JACOのレビュー・感想・評価
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没後30年経つ今も至高のベーシスト、その魅力を伝える
音楽好きでジャコの演奏を聴いたことがある人なら、その創造性とセンス、超絶テクニックに感嘆するし、コンサートや映像を観た人なら身体から発散される独特のグルーヴ感や派手なパフォーマンスに圧倒される。本作はそうした要素も当然押さえているが、それ以上に彼の「人間力」とも言うべき魅力を伝えている。
幼い頃からのホームムービーが充実していて、大勢の家族との幸福な日々や、音楽家として頭角を現す過程が映像で追えるのはありがたい。たとえばハーモニクスを駆使した名曲『トレーシーの肖像』を知っていても、ジャコの妻だったトレーシーその人を映像で見ると、彼の創作の秘密に一歩近づいたような感慨を覚える。
ジャズ・フュージョン系のファンならぜひ観てほしいが、それ以外の音楽が好きな人にも、きっとジャコの魅力は伝わるはず。彼が死なずに心身の健康を保ち素晴らしい音楽を生み出し続けてくれたら、と惜しまれてならない。
『ジャコ・パストリアス』は、エレクトリックベースから、フレットレス...
『ジャコ・パストリアス』は、エレクトリックベースから、フレットレスした始めての演奏家ではあるが、音楽の流れを大きく変えた演奏家と評価するのは過大評価た。少なくとも、チャーリー・パーカーと並び称される人物であったとは思えない。
やはり、エレクトリックベースでの奏法を変えただけである、何故なら、元々ウッドベースはフレットレスであって、ポール・チェンバースとか、ニールス・ペデルセンとか、チャーリー・ヘイデンと言ったアコースティックを貫いた偉大なベーシストは存在していたからだ。
ウェザー・リポートのCDもウェイン・ショーターのCDも持っているが、当時のライナーノーツに『シャコパストリアス』だけを褒めちぎる内容になっていない。(但し、正確には和訳すべきだが)
まぁ
ウェザー・リポートの公演にも行っていないから何も言えないが?
でも、でも、
この時期のJAZZの流れは、メインストリームが崩壊して、フュージョンとかクロスオーバーと称して、JAZZが一般大衆に迎合した事実もある。そして、それを憂える保守的なJAZZの鑑賞者が多かった事も確かだ。
さて、この頃の私は、なんとオフコ○スやジョン・デ○バーを聞いていた。ジョン・デ○バーのコンサートにも行った事がある。
だから、JAZZのメインストリームを継承出来る鑑賞者ではないのたが。
だから、ウェザー・リポートもカルロス・サンタナもアル・ディ・メオラもジャズ・クルセイダーズもバットメセニーも全部好きだが、彼だけが偉大でかっこいいとは思えないと言う事だ。
ジャコファンのための映像?
ジャコは本当に革命児であり天才であった。当時のフィルム等を使い一編の作品とまとめた本映画は、ジャコの魅力を伝えることができる素晴らしいものと思う。
本当に個人的な話になるが、76年にメジャーデビューしたジャコ。その1年後には既にその凄さを理解してコピーしようとしていた高校生1年生の友人がいた。ジャコも凄いが、それを理解できた高校生である彼もまた凄い。その彼は今何をしているのか....。
観る人を限定する作品
ジャコが好きな人は勿論ですが、エレクトリック・ベースの演奏経験のある人、ウェザーリポートやリターン・トウ・フォーエバーなど70年代フージョンが好きな人に取ってお薦め出来る作品です。逆に全くそれらに興味のない人には、今作は全く関係ないかと。フレットレスベースを開発(?)したジャコの超絶的なプレイが、レッチリやメタリカのベースの人(名前は知りません)、そしてスティングにまで影響を与えていたのですね。
すべての音楽に偏見を持たなかった天才ベーシストにリスペクト
天才ベーシストといえども、映画、それもドキュメンタリーとなると単館ロードショーになっちゃうのか、とブツクサ言いながら早起きしてして新宿シネマカリテに行って来ました。
昔JAZZマンと思しき初老の紳士、大学生のお嬢さん、メタリカなロック野郎、ベース担いだ男の子、ちょっと若づくりな中年夫婦... 早朝ロードショーにもかかわらず席は老若男女でほぼ埋まっていました。反省です。
本編は、デビューから若くして不慮の死に至るまでのジャコ・パストリアスを、当時のライヴ映像やホーム・ムービー、そして多くのミュージシャンへのインタビューを織り交ぜながら、ほぼ時系列に観せていきます。なかでもジョニ・ミッチェルとのセッション、インタビューは非常に興味深いものがありました。
彼の育ったフロリダ、当時は貧乏白人の住むスラムのある街だったと劇中でも言ってましたが、音楽的にはキューバ音楽や、そのルーツにあるアフリカン・ハート・ビート、JAZZ、R&Bなど様々な音楽が交錯し、それらが少年だったジャコ・パストリアスに多くの音楽的影響を与えたのではないかと思われます。まさにフュージョン。
すべての音楽に偏見を持たなかったジャコ・パストリアス。そのあまりにも「ピュア」で「スピリチュアル」な音楽に向き合う姿勢が自らをどんどん追い込んでいくわけですが、愛した音楽を求めて彷徨い歩く、死の間際の彼を見ていると純粋に泣けてきました。自らが愛した音楽に自ら殺されてしまったジャコ。
8mmフィルムだろうか、若き日のパストリアス一家の日常を写した映像が折々スクリーンに流れてくる。ベースを弾いている幸せ以外に、彼がいちばん幸せに見えたのは家族との団欒であり「彼の人生にはこんな時もあったのだ」と私には思え、それが唯一の救いでした。
無論、彼の音楽性が世界に驚きを与え、音楽の世界に革命をもたらしたのは言うまでもないのですが、彼の人生の終焉はあまりにも哀しすぎました。
あらためて、あらゆるミュージシャンを魅了しながらも、時代が追いつけなかった孤高の天才ベーシストに、合掌。
ジャコ・パストリアスを知らないひとにも見て欲しいと思いました。
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