「弘法大師空海の伝記的映画を見たいなら1958年公開の東映映画の空海をの方をご覧になられるべきと強くお薦めします」空海 KU-KAI 美しき王妃の謎 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
弘法大師空海の伝記的映画を見たいなら1958年公開の東映映画の空海をの方をご覧になられるべきと強くお薦めします
空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎
2018年日本公開
日中合作
監督はチェン・カイコー
あの不朽の名作「さらば、わが愛/覇王別姫」を撮った人
それで期待が爆上げなのですが、結論は空振りでした
原作は夢枕獏
弘法大師空海の伝記的映画を見たいなら1958年公開の東映映画の空海をの方をご覧になられるべきと強くお薦めします
本作には確かに空海が登場しますが原作者が夢枕獏ですから、内容は伝記ではなく伝奇映画です
おどろおどろしい妖怪ファンタジーとお思い下さい
真面目に空海の映画を観たいなら本作を観るのは時間の無駄です
お話は同じ原作者による陰陽師0に類似しています
平安京でおこる妖怪事件を陰陽師になる前の安倍晴明が解決するように、入唐したばかりの空海が長安で起こる皇帝が呪い殺ろされる怪事件を相棒の李白に憧れる詩人と共に解決していくというもの
とはいえ、当時の世界最大の都市長安が美術セットとVFX で見事に再現されており必見です
見果たすばかりに続く甍の波
広い都大路を埋める人波
通りの両側には雑多な物売りや大道芸人達が溢れて賑わう生活感があります
衣装も良く考証されていると感じます
皇帝の宮城や、長安一の妓楼の美術セットもクオリティが高く、内装のデザインや色彩も本当にこうだったのではないかと想わせる出来映えです
奈良の平城宮跡は近年整備が進み朱雀門、幅70メートルにも及ぶ朱雀大路の一部再現、宮城ともいえる大極殿、その正門の大極殿門などが当時そのままに大規模に再現されており、それらがどれほど当時の長安を模したものかが本作を観ると良くわかります
それと同時に本作の映像の再現の度合いの高さにも満足させられます
VFX は石井教雄と日本人の名前がありました
派手派手しいエフェクトの羅列だけで終わらず、クオリティの高い美術セットをVFX の巧みなスキン合成でより良く見せてくれています
日本の古代史に興味のある方ならさらに楽しめるポイントとして阿倍仲麻呂が登場します
大した活躍はしませんが嬉しいものです
奈良春日大社の境内に歌碑が建つほどの万葉集で有名な彼の歌にも触れます
終盤の楊貴妃の死の謎解きは少し長すぎでした
より映画的に整理する必要を感じました