「何でもさらけ出せば良いというものじゃあ、ない!」おとなの事情 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
何でもさらけ出せば良いというものじゃあ、ない!
WOWOWの放送で観賞。
日本版リメイクは観ていない。
3組の夫婦と1人の男が、食卓を囲んで延々と仲間内の会話をしている。
はてさて、どうなることかと思っていると、一人が、みんなスマホをテーブルに置いて着信を公開しようと言い出す。ここから映画は一気に面白くなる。
中年の男女7人、それぞれに言えない事情を抱えていて当たり前なのだ。
友人が浮気をしていることを知ったら、それを奥方に知らせるべきかどうか、そんな話題から発展するところも面白い。
男4人はどうやら学生時代からの友人のようだ。
サッカー仲間からの誘いのメールが1人を除いて一斉に届く。この辺りは序盤のご愛嬌だ。
一人の男が、決まった時間に女から画像付きのメールが来るからと言って、唯一独身の男にスマホの交換を頼み込む。同じ機種を使っているからだ。この作戦がこのゲームに波乱を呼ぶことになる。
独身男は着信音をカエルの鳴き声にしているという演出が細かい。それを一旦みんなに知られたら、交換したスマホを元に戻せなくなる。
浮き上がるのは浮気のような単純なものだけではない。
夫婦間では隠しているのに友人たちは知っていたこと、長年の親友にも打ち明けられなかった秘密、真相が分からないままののことも。
悪ふざけのゲームはお互いに疑心暗鬼を招き始め、徐々に空気は重くなっていく。
16歳の娘が母親に相談できない彼氏とのことを父親に相談してきたのを全員で聞いたりもするのだ。
親友家族が遂にバラバラに関係を崩壊させてエンディングを迎えるが、この終幕が本当に天晴れだ。
全編を見続けてこそ、この結末にたどり着ける。
お見事。
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