劇場公開日 2017年3月18日

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「ダニエルにあまり共感できなかった」わたしは、ダニエル・ブレイク 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ダニエルにあまり共感できなかった

2024年6月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 イギリスの貧困層や失業者、そして冷ややかな役所の対応の実態を、ドキュメンタリータッチで描いている映画。そのためリアリティがあった点は良かった。しかしその分ストーリーは単調な印象で、盛り上がりに欠けて面白くない。

 ストーリーは主人公ダニエル・ブレイクが、失業の苦しさにも負けず、人との絆を大切にしながら生きていくというものだが、彼にもあまり共感できなかった。
 医療給付を受けられなかったのは冒頭の反抗的な態度が原因だろう。処罰として失業保険を停止されたのも、彼が確かに求職活動を行ったことを証明するための努力を怠った結果そうなっている。窓口の人間が言うように、履歴書の講座で学んだ内容を忠実に実行するべきだった。また、インターネットを覚える努力をして求職サイトを活用することで、求職活動の証拠を残すこともできただろう。老人にそれらの努力を求めるのが酷だという話かもしれないが、だとしても十分な努力をしたと思えない。

 さらに、ダニエルがシングルマザーのケイティに風俗を辞めるよう忠告したのも、正直余計なお世話としか思えない。ケイティには子供の生活がかかっているのだし、辞めたところでダニエルが生活を保障してくれる訳でも無いだろう。

アマゾンプライムで高評価だったので期待したが、期待したほどでは無かった。

根岸 圭一