アンダーカバーのレビュー・感想・評価
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「被害者意識」の言葉の重さ
ネオナチ組織に潜入したFBI捜査官の苦悩を描く物語。
地味ですが、とても良く出来た作品でした。
白人至上主義の不気味さ、テロの脅威。そして潜入捜査の緊迫感と苦悩。それらが良く描かれています。
ダニエル・ラドクリフの演技が秀逸です。同僚から認められず自閉気味になる捜査官、問い詰められ恐怖で目を泳がせる様子、憤り上官に食ってかかる形相。それらが良く演じられています。
ラストにある「被害者意識」の言葉が、主人公と私の心を打ちます。「どんでん返し」ではありませんが、私には映画全体の印象をひっくり返す程のインパクトがある言葉で、私のこの映画への評価を決定付けました。
全般的に地味で小難しく、山場も少ない映画ですから、観る人を選ぶ作品かもしれません。しかし、私的評価は高く印象深い作品でした。
過激
アメリカで放射性物質セシウム6缶の行方がわからなくなり、首都ワシントンを標的にした大型テロの可能性が浮上した。FBIは白人至上主義者のカリスマ的存在であるダラス・ウルフの情報を収集するため、若手捜査官ネイトに潜入捜査を命じる。自らの頭をスキンヘッドにして白人至上主義者になりきったネイトは、ウルフと面識のあるネオナチ青年ビンスの仲間になることに成功するが……。ぎりぎりのところでセシウムの所有者を突き止めぎりぎりで突入して手柄を上げる。
静寂の中に潜む緊迫感。はみ出し者が挑んだ危険な潜入捜査。
【賛否両論チェック】
賛:FBIで干されていた主人公が、その能力を活かして潜入捜査を遂行していく姿に、観ていてハラハラさせられる。意外な犯人像にも驚かされる。
否:過激思想の描写は、人によっては嫌悪感を抱きそう。展開も淡々としているのが、たまに傷。
FBIにあって“インテリ”と揶揄され、はみ出し者となっていたネイトが、理解のある上司と出逢い、その対話能力で潜入捜査へと挑む姿が、淡々とした中にも緊迫感満載で描かれていきます。同時に、何気ない日常に潜む危険な思想の数々に対する、自戒的な意味合いも含まれ、思わず考えさせられてしまいます。
また、あまり言うとネタバレになってしまいますが、サスペンスとしても良質で、クライマックスの意外な犯人像にも、驚かされます。
人によっては嫌悪感を抱きそうな過激思想団体の描写も多いので、好き嫌いは分かれそうですが、実際に起きた事件の顛末を是非ご覧になってみて下さい。
雰囲気に騙された
病的に盲目
ネオナチからの脱却
米国内でテロを起こす白人至上主義者
「欧州人の行く道」ってどんな本か気になる。
悪人が勝つには善人が何もしない事だ。
指導者無しの抵抗。まさに今のテロの手法でゾッとする。
ティモシーマクベイの最期の言葉がインビクタスで知った詩の引用と同じだったのが皮肉。
ハリーポッターが一際小さい、流石に役柄に無理があるような…
白人至上主義とアメリカ第一
大量の放射性物質が無くなり、FBIはアメリカでテロが起きると警戒。
ネオナチをマークする新人捜査官のネイトは、白人至上主義の組織に潜入する…。
注目はダニエル・ラドクリフのイメチェン。
序盤は子供が背伸びしてスーツを着ているようにしか見えなかったが、スキンヘッドにして潜入してからは迫真の熱演。
案外、硬派な役が似合うかも。
潜入捜査モノの醍醐味、身元がバレるバレないのスリルは勿論、白人至上主義者たちの危なっかしい実態にもハラハラ。
組織に怪しまれずにテロ阻止に奔走する様はサスペンス映画として見応え上々だが、実を言うとちょっと違う展開が見たかった。
組織に感化され、価値観がひっくり返り、言動も過激になっていき、テロに加担する…だったらバッドエンドながらも衝撃的に印象に残りそうだった。
実話を基にしているので、さすがにそれは仕方ないが。
ラストの更正のメッセージは“今からの”アメリカにこそ響く。
映画で描かれた問題は、人種のるつぼのアメリカが抱える闇。
それに取り組み、緩和しなければならない新大統領が差別主義者…。
白人至上主義は、アメリカ第一の体現か。
WOWOWにて先行放映。
2月28日より公開。
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