「沢尻エリカと松坂桃李ファン以外は観るな!」不能犯 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
沢尻エリカと松坂桃李ファン以外は観るな!
連載中のネタを映画化してはいけない"好例"。"グランドジャンプ"に連載中のコミックが原作だが、そもそも設定から、いろんな漫画・ドラマのツギハギで、経験値の高い映画ファンは避けるべき作品。沢尻エリカや松坂桃李ファンでもない限り、観なくてもいい。
"不能犯"とは、殺人ターゲットを"マインドコントロール"によって死に追い込む、"立証不可能な犯罪"のこと。その"不能犯"を使いこなす松坂桃李演じる宇相吹正(うそぶき ただし)を主人公とするサスペンススリラー。
"ツギハギ"とは、相手に触れずに殺す「デスノート」+復讐のための殺人業「必殺仕事人」+黒服の男に願いを叶えてもらうが、依頼人は結局その代償を負わされる「笑ゥせぇるすまん(喪黒福造)」・・・なんとも素敵なハイブリッド感。
VFXによって、ターゲットの死に様をセンセーショナルに映像化ができているところは評価できるものの、そこで終わり。
宇相吹は、いったい何のために殺すのか、殺人にどんな信念や快楽のために行うのか。連載中だから、結論が出るわけない。
プロデューサーによるキャスティングありきの作品として見れば、納得できる。最近の松坂桃李は、メジャー作品によく出ている割には、脇役ばかり。実写の主演は実に久々。パディントンだけではないところを見せている。
沢尻エリカはもちろんバツグンに可愛い。まっとうな沢尻エリカを見られるのはいいが、沢尻演じる多田刑事は、原作では男性。こんな線の細い刑事はやはり違和感がある。
手を汚さない"不能犯"の宇相吹と、線の細い刑事の対決にアクション的な見せどころを作れるわけもない。アクションシーンがムリなら、スリリングな知能戦を見てみたいものだが、そんな発想もないらしい。
加えて爆弾魔の登場は、作品としての必然性がなく、その展開の狭さは致命的。何から何まで救いようのないストーリーである。
(2017/2/1 /TOHOシネマズ日本橋/ビスタ)