「観ないのはもったいない!」ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章 ゆりゆりさんの映画レビュー(感想・評価)
観ないのはもったいない!
ジョジョは連載開始当初から読んでいます。多くのジョジョファン同様、公開前は不安しかなく、傷つきたくない一心で「観ない」という選択をしようとしましたが、ジョジョ好きを自負するならどんなものかをこの目で見届ける勇気を持たねば!と決意を持って映画館へ参りました。
結果、「面白い!観て良かった!むしろファンなればこそ観てほしい!」に。
面白いエンターテインメント作品になってます。ホラーサスペンスの導入部に驚いているうちに、相反する美しく明るい町並み(しかも明らかに日本ではない)が現れるという奇妙さ。転校生として描かれる康一くんとともに、一気にこの不可思議空間「杜王町」に入ります。
正直、細かく気になる部分は散見されます。説明不足とかなぜここを改変したかとか。ビジュアルに対する不安もわかります。「えっこれがジョジョか!?ジョジョらしさのカケラもねえわ!!」と思えるかもしれません。
が、根底にはしっかりと「人間賛歌」「受け継がれる魂」が流れています。物語を追ううちにそれは感じられると思います。
仗助の目線で、原作よりも詳細に描かれている祖父の生き様や意思を見ることで、スタンド能力を持ちながら「関りたくない」スタンスだった仗助が祖父の遺志を引き継ごうと決意する様はグッときます。オリジナルで挿入される祖父との交流が丁寧に描かれていることによって、それは説得力のある「黄金の精神」の継承になっていると思います。
仗助と、その優しさに触れた億泰との友情が芽生える場面、虹村形兆の父親に対する愛憎(岡田将生さんが秀逸です)や、その父の不変の家族愛、なども、決して原作の精神を冒してはいません。実際、私は映画館で涙目になっていました。
そしてそれぞれの役者さんが、この物語の世界でしっかりと立って人間模様を紡いでいます。ベテラン俳優さんは言わずもがな、主演の山﨑賢人さんも仗助の優しさを余すことなく表現してくれています。2章以降、多面的でもある仗助というキャラクターをどんな引き出しをもって演じてくれるのか楽しみです。
決して「原作まんま実写化したジョジョ」ではありません。キャラクターも単行本から実体化して飛び出したりしていません。なので「原作から逸脱したものは許せない!」と感じる方には無理強いはいたしません。
ですが、「大好きなジョジョだから、傷つくのイヤだな。怖いな」と二の足を踏んでいらっしゃるのであれば、是非、映画館に足を運んで観てみてください。観ないで怖気ているのは本当にもったいない。そして他の評価や色眼鏡無しで、ご自身の目で体感してみてください。
既に3回観ました。明日また、観にいきます。第二章、絶対観たいです。