンティックコメディ」。
『アニー・ホール』『マンハッタン』以来お得意のジャンル。

ウディ・アレンと思しきナレーションで紡がれる物語は、名手ヴィットリオ・ストラーロの撮影も美しく、背景を彩る音楽も快調。
ボビーのやきもきぶりと、間あいだに挿入される彼の兄ベン(コリー・ストール)の無慈悲なギャングスターぶりとの対比も面白く、近作のなかでは良作の部類か、と思われた。

が、どうもひまひとつ快調に進んでいかない。
フィルに会えないボビーがたまたま買った娼婦との一話など、後のエピソードにからまず(彼女が主役のひとりかと思ったが)、冗長な感じ。
さらに、ボビーとヴォニーのふたりに軽妙さが乏しく、かなりシンネリムッツリになっちゃった。

ここは、やはりエマ・ストーンだったか・・・と思わざるを得ない。

恋にも夢にも破れて、ニューヨークに戻ったボビーは、兄ベンが経営する(といっても他人から無理やり奪ったのだが)ナイトクラブの支配人となって頭角を現していき、もうひとりのヴェロニカ(ブレイク・ライヴリー)と出逢い結婚する。
このヴェロニカとのエピソードが少なく、ヴォニーとの対比が活きてこず、ちょっとバランスに欠けたきらいもあり。

ということで、期待していた割には、満足感はもうひとつ。
うーむ、画面も音楽もいいのになぁ、と思うが、満足度は出演者のアンサンブルの好き嫌いによるとことが大きいのかもしれない。

りゃんひさ