わたしは、ダニエル・ブレイクのレビュー・感想・評価
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イングリッシュ・ペイシェント
ケン・ローチ監督の映画は未見だったが、新作公開に併せてのリバイバル上映とのことなので、この機会に見てみることに。
EU離脱の話題しか伝わってこない中で、福祉国家イギリスの現実が思いのほか厳しいことに瞠目する。フードバンクに並ぶ長蛇の列や、法のジレンマの中で社会からはじかれる理不尽さ。官僚機構の硬直したシステムは現状を反映したものなのだろうが、ほとんど落語の「ぜんざい公社」と変わらない。
“先進国”イギリスを描いた映画なのに、レバノンを舞台にした「存在のない子供たち」にも通底するものがある。海の向こうの話だけでなく、日本も母子家庭の世帯貧困率など見ると、他人事ではない。
正義ってなんだろう
心の奥のほうに、ずしんと届いてくる作品。
これはイギリスの話だけど、法律とか役所とか公務員とか、
本当はみんなが幸せに暮らすためにあるものなのに
本来の役割を果たさなくなってるっていうのは日本でも当てはまるんだろう。
作品テーマとしては「万引き家族」と似ていて、社会批判の色が強め。
せっかくなら誰かのためになる仕事をしよう。
隣人には手を差し伸べよう。
この2つは自分の心に留めて暮らすようにしようと思った。
役所や介護・福祉関係者に特に観て欲しい
国民から税金を取ることには熱心だが、援助に関してはなるべく出したがらないのはイギリスも日本も同じなんだと思った。主人公の隣人への愛・優しさ、母親の子供を守りたい気持ち。人生は上手く行くときばかりではない。失敗も病気も事故だって有るだろう。他人に頼らなければならなくなる時もある。歳をとって弱った時、最後に残された方は国に頼らなければ野垂死にだ。そうならないためにみんなずっと納税、貯金をしている。役所の心無い事務的な対応に身も心も折れそうになる。この映画は多くの人に観てもらいたい。何度見ても泣けます。決して他人事ではない。
社会正義はどこに?
こういった類の映画を見ると他のはもう見られないという心境に陥る。私の一番好みのタイプの映画だから。
今の英国は幾ら何でも貧しい国とは言えない。でも、こういう国でシステムの中で生きていきにくい、老人、子供を二人抱えているシングルマザー、障害者などに焦点をあて、社会福祉はいったいどう動いているのかと訴えた映画。
ダニエルブレイクはニューキャッスルの大工だった。コンピューターは使ったことがないし識字障害。人間の心を持った心臓病の老人の彼に社会のシステムの中を理解して動くのは困難だが、決まり、規則を押し付ける(?)社会。
そのかれが、シングルマザーのケイティーと子供達を助けている。
私も老人の一人だから彼の気持ちが痛いほどよくわかるし、メイが首相の
英国政府にメスを入れたこの映画はいまの日本社会にもすでにおきている。ローチはカンヌで賞を取った時の挨拶の言葉でも英国の社会福祉のシステムに問題を投げかけている。
【ケン・ローチ監督の慧眼は、官僚主義の愚かさをシニカルなユーモアを交えつつ激しく糾弾する。現代が抱える格差社会へケン・ローチ監督が怒りを叩きつけた作品でもある。】
ー 心臓発作のため、雇用支援手当で細々と生活するダニエルとシングルマザーのケイティが徐々に社会的弱者になっていく過程が観ていて辛い。
(冗談だろう?と思えてしまう、イギリス行政の仕組みや小役人たちの言動の数々に嫌悪感を覚える。)ー
・職業安定所の壁面に”I、Daniel Blake" と大きくスプレー缶で落書きし、警察に連行されるダニエルの姿は市井の弱者のささやかな抵抗であり、印象的なシーンであるが、根本的な解決には全くなっていない。
・イギリスの右傾化及びEU離脱の流れに歯止めがかからない背景は、セイフティーネットワークが破綻している事と、蔓延る官僚主義を露わに描くこの映画で良く分かった。
<現代日本でも、同様の状況が密やかに進行していないだろうか?と危惧せざるを得ない事に気付かされる作品。>
<2017年6月10日 劇場にて鑑賞>
■2021年12月23日 追記
- 忌まわしき過去-
・日本でも、”幸せロード”(高度経済成長時代に謳われた言葉:20代で結婚をし、子供を設け、自宅を購入し、数々の社会保護制度の元、貯蓄を蓄え、悠々とした老後を送る・・。)が、リーマンショック以降崩壊した事は、万民が知っている事である。
リーマンショック時に、人事に居た私は、物凄いプレッシャーと、当時の阿呆な担当役員の
”何で、こんなに期間従業員が居るんだ!”
という罵声を毎日浴びながら、雇い止め通告を期間従業員の方々に毎日夜遅くまで、製造課長たちと行っていた。(目の前で泣かれると、正直キツカッタ・・。)
更に正従業員の仕事も無くなり、可なりの方に関連会社に出向して頂いた。
気がおかしくなるかと思ったが、数名の先輩の言葉に助けられ、何とか乗り切った。
だが、当時雇い止めをした方々及び(採用も担当していたため)所謂、就職氷河期と言われる世代に当たってしまった方々に対しては、合わせる顔が無い。
言い訳に過ぎないが、それでも当時、私は
”会社の年齢構成を考えると、300名の技能職の採用は必要です!”と会議で必死に説明した。
だが、当時のお爺さん副社長たちは、”先が分からないから最少人数の採用にしよう・・”と他人事の様に言ったモノだ。私の上司も必死に粘ってくれたが、駄目だった・・。
で、現在その付けが来て、私は毎日生産要員確保に走り回っている。
先見の明を持たない保身的な者が、高い地位にあっては駄目だという事を痛感している。
政府も数年前から、就職氷河期に当たった方々への支援を始めているが、継続、発展してお願いしたい。
非正規労働者に頼って、利益を生み出す会社には、いつか必ず、付けが来る。
GAFA然り。日本の企業然り。
社会的弱者を生み出す社会に、未来はない。
”お前が言うな!”と言われる事は重々承知の上、私は日々、且つての過ちを修正すべく、日々を送っている。
お役所仕事
海外でも役所は日本と同じなんだなーと思いました。
マニュアルに従った仕事しかできず、個別対応ができない。
結局は、窓口の末端の人らに言ってもだめで、制度を根本から解決しないと意味がないんですよね。
病気により働けなくなったダニエルが、苦しい現実を見せられます。それを見ているのは辛い気分になりました。
レビュー
ケン・ローチ監督作。淡々と見せる構成になっており、より現実がリアルに感じられ、やるせなさがこみ上げる。様々な社会的な暗い部分が見えるが、全く希望がない訳でもない部分も含めて、かなり現実的な映画です。
明るい映画ではないですが、人生や社会を考え直すきっかけになり得る映画だと思います。
人は自分より弱い者は助ける
のだから
彼も強気ではなく一歩引いてみたら
変わっていたかもと思う。
彼は正しいけれど伝わらないなら
怒るばかりではきっとだめなんだ。
言ってることは正しいよ、
でもだめなんだよ。
不正なことする人がいるから
そういうマニュアルができててだめなんだよ。
なんでもネットでというのは
先日のソフトバンクのダウンを思い出した。
ネットが繋がらないシステムダウンを
ネットでお知らせしてますってやつ。
タイトルが全てを語る
簡潔ながらも魂のこもった作品に出会えた。
このタイトルが本作のメッセージの全てを語る。
I, Daniel Blake
nothing more, nothing less
無数のシステムが複雑に絡み合い、何をするにも簡単明快にはいかなくなってしまい、世の中の正義など失われてしまったように思われる現代に暮らす私たちが忘れていること。
自分は管理番号でもなければ顧客でもなく、Daniel Blakeという人間で、それ以上でもそれ以下でもない。これが人間に当然として備わっているはずの尊厳である。一人の人間として、大きな者には媚びず、困っている隣人は助ける。即物主義の社会においてはなぜこれが当然としてなされないのか?
AIを始め情報化社会に対してアイロニカルに接近しようとした作品は多数あるが、ここまで本質をクリティカルに突いた作品もないだろう。この一行のタイトルと100分の映像で全てを語る様は美しくもある。
初ケン・ローチ
噛み合わない会話に徒労感。ダニエルも堪え性がないというか…。
フードバンクのシーンは本当にいたたまれなくなる。
そしてゲスなわたしが「あ、これもしかして」と思った通りになる。
お役所側にもダニエル側にも、なんかこうもっと色々やりようがあると思うのに。
「ゆりかごから墓場まで」はもう過去のものなのね。
胸が締め付けられる作品
真面目で正直な人がホームレスになっていくのを見てきた、と役所の中で唯一ダニエル(=市民)の味方になってくれたアンの言葉は、私たちが生きる世の中にも通づる。
きちんと生きてきたダニエル。
だからこそ歯痒い。医者に止められても国からの手当てがでないなら、いっそのこと仕事しちゃえばいいのに!!
とはいえ、途中で倒れて依頼者に迷惑をかけるのもダニエルの真面目な人柄上できなかったんだろうなぁ。
ああ、歯痒い。
世の中の流れにフレキシブルに対応することができない人がいざって時に頼れる場所は隣人であり、国ではないのね、きっと。
国がやるべきことができてない、と憤慨するがその政治家を選んでるのも市民というこれまた歯痒い世の中…_:(´ཀ`」 ∠):
涙無しにはみられないバッドエンド
ケイティがフードバンクで缶詰を貪り食う姿に号泣
お役所仕事とは正にこの事。
公共福祉だからこそ厳格に運用されるべきで個人が融通をきかせてしまえば規則が形骸化してしまいシステムが崩壊するとはわかってはいるが。
不正受給の問題を取り上げないのを片手落ちという人がいるかも知れないが、あくまでこれはダニエルブレイクという一市民のお話と言う事で。
バッドエンドを予感させるクライマックスが切なすぎる。
たかが金のことで人としての尊厳を傷つけられるくらいなら、犯罪行為で稼いだ方がマシだと思ってしまう。
タイトルなし
法律を改正されるほどの大きな反響を呼んだホームレスの実態を描いたドキュメント演出を手がけ、イギリスの労働者階級や移民を描くことで定評を得ている ケン・ローチ監督の作品
.
お役所仕事の心ない対応に
少しでも親身になって対応してよと
はらが立つ
.
寄り添う心 優しさはいつでも必要
ダニエルに助けられる母子
優しさに触れ子供達が笑顔でいるシーンに救われます
それでこのタイトルなのね。
「お役所たらいまわし・あるある」「オペレーターにつながらない・あるある」。
病気をしたら仕事に就けないし、小さな子供がいて学歴も中途半端では、働きたくても働けない。それぞれの登場人物に、自分を置き換えて観ていました。やるせない。
「困ったときはお互い様」「助けてもらったら、今度は助ける番」。そんな当たり前なことが、とても特別に見え心温まる。
「俺の名前を聞け!」なダニエルの行動に拍手を送った一人です。
あの子供たちも、きっといつかダニエルの事を思い出して、行動してくれるでしょう。
お役所もAI化した方がいい
主人公は心臓が悪くて医者から仕事を止められている。
公的手当申請の審査では「働ける」と判断され、仕方なく求職活動をするが、企業側に迷惑をかけることに。
職安で知り合った可哀そうな母子家庭を助けるが、次第にそんな余裕はなくなる。
「手当が欲しいんじゃない、これまで働いて税金を納めてきたことに、もっと敬意を払ってくれてもいいんじゃないか!」
日本も全く同じ状況だと思う。
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