「何を信じるかは人の自由」特捜部Q Pからのメッセージ masakingさんの映画レビュー(感想・評価)
何を信じるかは人の自由
カールとアサドの関係性がさらに深まったシリーズ3作目。
ミステリーとしての伏線の複雑さなどは1,2作目に比べてやや解消されてきた感があるが、その分信仰やアイデンティティーの問題が深堀されている。
終盤、PTSDに悩み、信じることそのものを放棄したカールに、その意義を呼び起こしたのが、犯人とその被害者である少女だったことに、とてつもない皮肉と悲哀を感じる。
アサドは相変わらずのアサドであった。
教義的な理由から被害者の父に疎遠にされながらも、最後まで寄り添うのはアサドだし、犯人との対決の最後は、アサドが犯人に洗礼を施しているかのようで印象的だった。
彼の深い愛情がどこから湧き出ているのか、いずれその出自とともに明らかになる作品が制作されることを願う。
デンマークの美しい情景の中で繰り広げられる凄惨な出来事に、人間の果てしない業を感じる。美しくも物悲しい作品だった。
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