ブラインド・マッサージのレビュー・感想・評価
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二つの世界なのか一つの世界なのか
見えないひとと見える人の世界
ブラインドマッサージの治療院の中の活気賑わい守られて理解し合える世界の中でブラインドの人たちは一人一人個性的で自分の世界を持ち他者と接点をもとうとする。
もう一つのマッサージ、ここは見える人たちが社会から見えないように暮らしているところり
この頃の中国は、バブル景気だったのか、それなりにみんなにチャンスがあったのかなと思う。
美しい映像、煌めく雨の音、匂いきな臭い匂いとか、なんの匂いかわからないから嗅ぐ匂いとか、足りないところも補う五感を持って生きる知る受け入れ拒絶する様が潔く、役者さんたちの個性、力強さ。小馬くんのかっこよさ、、、、
ブタの角煮よりきれい・・・?
序盤、キャスト、スタッフの名前を音読するという珍しいところもいいし、音を非常に大切にした作品でした。若い盲人たちが大勢いる南京のマッサージ院にシャー院長を頼ってワンとコンが駆け落ち同然で雇ってもらい、恋人同士の毒気に当てられたかのようにそれぞれの想いが錯綜する群像劇といったところか。
メインとなるのが幼少期に事故で母親と目を失ったシャオマー。徐々に視力は回復すると周囲から嘘をつかれたショックで自殺未遂も起こしたシャオマー。男性では彼が一番若かったのだろうか、性欲に勝てない若気の至りも感じられる。風俗通いしていたイーグァンが彼を馴染みの店に案内するも、マンという女性に対しシャオマーの本気度は急上昇・・・
ワンはせっかく恋人と働き口を見つけたというのに、弟の借金問題で苦しむ。親からは全盲女性と結婚するのは許さない!と言われていたけど、弟の不始末にも対応できない親なんて信用できませんよね・・・と、この辺りが雑だった。
ドゥ・ホンは周りから“美人”だと言われ続けているが、彼女にとっては美人だとしても関係のない話。シャー院長が惚れていたようだけど、ドゥ・ホンは誰が好きなのかよくわからないのも難点。
恋は盲目。個人的には風俗店のマンのエピソードが一番良かった。そして、終盤の怒涛の展開にも皆の心が伝わってくる気がしたのです。それにしても停電騒ぎってのが、いまいち腑に落ちない。盲人だったら関係ないような気もするのだが・・・
タイトルなし
運命の前では
盲人も健常者と同様に迷信的になる
運命は目に見えないものなので
盲人の方が運命の本質をよく知る
見えるものが必ずしも真実ではなく
見えないものにこそ真実がある
映画の中で全盲の女性が言う
「目には種類があるの。光が見える目と、闇が見える目が――」
.
健常者と同じものは見えなくても
彼らだけに見えているものがある。
その闇は深いかもしれないけど
心の中の光は見える
彼らの気持ちになって
この世界に入り込んでみる
深いものが見えてきた気がする
一歩踏み込める映像
視覚以外から得られる情報で構築したような映像が人間模様を外から観ているのではなく一歩踏み込んだ内側で観ている感覚にさせ、彼らが美や愛を強く求める理由や人の普遍的な感情を語ってくる。
ヘビーで痛い映画だけど鑑賞後は希望の光の心地よさがほんのり。良かったです。
ロウ・イエ監督のテーマ
ロウ・イエ監督作品としては「ふたりの人魚」のような、終始緊迫した画面に釘付けとなる作品。
盲人の苦しみは、目が見えないということからくる不便や恐怖だけではないということを強く感じさせる。
性というものの問題が、生活や秩序に大きな影を落とすという思想はこの人の映画に一貫している。
ゴツゴツとした手触り
あんまり婁燁っぽくないカメラだけど、中盤以降のぼやけ撮影は出来云々以前に異物感が凄くてそれだけでも一見の価値あり。油断してるとヨハン・ヨハンソン(なぜ中国映画に!?)の音楽が畳み掛けてくる。
圧巻
目が見えようが見えまいが、人は恋をする。
映画を観ていると「盲人同士の恋愛は心と言っているが、仮に目が見えるようになった場合、本当にそう言えるの?」と思うようになる。
ラストシーンでこの疑問が少し解消された。
純粋で、真っ直ぐで、時に迷ったり間違ったりするその姿に胸がえぐられる。
皆一生懸命生きている。
見えていないのに空気を察し的確なアドバイスをするドゥホンが心からかっこよかった。
そして全員の演技がとても胸を打つ。
光か闇か。私にはどちらが見えるんだろう。
【余談】
映画を観ていて、一瞬日本人俳優に見えたり見えなかったりした人たち。
・シャオマーは高橋一生と坂口健太郎を混ぜた感じ(たまに星野源)
・ワンは西島秀俊と堺雅人を混ぜた感じ
・ドゥホンはZARD坂井泉水
・コンが遠目一瞬岸井ゆきの
・マンの後半が一瞬長澤まさみ
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