「偏屈だが人情はある。」わたしは、ダニエル・ブレイク ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
偏屈だが人情はある。
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以前イーストウッド卿が撮った作品のジジイ(ゴメンね)にも
やや通じるところがあるな…なんて最初のやり取りで思った。
偏屈親父とは言わないまでも正義感が強く真正直なダニエル、
それは違うだろう、酷い扱いだと思ったらすぐに断固猛抗議。
弱者とはいえ、意見をハッキリと伝えるので周囲の方が戦々
恐々となり面倒だと放棄する。きちんと血税を払って働いて
きたのに、いざ自分が困ったときには何もしてもらえない…
それどころか、正しい申請をしているはずなのに却下される。
名匠が引退を撤回してまで撮ったテーマだが日本にも通じる。
背景には年金削減や受給詐欺対策もあるのだろうが、だから
といって偏屈だったり遅刻したり逆らってくる扱い難い人間
に処罰まで与えるなんてすごい規定だな。役所側もルールに
従い杓子定規な対応しかできないので根本的解決方法がない。
オンラインの普及も一部の闊達なお年寄り以外はダニエルと
同じように訳の分からない世界。未だにパソコンも使えない
高齢者はそこからお勉強しないと申請さえもできないご時世。
ケン・ローチの怒りはおそらく頂点に達しただろうが、それ
を声高に叫ばず、あくまでスプレー缶で壁に落書きする姿勢
がいかにも彼らしく、最後に読み上げられる声明でタイトル
の意味がしみじみと伝わる。いい作品ではあるけれど多くの
問題点が挙げられたままで終わっていることに難題を抱える。
(真っ当に生きられない世の中でどんどん小賢しくなるのかも)
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