劇場公開日 2017年3月18日

  • 予告編を見る

「スマホ信仰をスタイリッシュに警告。こわ。」おとなの事情 きりんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0スマホ信仰をスタイリッシュに警告。こわ。

2020年11月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1.【スマホの襲来】
知人が、
奥さんのスマホを勝手にいじったんですよ、
「そういえば俺の出勤中に嫁はどこで何をしてるんだろうなー」って素朴な好奇心だったようですが、
インターのそばのホテル街で日々点滅するGPS 星印☆”にガックリ肩をおとす彼をみんなで励ましたものです。
「ローソンでアルバイトしてるんだよ」
「きっとそうだよ」
「ホテルのシーツ交換とか清掃じゃね?」
墓穴です。(笑)

もはや「スマホ絶対」の世界です。

情報過多で、もはや携帯するのは電話ではなく情報=人そのもの。
それもプライベートな個人のあれこれがこの小さな端末に満載。

そして、もはや覚え切れない「口座番号」や「パスワード」の数々まで、だんだん面倒臭くなってきて、当初の警戒感も何処へやら、スマホに全部託してしまうところまで僕は堕落しちゃいましたし。
・・最早もはや もはや!スマホは自分の片割れ。僕の脳の分身なのです。

映画のキーになるのは、このスマホでした。

IT に翻弄される人間を描いた作品は目白押しですが、今回はなんとかスマホの侵略を押し戻して、我ら人間様のグダグダで陣地奪還を計りたい。竹槍部隊の肉弾戦であろうともIT軍の鼻を明かしてやりたい、
そう思わされる本作品でしたね。

ブラックコメディとして見事なシナリオ構成です。ラストのどんでん返し+ピアス余韻も大したものです。

ワインと陽光とamoreだけの“能天気”な国かと思っていたら違いましたね。
イタリアでもスマホへの危機感がここまで来ているかと、ちょっと残念な感慨でした。

2.【人間讃歌】
そして
もうひとつのテーマは
夫婦や、男女のありかた。義母や年頃の娘との付き合い、そして言葉にして話し合うことの大切さ。
これを終始教えられたのは、僕だけではないでしょう。

でもハラハラしどうしで心臓には悪い。
声を出して繰り返し笑ったけれど場の雰囲気はとことん下がるし。
金髪のビアンカはKY 発言乱発の問題児。
でもそれでもみんなで喋るしゃべる!

・娘ソフィアへの父親のアドバイスにはグッときました。
・大人になってもここまで親友に関心を持ち続けるホームパーティーへの羨望。
・今夜カミングアウトしたのは俺じゃなくて君らだ
というぺッぺの捨て台詞も刺さる。でもトイレ立て籠りのビアンカを救ったのはペッぺ。

シリアルキラー、職業病カウンセラーの“破壊願望”も痛いほどよくわかります。露悪趣味のこのゲームの発案者ね。隠したい自分と、晒したい⇒叱責されたい自分と両面あったんだろうなぁ。

そして月食を眺める老夫婦のシルエットに我に返り、パーティーは散会でしたね。

3.【結局】
課題は何も解決していないし、帰宅しても時限爆弾はそのままかもしれない。
でも人間の創造力や愛、回復力と未来を信じて、パートナーと、そして友だちと、気詰まりになることも怖がらずに、改めて向き合うチャンスを与えてくれる・・
そんな “光った映画”だったと思います。
みんながお互いにたくさんの事を学んだんですよ。

映画は、人生の先生です。

・・・・・・・・・・・・

女はすべてを明かしてはいけません
(デビ・スカルノ)

・・・・・・・・・・・・

会話劇でオススメは
同じくスマホがキーになるアメリカ版喜劇
「おとなのけんか」。
こちらは二組の夫婦の丁々発止。ケイト・ウィンスレットvs. ジョディー・フォスター。

きりん
NOBUさんのコメント
2021年10月12日

今晩は。
 娘は2年前に私の会社と同系列の会社に就職し、頻繁にうちの会社の生産状況と対応方法を聞いてきます。
 我が娘ながら、父の立場を利用しつつ情報を獲得する姿勢には、”うーむ、出世するなあ・・”とやや複雑な気持ちで与えられる情報は流していますよ。
 彼女の就活時代の名言”私を採らないなんて、損失よ!”
 この父にして、あの娘アリ・・。では。失礼しました。

NOBU
NOBUさんのコメント
2021年10月11日

今晩は
 私も、ロマン・ポランスキー監督の「おとなのけんか」を、思い出しましたよ。何だか、テイストが似てますよね。ブラックジョーク感が・・。では。

NOBU
talismanさんのコメント
2020年12月4日

きりんさん、「おとなのけんか」、すごく面白いですよね!

talisman
2020年11月23日

コメ有難う御座います。
ドイツvsソ連で国境がすごい事になっていたのは知ってましたが、実際その土地を語るものは少なく。エストニアも日本ではマイナーですが、色々と興味を持って頂きたい国であります✨

巫女雷男