わたしは、ダニエル・ブレイクのレビュー・感想・評価
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仕事しろよ❗ e-Tax 推進月間ですか?
なんのためのお役所なのかねぇ。
トラップ地獄じゃないか。
ダニエルは決して短気ではない。
わたしの方がずっと短気だ。
だから損ばかりしている。と、自分でも思ってはいる。
「医療専門家」というエセ事務職員に腹が立つ。ダニエルの言うように主治医や検査技師の判定ならわかる。なぜあんたがそこに入り込んで邪魔すんだよ。チャイナが密輸したバスケットシューズを街頭で売る場面。客のなんで80ドルなんだに「中間業者を省いているからだ」と答える。
既得権益を持つ組織はなかなかスリムにならない。委託業者を前線に配置して、真ん中で血を吸ったダニは太るばかり。
クレーム処理の大男を二人も雇う役所。過剰防衛にならざるを得ない温床は自分たちが作っていることを自覚しているんだよ。
なんでもかんでも馬鹿の一つ覚えみたいにプロトコルだの指針だのって、分厚い業務マニュアル作らせて、実際の対処を遅らせる。彼らの敷いたレールから脱線したり、従わないと処罰をちらつかせて、また列の最後に並ばせる。前例ができるのを嫌がり、ほんの少しの融通も利かさない。
コロナが流行れば、緊急事態が解かれても業務時間短縮したまま。
税務署もe-Taxを活用しましょうって、かつてないぼどのものすごい本気度で宣伝している。確定申告会場でウツるのを嫌がっているるんじゃないかと、勘ぐってしまいまう。会場でe-Tax入力するの 時間かかるし、こっちだってやなんだよ❗
ダニエルの葬式で読まれる彼の手書きの履歴書?の最後は、欠かさず税金を払ってきたことを誇りに思っている一市民で、それ以上でも、それ以下でもないと結ばれる。
行政に対する皮肉の効いた、パンチのある映画だった。
デイブ・ジョーンズは大好きだ。「キーパー」「フィッシャーマンズソング」でも名脇役ぶりを発揮している。彼を主演にもってきたケン・ローチ監督もさすがだと思う。
これが最期か?人間の善良さが観たいなら
遠くない未来私にもあなたにも
心は錦
あるあるの連発
シナリオにすごい仕掛けがあるわけでもないし、展開も地味だがじわじわと心に訴えてくるものがる。格差社会や貧困は先進国共通の問題のようなところがあって、ここ日本も例外になく、その息苦しさが共有できてしまう。そしてその息苦しさを生む社会の仕組みまで似通っているという。
最近見たのだとフロリダプロジェクトとか。イギリスだろうがアメリカだろうが、同じような物語が成立してしまっている。
とはいえ、この作品のバランスがいいのはユーモアがあること。惨めったらしくない。
最初の会話だけでぐっと惹きつけられる。ああゆう無駄なやりとりもそうだし、高齢者がデジタルの壁にぶちあたる様など、まさにあるあるの連発なのではないだろうか。
ベタなテーマだけど考察がまともだし良い映画だと思う。
どこにでも存在する貧困、困窮が映し出されてる
人間としての尊厳
最初から最後まで、鑑賞している間ずっと胸が重苦しかった。
私自身がかつて住んだことのあるイギリスを舞台に、イギリスの福祉制度をこの映画を通して学んだ。
ダニエルがとても真面目で(口は悪いけど)、優しくて人情味のある人間であることが、観ていて余計に悲しくなった。
40年もの間、大工さんとして働き、妻の介助も経験し、税金もきちんと支払ってきた彼が、いざ、助けが必要な立場になった途端、踏んだり蹴ったりな対応を受ける。
確かに映画の中で描かれている役所の人たちは、日本となんら変わりない。マニュアルがあって、そのマニュアル通りに対応していく。
一人一人の生活困窮者の話をじっくり聞いてなんていられないし、イレギュラー対応しようもんなら上司に注意される。前例を作っては行けないからと。
彼らの仕事振りは特別悪でもなければ、こんなことせんやろーっと疑いたくなるほど誇張されているわけではない。ただ、マニュアル通り自分たちの仕事をこなしているだけなのである。
ただし、彼らにとってはただの仕事だろうが、福祉制度を必要とする人間にとっては生きるか死ぬかの大問題だということ。ここに大きな温度差があるなといつも思う。(もちろん、役所の人間の中には誠心誠意、業務に勤めている方がたくさんいると思うし、中には暴力的な言葉や態度でくる人間を対応しなければいけない苦労がある事も重々承知。)
私達はいつ何時、ダニエル・ブレイクになるか分からない。だからこそ、政治にもっと皆が興味を持ち、弱者が困っているときに助け合える世の中でいなくてはならないのだ。お金を持ってる人間の肥やしを増やすための政治なんて必要ない。
ダニエルが故人の尊厳を守る為に、最後の最後まで諦めない姿勢がかっこよかった。
ニューカッスルの訛りも久々で、すごく楽しめた。
労働者階級らしい会話や風景も懐かしく思えた。
政治家に観てほしい
効率性向上だけが社会の進歩ですか?
TV放送を録画して今年2度目の鑑賞。
前回心打たれたシーンの連続が
全く同じように私を感動に導く。
主に2家族の厳しい現状を淡々と描く
映画だが、何故か画面から目が離せない。
特に、母親が空腹から配給を待ちきれず
食料を貪り食ってしまうシーンや
子供達に食料を与えるために身を売るシーン
は涙なくしては正視できない。
栄光の大英帝国時代からは隔絶の感のある
現代のイギリスだが、
「リトル・ダンサー」など自らの格差社会の
厳しい現状を赤裸々に描く映画を制作し
提供出来るイギリスの文化と社会性に敬意
を表したい。
真面目に納税義務を果たしてきた主人公が、
その人生の晩年に、
多少のデフォルメはあったとしても、
複雑に張り巡らされた行政システムに翻弄
され命を絶たれるラストシーンが辛いが、
彼がその周囲に蒔いた希望の種
が感じられるからこそ、
何故か心地良く鑑賞を終えられる素晴らしい
作品だ。
それにしても、“効率向上=社会の進歩”
なのだろうか。
この映画を評価しない方の中には、
ITなど時代の技術への学びや対応に
努力しない人は社会に切り捨てられても
やむを得ないのでは、との論調がある。
しかし、
残念ながら人間は急には変われない、
特に高齢者は対応が難しい。
瞬時に変われるのは機械やITなどの
血の通わない世界だ。
効率だけを優先するのだったら
人間そのものを機械やロボットに
置き換えた方が良いわけで、
その結果がターミネーターの世界だろう。
そんな考え方で、
果たして人類に未来はあるのだろうか。
我々は改めて
“効率性は犠牲した上での人間社会の進歩”
というものを考えるべきでは?
このイギリスの格差社会の現実、
それは明日の日本を、
そして未来の人類を映す鏡なのかも知れない
と思った。
勉強になります
エンタメ系の作品ではないけど、世界では何が起きているのかを知り、社会を告発していく風刺作品は必要。
チョコレートドーナツとかグリーンブックとかスポットライトとか、世の中には自分が経験していないような差別や社会問題があって、その作品を見るまでは身につまされることがなかった事実を学べ、社会を動かしていく力のある作品をいくつも見てきました。
果たして、この作品の上映後はイギリスの役所の対応は良くなったんだろうか、福祉の手続きのあり方に一石を投じることができただろうか…。
大体、パソコン作業に支障がなくて、軽作業でもできる体力があるなら、そこまでお金に困ることはないのでは。
ダニエルの生真面目さ、愚直さ、頑固さが見ていてつらかった。
イライラする
■好きなところ
反面教師になる。
世の中のルールを知ろうとしない人には、何を言っても頭に入らない。質問する側も、伝える言葉が多分見つからない。だからこうなると思う。
■嫌いなところ
その、質問する、申し立てをする側の人間の、上手くゆかないという演出が、今一つ伝わってこなかった。
あと、エンターテイメントではなかった。泣かせるか笑わせるかしてほしかった。
■ほか
本来なら、ダニエルの場合は、役所の総合窓口に出向き、その上で生活保護申請が適正となるのでは。さすがにそこは手当てされるはず。
役所の前例踏襲主義や、たらい回しは問題。
時代がガラケー時代の話と考えられるので、今は昔の話といったところか。今もこれなら大炎上間違いなし。
ダニエル
ダニエルの作った木製の魚のモビールが素敵だった。根っからのアナログ人間のダニエル。対して公的機関の人間はロボットのように冷たい。社会のシステムから炙れてしまう正直な人。とても現実的で、結末も悲しい。でもこの映画が優しいのは、ダニエルの作ったあのモビールにあらわれてる。
ダニエル役の方はコメディアンだったのね。だから悲しい物語の中にユーモアがある。ケン・ローチ監督は流石。
印象に残ったもの、こと
木製の魚のモビール
手書きの履歴書
フードバンク
カセットテープ
壁に書いた I,Daniel Blake
大工道具
パソコンのカーソル、フリーズ
人間の尊厳とはなにか
彼がずっと手放さなかった奥さんの写真と大工道具とモビール
彼が天国で奥さんと会えていますように。
魚が泳ぐ海で。
頭をガツンと殴られたような衝撃
ラストシーンで声をあげて泣いてしまいました。
映画を観て嗚咽するなんて初めてのことかもしれません。
イギリスが舞台ですが、公務員のお役所的な応対や窓口のたらい回し、本当に必要な人に支援が届かないという状況は、イギリスだけでなく日本や世界中で日々起きています。
イギリスは、貴族階級と労働者階級がいまだ厳然と分かれていると聞きましたが、日本も格差が開き、同じような状況になりつつあります。
私の親世代が現役時代は、高度経済成長期で、たとえ資産がなくても真面目に働けば家族を養いマイホームが買え、定年後も年金で生活していけました。
今や非正規雇用が増え、私を含め労働力を売って生活する「労働者階級」は、一度働けなくなったり、高齢になったり、ひとり親になったりしたら、立ち往生してしまいます。
ケイティに他の手段はなかったのかと思ってしまいますが、日本でだって、しかるべき知識や助けてくれる人がいなければ、孤立して公的支援を受けずになんとかしようとして悲しい結果になる人が少なくないのです。
テーマは深刻だし、静かな映画ですが、よくできたエピソードやユーモア、皮肉をまじえ、ときに不意を突くような出来事が起こり、最後までまったく飽きませんでした。
ケン・ローチ監督は御年84歳だとか、映画の制作時も80歳を越えていたそうで、社会の不正義への静かな怒り、衰えない制作意欲に賞賛の拍手を送りたいです。
映画祭に参加していたら、間違いなく長い長いスタンディングオベーションを送っていたでしょう!
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