「感想、小ネタ、ネタバレあり」LOGAN ローガン うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
感想、小ネタ、ネタバレあり
まず最初に、重大なネタバレを含みますので、未見の方はそれなりの覚悟をして下さい。
映画には、それぞれ特徴的な色合いがあると思います。例えば血の赤とか、森の緑とか。
この映画で言うなら、くすんだ茶色ですかね。
X-MENのそれぞれのシリーズもすべてトリロジーで幕を閉じ、いよいよウルヴァリン単独でも最終章を迎えた作品。ヒューは最後のウルヴァリンだと公言していますが、ぶっちゃけこの後を引き継ぐ俳優も監督もいないでしょう。新しいシリーズを立ち上げた方が得策ですね。
予告編を見る限り、親子の絆を強調した作品を予想して、また期待してもいたのですが、ちょっとスカされた印象が強いです。
ローラ役の女の子は、役柄の振り幅が小さく、お菓子を食べたり、車椅子で遊んだりする程度で、ローガンとの絆が結ばれるシーンはほとんどありません。少しだけ、シュワルツェネッガーとエドワード・ファーロングの科学反応を期待しましたが、残念ながら無しです。敵に追われる子供を守る男と、その家族が逃げるストーリーは「ターミネーター2」と同じなんですけど、ただの偶然のようです。
傷が治らないローガンは痛々しさの極みで、女の子も凶暴なだけなので、シリーズの売り物である痛快な格闘シーンは今回全然ありません。予告編の映像がほとんどと言ってもいいほどです。R-15指定も妥当でしょう。別に残酷な暴力シーンがどうのではなく、ウルヴァリンの最期なんて、子供には見せられないからです。
劇場ではすすり泣きが聞こえてきたほど悲しい結末に至りますが、ヒュー・ジャックマン本人がウルヴァリンの最期について濁しながらも語っているので、あとはどう死んで行くのか、もしくは生き残るのかというポイントが一番、気になるところ。個人的には、泣けませんでした。
「シェーン」を引用したのは20世紀フォックスとアラン・ラッドへのオマージュでしょうか、最近では珍しい引用ですね。
「ミュートじゃないのか?」これは言葉が喋れないミュートと、突然変異体のミュータントをかけたセリフで、それを問いかけるローガンは、世間からミュータントがどう見られているかを端的に表していつつ、自らがその偏見を逃れられないという、皮肉に満ちたセリフです。
ラストに流れるジョニー・キャッシュの歌は、まるで老いたローガンが歌っているかにも聞こえる「グラントリノ」方式、他にも様々な小ネタが散りばめられています。
映画の出来栄えはなかなかだと思いますが、好みではありません。期待した展開をスカされたからです。これがアメリカで大ヒットしたのはちょっと信じられないことですね。
2017.6.1