わたしは、ダニエル・ブレイクのレビュー・感想・評価
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ケン・ローチの現代劇は──
難しいところも多いし、つらいところも多い、しかもイギリス社会の深層をついたものがほとんど──それがケン・ローチの現代社会を描いた映画。
英国のことは深く知らないし行ったこともない、けれど、なぜか無条件に受け入れることが出来る。それは駄作でも受け入れるということではなく、彼の作品への信頼がそういった妄信を生んでいると勝手に分析している。
ケン・ローチの映画を見ると、まず怒りという感情が先立つ。この映画もその例に漏れず、かなりの憤怒を持って画面を凝視していた。往々にして怒るだけ怒って最後は全く泣けも笑えもしないという結末が多いケン・ローチ作品…しかし、この作品は珍しいくらいに涙が溢れ出てしまった。
固すぎるし、最後の演出はやや過剰かなとも思ったけれど、それ故の涙だったような気がするし、何よりも今までにないくらいの直接的な主張を感じた。だから分かりやすく、より身近な問題としてこの作品を捉えることが出来る気がする。
蛇足だが、制作やスポンサーなどの扉が少ない始まりと、非常にコンパクトだったエンドロールなどにも好感を持った。上映前の予告なども一切無かったし──。何気にこういったところにも作家の意志を感じるところである。
よかった
WBCの日本戦があったのだが、ネットで席を確保していたため後ろ髪を引かれる思いで新宿武蔵野館へ…
サービスデイということもあり年配の方中心にほぼ満席。
地味な話を最初から最後まで飽きさせず観せる監督の力量が素晴らしい。
ケン・ローチ監督の作品は初めて観たが過去作もぜひ観てみたい。
日本負けたの。
小久保じゃ、ねぇ…
何かあったら言ってくれよ 本当に
観終わった直後は「救いのないドキュメンタリー」映画にする意味あるか?が正直な感想 政府が杓子定規で弱者に辛く当たるなんて事実を今更訴えるべきことか? 何か釈然としなかった
が、後でちょっと気づいた
うまくいっている、いきそうな描写は家族がダニエルを頼ったり最後にダニエルがケイティを頼ったりした時
逆に作業場の旦那やチャイナが何かあったら言ってくれよと言っても何も言わずケースワーカーが手助けしようとしても心を閉ざして悪い方向に(尊厳を傷つけられて)行ってしまう
何もできないかもしれないけど心を開き、頼り、頼られることで尊厳が保たれる
これが監督のメッセージだったんじゃないかと…
思いたい!w
日本も他人事でない気が...
テーマは社会派だけど、主人公のやさしさゆえか、ヒューマンドラマとしてもよい出来。イギリスの話だけど、日本も他人事でない気がします。自己責任論と効率化の果ての福祉はここまで非人間的になるのかといろいろと考えさせれます。
わりと地味に?実は深い?と…
きっかけとして、ケン・ローチ監督が引退を撤回し,改めてメガホンを撮ったという事だったので、此れは観んとあかんのじゃないの?なんて勝手な義務感?にて鑑賞。
最初は,わりと地味な叔父ちゃん?が、心臓病で働けない!と医者に止められ,国の援助を受けられないそのシステムと、幼い子供2人抱えた,若いシングルマザーの貧しさから来る行動の惨さは、かなりに強烈だった。
映画の力
引退撤回のケン・ローチ?
映画の力はやはり凄いね。
どこの国にも人にも非難をするつもりはないけれど、先ず制度では無く、「人」であってほしいと思う。
そして、人々が自分の立場に感謝して他者を慮る人間であってほしいと願わずにはいられない作品でした。
前列のおとっつぁんの頭が大きくて全く字幕が見えませんでしたが、英語の勉強だと思い、ひたすら耳を澄まして声だけ聞いていました(笑)
お役所仕事やな
ダニエルグレィグではなくブレィクやな。
純粋に困ってる人をなんで優しく助けないんかな?
求職活動できないって医者から言われてるのに、あなた働けるからって それと万引きを利用して風俗に働かせる警備員の小遣い稼ぎ この世は神はいないのか?
朝9時は貧者の●●
予告編を観て良さそうと判断して、ド田舎からノコノコ出かけた新宿武蔵野館の初回は満席でした。ケン・ローチ監督の作品は実は初めて。
高級車が駐車されている路上を貧しい身なりの主人公達が歩くだけで心に重く響くものがありました。イギリスって「ゆりかごから墓場まで」じゃなかったの?とイメージが覆される出来事が次々に。矛盾しているよなあと主人公達に共感しているうちに身内の一人になったように。
だから最後は、堪えきれませんでしたね。
尊厳
心臓疾患で医者からも止められ働けない59歳の大工。それなのに働ける、就職活動をしてその手当てを貰えと告げる役所。真面目だからこそ許せない役所の体制と不条理に腹を立てながらも従うが…又、同じく保護を受けられず困窮するシングルマザーと2人の子供、ちょい悪だけど優しい若い隣人、その他優しい市民達と助け合いながらも生きて行こうとする姿をみせるストーリー。
映画としてわかりやすくシンプルな展開で、もぐら叩きみたいに同じ様なことの繰り返しだけど最後のワンシーンを訴える為の布石ということで。
一市民。それ以上でも、それ以下でもない
英国ニューカッスル在住のダニエル・ブレイク(デイヴ・ジョーンズ)は60歳間近の大工。
ここのところ心臓が不調で、医師から就業を禁じられている。
そのため、政府から手当をもらっているが、手当更新の際に面談した職員の判断で就労可能と判断され、手当を打ち切られてしまう。
不服申し立てをジョブセンターを訪れるが、職員はけんもほろろ、そういう仕組みだの一点張り。
そんな時、これまた手当の申請で職員から追い出されているふたりの子ども連れの女性ケイティ(ヘイリー・スクワイアーズ)と知り合う。
シングルマザーの彼女ら一家に共感と同情を覚えたダニエルは、一家を助けようとするが、彼自身も収入の途はない・・・
といったところから始まる物語で、その後、社会システムに翻弄されるダニエルの姿が描かれていく。
医者から就労が禁じられているにもかかわらず、生活費を得る途は求職活動手当しかないと知らされ、意に添わぬ活動をせざるを得ないダニエルの心の底には、自身の人間としての尊厳とは何か、という疑問が湧き出てくる。
活動家・アクティヴィストと言われるケン・ローチ監督らしい作品であるが、デビュー当初に撮っていた冷徹ともいえるような厳しさは薄らいでいる。
役所の職員たちは、システムがどうとか、手続きはどうとか、とにかく四角四面の規則を振りかざし、非人間的に描かれる。
まぁ、なかにはダニエルに同情し、心配して、生きていくためには、求職活動手当を得るしかないのだから、ここは折れて・・・と声をかけてくれる女性職員もいるが。
それに対して、ダニエルの隣人たちは、おしなべて優しい。
シングルマザーのケイティ一家もそうだし、中国から密輸でスポーツシューズを手に入れて安く売ろうとしている隣人の黒人青年もそうだ。
唯一、求職活動を行っているダニエルを雇おうとする園芸業のボスが、ダニエルの活動が似非だと知って激怒するが、これは正論であり、概ね、政府側の人々と庶民とでわかりやすく図式化されているのは、ケン・ローチ監督も年齢を重ねてきたからであろうか。
そこいらあたりは、わかりやすいが、物足りない。
映画はその後、予想どおりともいえる結末を迎えるが、最後の最後にケイティが告げるダニエルの言葉、これがこの映画でケン・ローチが言いたかったことだろう。
「わたしは、ダニエル・ブレイク。一市民。それ以上でも、それ以下でもない」
ひとりの市民として認めてほしい。
尊厳ある、ひとりの人間なのだから。
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