「人は悪魔の子ではない」特捜部Q Pからのメッセージ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
人は悪魔の子ではない
ベストセラーの北欧ミステリーを、本国デンマークで映画化したシリーズ第3作目。
カールとアサドの今回の捜査は…
特捜部Qに届けられたのは、長年海を漂ってたと思われるビンとその中に入っていた手紙。
ふやけた文字を解読すると、“P”という人物からの助けを求めるメッセージ。
捜査を進め、少しずつ手掛かりや事件の詳細が判明していく中、同様の手口で幼い姉弟が誘拐され…。
前作はちとややこしかったが、今回はストーリー展開的には割りとシンプル。
見易さも分かり易さもシリーズで一番すんなり。
難があるとすれば、シリーズ3作目で初の題材となる“信仰心”。
誘拐された姉弟の両親は信仰深く、捜査に非協力的。実は犯人と…。
警察より神を信じる。
この信仰心は、カールとアサドの関係にもぎくしゃくムードを。
無神論者のカールと信仰心深いアサド。
アサドはただ純粋に大いなる者の存在に心の安らぎを求めているだけであって、それがどうのこうのという訳ではない。何を信じるかは自由だが、カールは…。
3作目で初めて、二人の違いするものを見た気がした。
アサドは、ビンに入った手紙が届いてなければ、今回の事件を捜査する事は無かったかもしれず、そこに何かしらの大いなる者の…と言うが、それを運命とか導きとまでは言わないが、何か因果なものは否定出来ない。
今回も犯人は早々と分かるが、この犯人がシリーズ3作の中でも相当なサイコ野郎。
その歪められた性格は、幼い頃の出来事とこの犯人にも信仰心に関与しているのだが…、
そもそも犯人は、神父。しかも、イケメン。表向きは、体裁が良い。しかし、その心の闇は…。
本人曰く、「悪魔の子」。
神父だぁ? 悪魔の子だぁ?
単なるキチ○イの連続殺人鬼でしかない。
私自身、ある理由から信仰心に対しては否定的だが、それでもこの犯人が犯行の動機に信仰を持ち出すのは笑わせるな。
動機に触れるのはちとネタバレになるので詳しく言えないが、敢えて一言、
人は誰しもが、悪魔の子に堕ちたりしない。
今回信仰絡め、手強い犯人のようでもあるが…、
それでも特捜部Qの無能とまでは言わないが、残念っぷりは否めない。
犯人の魔の手が姉弟の両親に及ぶのを防げなかったり、カールは犯人に拉致られるし…。そのカールはとある事情で冒頭から不調。
また、マスコミも姉弟の顔写真や捜査担当のカールの名まで公表しちゃうし…。
デンマークの警察やマスコミの実態か…?
ちょいとうやむやの点もあったけど、シリーズの中では(あくまで個人的に)一番面白かったかも。
現在、映画化されたのはここまで。
原作は7作まで続いてるようで、勿論それらの映画化も求ム!