「見ごたえのあるオリエンタルファンタジー」空海 KU-KAI 美しき王妃の謎 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)
見ごたえのあるオリエンタルファンタジー
世界三大美人のひとりである楊貴妃を演じるのは、どんな美人女優にとっても荷が重いのではなかろうか。予告編を見てそんなことを思った。
しかし映画は楊貴妃の美人度にそれほど左右されないストーリーで、ある程度以上の美人なら大丈夫だ。容貌よりも楊貴妃の人となりの方が気になる展開だった。
染谷将太は演技派の俳優らしく、悟りを開きつつある空海を好演。白楽天を演じた中国の俳優との掛け合いも見ごたえがある。
栄華を極めた玄宗皇帝といえども、ひとたび権力闘争に巻き込まれれば、権威は相対化され、限りある肉体を持つひ弱な個人となってしまう。そしてそこにドラマがある。
日本語吹き替えで観賞したが、本人の吹き替えに若干の違和感があったので、全編中国語の字幕バージョンも観たかった気がする。
とはいえ言語にかかわらず、とても見ごたえのある大人向けのオリエンタルファンタジーであることは間違いない。
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