The NET 網に囚われた男のレビュー・感想・評価
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甘い採点です!
封切りから2カ月たつというのに、新宿では結構な客入りではあった。オイラは単身赴任先のグンマ(高崎)で見ようと思っていたが、レイトショー1本だけでしかも10日で終わってしまうため、行く機会がなくなると思って久々に新宿で鑑賞。
映画自体は悪くないし、なかなか半島の南北問題に迫るいい内容だと思う。ソウルであれ、ピョンヤンであれ、体制というものが個人を何とも思っていない残虐性がよく描かれていると思う。
しかし、あのキム・ギドクの作品としては物足りなさを感じる。
本当なら★4つはつけすぎ。
韓国や半島に関心のない人には、見なくてもいいような映画である。
スリリングな娯楽作を望んでいるのではない、やはり人間の中にあるヒリヒリとした痛みというものの描き方が、過去の作品ほどうまくできていないのだ。その点が大いに不満。
韓国でのキム監督の評価、立ち位置がどういうものかはまったく知らないが、なんか、小さな地味な存在になっちゃった…という印象。
日本で「韓国の北野武」などと言われたのはずいぶん昔のことなんだよね。
それでも、今後の活躍に期待して、甘い採点にしておく。
単純なストーリーなのですが、達者な俳優陣と社会背景の深刻さにより、...
政治の狭間に生きる家族への思い
凄い映画を観た。
鬼才キムキドク監督『網に囚われた男』
北朝鮮と韓国の軍事境界線近辺の寒村に住む川漁師の平凡な男は、妻と幼い愛娘と共に貧しくも平穏な日々を送っていた。ある朝、男はいつものように小さなボートで漁に出かけるのだが、魚網がエンジンに絡まりボートが故障してしまう。川に流され自らの意思に反して韓国領に流された男は、韓国の警察に拘束され北朝鮮を憎悪する取調官に狂気のごとき尋問を受ける。かたや男の潔白を信じ、彼の身を案じる警護官の心の葛藤を見事に対比させている。物語はここからはじまる。
韓国と北朝鮮との政治の狭間で苦悩する今の朝鮮半島の状況を、そして一人の人間として家族を思う人間らしい感性を、この男を通じて見事に表現してる。社会ドラマであり人間ドラマだ。
在日コリアン3世の私自身、ピョンヤンへもソウルにも数え切れないほど行ってるし、北朝鮮にはかつての祖国帰還事業で渡った親族(現在行方不明)もいる。韓国は、朝鮮戦争で一家離散した私の本籍地があり、そこは祖父や祖母が育った小さな村がひっそりある。どちらも私のかけがえのない故郷だ。
この男の苦悩は私の心情のどこにぶつけたらいいのだろう。
川を自由に泳ぐ魚にはなれない
北の漁師が事故で南に行き帰ってくる話
北朝鮮と韓国の歪な関係を鋭く描いた作品だと思った。
テンポも良くタイトルが出る前に事故で国境を超えてしまう。
取り調べの嫌な感じと、一向に帰れないもどかしさ、単純に解決できない
もどかしさなど、全体的に心にズシンと来る。
主人公は後ろめたさなく、純粋に帰ることだけを望む。しかし両国間の摩擦によって
翻弄され絶望する。
単純な話であったがそれ故に奥の深いテーマで軍事境界線のもどかしさが伝わって来た。
独裁国家だとしても生まれ育った場所ならばそこにはそこの幸せがある。
韓国側がいかに自由で素晴らしく思えたとしても、故郷に家族が居るならば、
帰る場所は一つだ。
TVなどでいかに北朝鮮は危険であるかを切々と語られているが、内面までは深く語られない。
国民の生活や意識はどうなのか興味が湧いた。
実際、ロケットや核ミサイルの脅威は有るが、そこまで自分勝手な国だろうか。
アメリカや中国、ロシアだって同じ実験はしているし武力でわがままを押し通しているように思える。
国家の問題は色々あるし完璧な国なんて有りはしないのだから、互いの良い所、悪い所をしっかり理解して
いきたいと思う。
脱北した人の何割が帰りたくとも帰れず、無理やり韓国国民になっているのか。
この映画を見るまで、脱北者は北朝鮮が嫌で命からがら国境越えして来たものと思っていたが
そうとも言い切れないのだなと思った。
最後の展開は悲劇としか言いようがないのだが、国境とは国家とは何なのかを考えらせられた。
素晴らしい作品だった。
劇中セリフより
「自由が幸せとはかぎりません」
今が幸せなのは自由だからなのか?
自由のために戦う意味があるのか、幸せのために戦うのか。
不幸を生む争いだけは避けなければならないと思った。
分かりやすいキム・ギドク作品
キム・ギドク作品って正直、抽象的だったりよく分からなかったりするのがある。これは分かりやすい。
北朝鮮の漁師、漁師といっても小さな船で魚を網で捕まる漁。それで妻と7歳になる娘を養っている。
いつものように漁に出るんだけど不幸なことに網がエンジンと絡まり船が故障。流されて南(韓国)に…韓国にとっては不法入国。脱北?スパイ?となる訳で…
主に取り調べのシーンがメインになるわけですが、なかなか見応えありです。
韓国側からすれば、この男はあの独裁国家で洗脳されてる可哀想な人民。でも男はそんな事一切思ってないし、ただ愛する家族の元に帰りたいだけ。
韓国側、北朝鮮側といった国家の体裁もあったり言葉では同士と言っていても南北の戦争からのわだかまりがあったりと真の意味での南北統一とは…と真摯に訴えてる作品かと思います。
捕まえられた魚はもう駄目なんだ…彼が選んだ選択と幼い子の笑顔が心に突き刺さる。
すごく面白い
北朝鮮は地獄のようなところだと思っているのだが、主人公のように幸せに慎ましく暮らしている様子が見れて少し安心した。治安警察みたいな機関は北も南も全く同じだったが、北はトイレの汚さが尋常じゃないのでやっぱり南の方がいいなと思った。
南の甘い顔の刑事みたいな人が、発狂するところが痛快だった。
スパイとそうでない者の境目が紙一重であることが恐ろしい。
切ない。。。
水曜日、サービスDAYに鑑賞。お昼の回に見ようと30分前に到着したもののすでに満席。なので夕方からの回を予約。
感想はただただ、切ない。。それぞれの人がそれぞれの立場で国をそして人を想っているのにそれは押し付けにしかならない。あんな独裁国家にいたら幸せになんかなれないという南側の人間。でも主人公のおとこにしてみれば国ではなく家族がいる場所が一番幸せになれる場所。。。
捕らえられてもなお自分の信念が捨てきれない男は、網に捕まえらた魚と同じくもがきながら弱っていく。ラストシーン。何回も繕い直してボロボロになったぬいぐるみしか知らず、それでもそれを愛おしくおもう娘をかわいそうに思い、南から唯一持ち帰った電池で喋る最新式のクマのぬいぐるみをプレゼントする男。でも娘が一番好きで抱きしめるものは、ボロボロになったぬいぐるみ。側から見ればゴミのようなものでもその当人にとって見ればそれは似て非なるものなり。
半島分断って若い人はピンとこないと言うけれど。
まさに不条理
分断の現実は異常なんだ!
人間の生活の周りにふわっと国家があって、私たちの生活を守ってくれるなんていうぼんやりした感覚は完全に打ち砕かれて、南北両国家に真っ向からぶつかられた男のお話です。
一人の男に降って湧いた悲劇を通して、改めて南北分断がどれだけ非人間的なことなのかということを激しく突きつけられます。
北朝鮮は危険国家だとかいうことで、そこばかりを気にしていますが、その根本にある南北分断そのものはどんなんだ、と。
主人公の悲惨な人生が、この分断の固定化を切り裂いて、朝鮮民族は一つ、南北を統一しさせよう!と強く訴えているのだと思いました。南北分断の異常は絶対に正さなければならない!キッパリ。日本もこの分断の歴史に大きく関わっていると思いますし、簡単にそうなれない現実を前にとても息苦しくなりました。
こういう極めて政治的な、しかし自分たちの生活の根本に関わる問題で、南北両政府批判を商業映画でも表現できる韓国はいいですね。非正規職の実話をエンターテイメントとして映画にしちゃった時にもそう感じました。「カート」っていうタイトルでしたが。日本のタイトル忘れた(T_T) 日本では政治問題をそのまま商業映画にすることなんか想像できますか?キム・ギドク監督の2015年制作の映画STOPは福島原発事故後の問題を扱っているらしいのですが、まだ日本公開されてません。公開されるんでしょうか?ぜひ見たいものです。
それにしても主人公役の俳優の強さ、いいですよねぇ。主人公だけでなく、キム・ギドク監督作品に限るわけでもなく、やはり韓流いいわとなびきます。ジャニーズとKポップの胸板の厚さの違いは大きいかと。
観客の怒りを一手に引き受けることになる取調官の俳優にも相当目が引き寄せられたのですが、「殺されたミンジュ」で一人8役をやったキム・ヨンミンという人だった。
主人公のリュ・スンボム、何度見ても岸谷五郎に見えて困りました。似てませんか。(o_o)
満員!
過剰演出
国に囚われたギドク
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