JACOのレビュー・感想・評価
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没後30年経つ今も至高のベーシスト、その魅力を伝える
音楽好きでジャコの演奏を聴いたことがある人なら、その創造性とセンス、超絶テクニックに感嘆するし、コンサートや映像を観た人なら身体から発散される独特のグルーヴ感や派手なパフォーマンスに圧倒される。本作はそうした要素も当然押さえているが、それ以上に彼の「人間力」とも言うべき魅力を伝えている。
幼い頃からのホームムービーが充実していて、大勢の家族との幸福な日々や、音楽家として頭角を現す過程が映像で追えるのはありがたい。たとえばハーモニクスを駆使した名曲『トレーシーの肖像』を知っていても、ジャコの妻だったトレーシーその人を映像で見ると、彼の創作の秘密に一歩近づいたような感慨を覚える。
ジャズ・フュージョン系のファンならぜひ観てほしいが、それ以外の音楽が好きな人にも、きっとジャコの魅力は伝わるはず。彼が死なずに心身の健康を保ち素晴らしい音楽を生み出し続けてくれたら、と惜しまれてならない。
【ようやくあの有名なジャコの事を勉強出来ました】
がジャズに疎いので....え?そんなに凄いの?と終始思いながら観ていました、破滅の仕方もなんだかありがち、曲は作れても内面的な苦しみや葛藤が感じられずピンときません。
まぁ....私はジェフベックとか結構カッコ良くて好きですがあんな感じかなのかなぁ演奏できる人が聴くと違うのでしょうね
※ジャズファンではないからレビューの資格はないと思いつつ、随分経ってしまってからやっぱり観た事は残しておくべきだと思って書きました、評点は映像作品としてはキチンとして変な偏りやセンセーショナルな感じが無くて大変解りやすくかつ好印象だったからです、コメントとつり合わなようにみえますがジャコが好きなのと映像作品との評価は違うので
ジャコファンのための映像?
観る人を限定する作品
すべての音楽に偏見を持たなかった天才ベーシストにリスペクト
天才ベーシストといえども、映画、それもドキュメンタリーとなると単館ロードショーになっちゃうのか、とブツクサ言いながら早起きしてして新宿シネマカリテに行って来ました。
昔JAZZマンと思しき初老の紳士、大学生のお嬢さん、メタリカなロック野郎、ベース担いだ男の子、ちょっと若づくりな中年夫婦... 早朝ロードショーにもかかわらず席は老若男女でほぼ埋まっていました。反省です。
本編は、デビューから若くして不慮の死に至るまでのジャコ・パストリアスを、当時のライヴ映像やホーム・ムービー、そして多くのミュージシャンへのインタビューを織り交ぜながら、ほぼ時系列に観せていきます。なかでもジョニ・ミッチェルとのセッション、インタビューは非常に興味深いものがありました。
彼の育ったフロリダ、当時は貧乏白人の住むスラムのある街だったと劇中でも言ってましたが、音楽的にはキューバ音楽や、そのルーツにあるアフリカン・ハート・ビート、JAZZ、R&Bなど様々な音楽が交錯し、それらが少年だったジャコ・パストリアスに多くの音楽的影響を与えたのではないかと思われます。まさにフュージョン。
すべての音楽に偏見を持たなかったジャコ・パストリアス。そのあまりにも「ピュア」で「スピリチュアル」な音楽に向き合う姿勢が自らをどんどん追い込んでいくわけですが、愛した音楽を求めて彷徨い歩く、死の間際の彼を見ていると純粋に泣けてきました。自らが愛した音楽に自ら殺されてしまったジャコ。
8mmフィルムだろうか、若き日のパストリアス一家の日常を写した映像が折々スクリーンに流れてくる。ベースを弾いている幸せ以外に、彼がいちばん幸せに見えたのは家族との団欒であり「彼の人生にはこんな時もあったのだ」と私には思え、それが唯一の救いでした。
無論、彼の音楽性が世界に驚きを与え、音楽の世界に革命をもたらしたのは言うまでもないのですが、彼の人生の終焉はあまりにも哀しすぎました。
あらためて、あらゆるミュージシャンを魅了しながらも、時代が追いつけなかった孤高の天才ベーシストに、合掌。
ジャコ・パストリアスを知らないひとにも見て欲しいと思いました。
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