サーミの血のレビュー・感想・評価

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サーミの血

劇場公開日 2017年9月16日
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自由を求めるヒロインのたくましさに魅せられる ネタバレ

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1930年代。厳しい自然に囲まれた北欧、ラップランド。この物語は、先住民族サーミ人が受けていた差別の歴史を描いた物語でもある。寄宿学校での教育や教師から発せられる言葉、人々がサーミ人へ投げかける冷たい視線などは身を切るほど辛いものがある。が、それでも本作が一向に魅力を失わないのは、ひとえにヒロインの逞しい存在感があるからだろう。彼女が日常の中で何を考え、どのような思いを発露させ、やがてどんな決断を下すのかに主軸を置いて、その心の流れを丁寧に描き出すのである。

当時、多くのサーミ人たちが故郷を捨て二度と戻ることはなかったという。本作は故郷に残った者、故郷を捨てた者のどちらの正当性を訴えるのでもなく、あくまで少女の視点に特化することで“感情”を描き出してみせる。こうした演出ゆえに決して昔話に陥ることなく、現代に生きる我々でもダイレクトに享受できる豊かな心象模様がもたらされたように思えるのだ。

ぐうたら
ぐうたらさん / 2017年9月21日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:映画館
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民族差別

結局、民族として誇り高く生き様としていた母妹達を差別してたのは他でもない自分自身だったんですね。
しかしヒロイン役のおばあちゃん&少女、眼光鋭く力漲り凄かった。対照的に常に姉を心配し老いてまで一途だった妹が可愛く素晴らしい、一緒に水浴びするシーンが良かったですね。

褐色の猪
褐色の猪さん / 2018年9月22日 / Androidアプリから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  知的
  • 鑑賞方法:試写会
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見るべき映画

静かな告発の映画だった。見てよかった。
ほぼ全編に立ち込める霧と、ブルーフィルタを通した抑圧された映像だったのが、老境の主人公がサーミ人の土地に「還った」時、霧が晴れ光が差す。

言葉よりも雄弁な美しいシーンだった。

YK2
YK2さん / 2018年7月23日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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スウェーデンの荒野が良い

スウェーデンと言うと、幸福度ランキング上位の常連、かつ、高学歴インテリの多い国として有名であるが、こんな歴史があったのか、初めて知った。
1930年代。民族によって知能の優劣があるということが本当に信じられていた。約100年前の話だ。信じられないが、事実だ。
(あのフランクリン・ルーズベルトも例外ではない。彼は人種差別主義者だ。今回の映画とは関係ないけどね。笑)
多くの現代日本人は、宗教や思想・哲学の類を下らないと思っているみたいであるが、高度な文明社会・科学も同じぐらい下らないものであることを自覚すべきである。

t
tさん / 2018年7月1日 / PCから投稿
  • 評価: 5.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:-
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青春は自分以外に敵なしの時代であってほしい。 ネタバレ

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エレマリャは出自を捨てないままでは、当時のスウェーデン社会に受け入れられないと知って、大事なものを捨てたんですよね。
棄てたことを老いたいまも罰しているし、正当化もしているから、柔らかな気持ちで故郷と向き合えないんですよね。

悲しいです。でも、世界の片隅の方々で見られるマイノリティたちのよくある悲しみですから、人ごとではないと感じました。
自分の属する多数派の暴力性をもっと自覚しないと、エレマリャを傷つける側に回ってしまうし、逆に自分が属する少数派が多勢に立ち向かう術をもっと磨かなくてはいけない。
そういう気持ちでみました。
少数派であるサーミ人が、多数派を占めるスウェーデン人にどう扱われたかということから自分を見つめ直すという行為でした。

本当は青春時代はコントロールできない自分だけにあっぷあっぷしてパニクってるのがいいと思うんです。でもマイノリティだからそうさせてもらえない。それが一番嫌かもと思いました。

少女時代のエレマリャの先生役の人は、キングスマンでエグジーとつきあうスウェーデンの王女様やってた人ですね。

エレマリャと妹ちゃんが可愛かったです。

だいず
だいずさん / 2018年6月21日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  -
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そういう差別があること自体知らなかった ネタバレ

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1930年代のスウェーデンで差別を受けていた遊牧民族の少女の映画。
差別という大きなテーマの映画というより、
差別を受けている少女が被差別から抜け出して生き抜くワンシーンを描いた映画という感じ。
差別と真っ向から戦うという映画じゃない。
あくまで個人が差別を受ける環境で、
その状況を抜け出すためにとても現実的に、
時には犯罪を犯してでも行動している映画。暗い。
どうにかして差別されるという状況から抜け出し、将来の道を切り開こうと一人で社会へ飛び込む様子は、
希望を背負うたくましさより痛々しく寒そうなたくましさが目立つ。
彼女が受ける暴言や暴力のシーンも痛々しいが、出自を尋ねられヨイクを歌っているときの周りの視線、空気のシーンが
この様こそ差別だと訴えかけてくる。
でもこの誕生日パーティの場に来るまでに、
主人公は相当な無茶をして来てるんだよね。
それでもこのざまで見世物と何ら変わらない。
まあ差別してる割に、
民族衣装を脱いでワンピース着てお化粧してたら見分けつくの?って感じだけど。

進学も無理だと言われ、民族衣装を着て見世物のように写真を撮られる。
研究結果という言葉は始め聞いたときは正直ゾッとした。
彼女に向けられる一斉の奇異の視線は気色悪い。
外へ出ても何処にも拠り所はなく、
帰る家にも自分の恐れる未来しかない。
浅ましく男の家で雇って欲しいという時の彼女の寒そうな目と、
彼女を通り過ぎて開けられる玄関のドアが印象深かった。
銀のベルトを売って進学しただろう彼女は、
最初のシーンの老婆になるまでにどんな人生を生きてきたんだろう?
冒頭の自分と同じ民族の人々を指していう差別的な言葉は聞いててキツい。
本人がこう言われてきたのでは?と推測してしまう。

1930年なんて、2000年現代のほうが医療も科学も人類学の調査の際のモラル領分でもずっと進歩しているはずだ。
そんな時代でも人間を民族単位で研究して結果を出せたらしい。
100年後の未来では今現在はどうはかられるのだろう。

tokyotonbi
tokyotonbiさん / 2018年6月9日 / Androidアプリから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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ぼくには合わん。

静かな映画で眠かったです。

めたるぱんち
めたるぱんちさん / 2018年5月26日 / スマートフォンから投稿
  • 評価: 1.5
  • 印象:  寝られる
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ダンスに混じれない

ダンスに混じれない。老婆はなにを思ったのか。写真が凶器になる瞬間を目撃した。

ESSAI
ESSAIさん / 2018年3月2日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  -
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とてもよかった ネタバレ

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 どこにも居場所がなく、常にいたたまれない感じがつらかったが、あそこまでではないにしても身に覚えがある。なぜ居心地のいい場所を見下して、退屈に感じ、場違いな場所に憧れを抱いてしまうのかそんな普遍的な気持ちが描かれている。

 主人公がおばあちゃんになってもずっと意固地なままで、全然丸くならないのがすごい。

古泉智浩
古泉智浩さん / 2017年12月30日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  悲しい
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ヨイクが印象的

サーミ人の実態を目の当たりにして、改めて人種差別について考えさせられた。自由を掴み取ろうと必死に立ち向かう少女の姿は素晴らしい。ヨイクが印象的で耳に残った。
2017-183

隣組
隣組さん / 2017年12月29日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  -
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アイヌと似ていた

クリスマスイブに家内と見た。見ている最中から、生活様式、顔つき、音楽(ヨイク)がアイヌに似ているなーと(私は北海道在住)思いながら見ていた。サーミ人にはモンゴロイドの遺伝子があり、アイヌとの交流があることをウィキで知り、ビックリした。

hanataro2
hanataro2さん / 2017年12月25日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  -
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差別への多角的な眼差し

スウェーデンの被差別民サーミ(ラップ人)に生まれた老女の回顧、もしくは老境のロードムービーといった感じ。

ストーリーテリングやカメラワークといったテクニカルな面は、何というかどこも教科書的で秀才感がするけれど、今年見たなかでは『クーリン街少年殺人事件』に並ぶくらいの良さ。

テーマゆえかもしれないけれど、アレハンドロ・イニャリトゥ作品がしばしば感じさせるような詩性がある。
あと、『花様年華』に流れる「夢二のテーマ」がそうであるように、チェロの低い擦弦音がとても情念的で深い。

見ながら考えていたのは「差別のあり方」と「環境を変えようとする意志の強さ」。 この作品は差別というものをとても多角的に描いている。
主人公エレ・マリャらサーミの少年少女が受けるスウェーデンの初等教育は、スウェーデン語を強制し、スウェーデンの臣民として教育する一方で、民族を同化させることはなく、見た目(衣装)にも不可視的部分(教育科目の多寡)にも区別を設けている。

高成績ゆえに進学を望むも制度の壁に阻まれるエレ・マリャが、差別者側/被差別者側のいずれにも属することのできない(赤坂憲雄的)「異人」と化すのは必然といえる。差別者側のシステムでのレールに乗ることを志す彼女は、自分の育った集団からは完全に浮く。

その一方で、この秀才の少女には差別が強く内面化されている。差別者から「臭い」と言われ続けた彼女が、自分の体臭を気にして、髪のにおいを嗅いだり、何度も体を洗うシーンが何度も出てくるが痛ましい描写だ。この内面化は、図らずも差別のシステムを強化している。

幾度と屈辱を味わいながらも苦境から脱しようとするエレ・マリャの姿は逞しい。

ラストシーンも、とても秀才的な画作りだけどとてもよかった。作り手は、きっとすごく勉強するタイプの人なんだろうな(と、勝手な想像)。

SungHo
SungHoさん / 2017年12月24日 / Androidアプリから投稿
  • 評価: 5.0
  • 印象:  -
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丁寧な心の描写が胸を打つ。

友人のススメで観ました。ひどい人種差別を受ける少女の心の移り変わりを丁寧に描写していて、手を握りしめながら身を乗り出して少女を応援したくなる、そんな映画でした。社会問題とは別次元で語られる「差別」のリアリティ。映画で語られなかった時間への余韻。美しくも残酷な自然との共生。深い感銘を受けました。

ken1
ken1さん / 2017年11月25日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  -
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主役の素晴らしい演技と知らなかった歴史

アップリンクにて、気になってた『サーミの血』鑑賞。意外と人多かったー。主人公の演技は必見、葛藤が伝わってくる。スウェーデンにこんな歴史があったなんて知らなかったので、歴史を知り、彼女の演技を感じ、ラップランドの美しい地を見るだけでも価値アリかと。欲を言えば、銀のベルトを手にした後、どうやって彼女がサーミ人としてのアイデンティティを捨て、スウェーデン人として生き、教師になり、家庭を持ったのか、その人生が見たかった。クリスティーナと呼ばれ、ママと呼ばれる人生がとても気になったので、ラストがちょっと残念。
個人的にはタイトルが気になった。原題は SAME BLOD. 公式に出てくる英語タイトルは SAMI BLOOD. 同じ血 なのに サーミの血。同じ人間なのに 差別される民族。

知らなかったことを美しい映像とともに知れるいい映画だったけど、彼女の先の人生が見たかったので、評価はちょい低めに。

あにー
あにーさん / 2017年11月23日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  -
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人種差別をテーマに…。

人種差別をテーマに描かれています。
どこの国でも切っては切れない問題なのだと痛感。
エレ・マリャの行動力は尊敬しました。
積極的過ぎるくらいな感じだったかな(笑)

china
chinaさん / 2017年10月18日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  -
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世界のどこにでもある根深い問題を正面から抉ってくれていました

スウェーデンのラップ民族差別を扱った作品。ラップランドと言えばサンタクロースの良いイメージしか無かったので、映画を鑑賞して、北欧の平和で知られたあの国にもあのような暗黒の歴史があったことを初めて知りました。差別されたまま生きることを受け入れず、スウェーデン人として生きることをを求めて故郷を出奔した主人公。自分の出自を否定し続けて生きざるを得なかった彼女の葛藤は壮絶なものであったと容易に想像できます。都会に出るためお金を盗んだり、ウソを騙って人の家や学校に転がり込んだりする主人公も敢えて見せることで、綺麗ごとでは無いこの問題の根深さを浮かび上がらせていたと感じました。都会の学校に入ってからの彼女の生き様も観てみたかったな。

ホワイトベア
ホワイトベアさん / 2017年10月18日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.5
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身を売った姉と留まった妹、それぞれの選択肢 ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

「ホテル・ルワンダ」を見た時にも思ったことだけれど、差別というのはどの国でもなくなることなく必ず起こるものなのだなぁと改めて感じる。「ホテル・ルワンダ」を観ても、見た目にはフツ族とツチ族の違いなどは日本人である私にはさっぱり分からないほどであったし、この「サーミの血」を観たってサーミ人とスウェーデン人の違いなどさっぱり分からない。けれども、そこにははっきりとした区別と差別があって、蔓延っては人々を貶めている。昨今、なぜか一部の日本人が憧れの対象に掲げている「北欧」で、私たちの知らない差別があるということを直視させられて、「あぁ、やっぱりどの国でも同じなんだな」と思わされた。

この映画で面白いのは、サーミ人として生まれた姉妹がそれぞれ別々の人生を送っていく点だ。主人公となる姉はスウェーデン人を偽って、スウェーデン人に擬態することを選択する。しかし妹はそんな姉を訝しく思い、どこか憎しみのような感情を抱いているということ。主人公は姉なので、妹は前半と終盤にしか登場しないが、主人公が「クリスティーナ」という名の少女として生きている間にも、その背後には故郷ラップランドに留まった妹の影があるような感じがして、身を売った姉と留まった妹の対比が上手くはたらいていたし、それぞれの人生について想像を掻き立てられるエンディングも良かったと思う。

姉の選択とその後の生き方に関しては「サーミ人としてのプライドはどうなるのか?」みたいなことが一瞬だけ脳裏をよぎって、しかしすぐさま打ち消した。その考えもまた「出自による拘束」という差別だと思ったからだ。サーミとして生まれたんだからサーミとして生きろよ、と口で言うだけは簡単だけれど、そこから逃げたいほどに切実な差別があってもそれを強要するのはやっぱり違うだろうなと思う。そこで生きてくるのがやっぱり妹の存在で、「サーミの血
」を捨てようとしている姉のことを批判できる唯一の人物が、同じ血を分けた妹だというのは実に筋の通った話。

差別が大きなテーマの作品だけれど、どことなく青春映画のような空気もある。クリスティーナと名乗って生きている間、そこにはスウェーデン人として生まれていればごく当たり前に手に入ったであろう青春があり、そういったシーンはとても瑞々しく描かれている。しかしそれらは、サーミ人として生まれた者には遠く手の届かないもので、主人公は(必ずしも勉学や教師という職業だけでなく)きっとこういう瑞々しい青春にも憧れていたんだろうなぁ、と少女の気持ちを考えると、差別に立ち向かえるほどは強くなれず、スウェーデン人を偽ることで逃げ切った主人公の葛藤がとてもよく分かる気がした。

差別をテーマに描いた作品としては、内容自体は想像の域を超えることはなく、ある一定のところに落ち着いたような印象が強かった。しかしこの映画がなければ、私はスウェーデンにサーミという民族があり、そこに差別があるということを知らないままだっただろうと思う。きっとこの地球上には、私の知らない差別がたくさんあり、それと闘っている人がいるのだと、この映画を観ながら改めて思った。偶然マジョリティに生まれたからと言って、無頓着ではいけないと、身を律したい気持ちになった。

天秤座ルネッサンス
天秤座ルネッサンスさん / 2017年10月18日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
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日本人は真の人種差別を知らない

少数民族の問題はなかなか難しい。
日本にもアイヌがいるが、今はほぼ和人に同化している。
アイヌは遺伝子でいうと現在の日本人の中で一番縄文人に近いらしいからそもそも和人とは類縁にあるともいえる。
東北地方までアイヌが進出していた時代もあるので、和人との境界線も曖昧である。
遺伝子で判断しても東北地方以北の人々は日本の中で一番縄文人の特色を持っているらしいので、アイヌとの混血はかなり進んでいたのではないだろうか。
また明治時代には和人のアイヌへの差別が相当激しかった時期もあったため、和人との結婚が急速に進んだようだ。
ただし法の下では平等に日本人であり、アイヌの子供も和人と同様に教育を受けている。
現在は両親がともにアイヌであるアイヌは減少し、アイヌ語を流暢に話す人間も狩猟で生計を立てられる人間も存在しない。
なおアイヌ問題に絡めてアイヌを政治利用する動きや、そこに群がる利権の問題などもある。

実は日本にはアイヌ以外にもニブフ(ギリヤーク)やウィルタ(オロッコ)という少数民族がいる。もちろん彼らも現在は和人にほぼ同化している。
南樺太や千島列島が正式に日本の領土だった(基本は今も放棄しただけで終戦のどさくさに紛れて火事場泥棒のソ連が奪い現在もロシアが実行支配しているだけ)時にそこに多く住んでいた。
彼らは彼らからすれば力の強いアイヌに圧迫されていたこともあるというから民族問題は本当に難しい。

また本作のサーミ人もそうだが、遊牧民族や狩猟民族が伝統文化を残すのはかなり大変である。
かつては漢族はもちろん、ヨーロッパの一部まで支配下に収めてしまった世界最強の遊牧民族であったモンゴル人ですら、現在は定住者が国民の3分の2を越えている。そしてその割合は年々増えているという。
本作でも描かれている遊牧は定住生活に比べて過酷である。人は便利さに勝てない。
日本のアイヌの人々も自分たちのアイデンティティーを示す職業としては、伝統文化を活かした観光ビジネスぐらいしかない。
本作ではサーミ人の中で都会に出て行く人間と地元に残る人間に分裂する様が描かれているが、おそらく世界中どこの国の少数民族だろうが、多かれ少なかれ同じ問題が起きているだろう。
また政府が少数民族をどこまで保護するかも新たな問題になっている。
アメリカのインディアン居留区のインディアンなどは補助金で生活できるため肥満が増え、無気力化していると聞く。またその利権に群がる人々もいるらしい。

これは私見になるが、文字の有無は民族存立の基盤の1つであると思う。
アイヌ神謡集を読んだことがあるが、アイヌ人は独自の文字を持っていなかったために原文はローマ字で書かれた。
文字がない、または普及していない社会では、現代的な観点の政治経済の発展は難しいだろう。

さて異民族弾圧で史上最も残忍なのはスペイン人に異論はないだろう。
プエルトリコ、ジャマイカ、キューバなどの先住民100万人を絶滅させ、制服して100年も待たずにインカ帝国住民を1100万から10分の1に、1100〜2500万人いたアステカ帝国人を100万人まで激減させるなど南米のインディオに暴虐の限りを尽くした。
あまりの非道ぶりに同国人のラス・カサスからもその残虐さを告発されている。
イギリスから入植した白人を中心に、アメリカでは1000万人いたインディアンの人口が95%滅ぼされ、オーストラリアではアボリジニが10%まで激減した。
アジアでは現在も漢族によりチベット人やウイグル人、南モンゴル人が民族浄化の憂き目にあうなど、大国と少数民族の闘争は今も続いている。
我々が本作のような映画を観てサーミ人の実体を知ることができるのも、スウェーデンという国で制作されたからこそであろう。
むしろ過去にあったおぞましい民族大虐殺や現在進行形で行われている民族弾圧が描かれなければ真の民族差別は明るみに出て来ない。
筆者は大学生の時、上海出身の留学生とチベット弾圧のことで議論したことがある。
マーティン・スコセッシ監督作品の『クンドゥン』を観たからである。
本作のような映画から少数民族やその差別の実体を知るのは素晴らしいことだと思う。

本作は父親がサーミ人、母親がスウェーデン人のハーフであるアマンダ・シェーネルが創った映画となるが、見方によってはシェーネル自身のアイデンティティーを探す旅のようにも見える。
シェーネルの祖父母はサーミ語を捨ててスウェーデンへ同化する道を選び、本作の主人公エレ・マリャ同様にサーミ語を使うこともサーミ人の親戚に会うことも嫌がるという。
本作で印象的な演技を見せるエレ・マリャ役のレーネ=セシリア・スパルロクは実際に今も家族で放牧をしてサーミの生き方をしているらしい。
なお妹のニェンナ役は彼女の本当の妹であるミーア=エリーカ・スパルロクである。

1919年パリ講話会議において日本は世界で初めて「人種平等」を訴え、人種差別撤廃の提案をしている。
しかしオーストラリア首相のヒューズはその場で署名を拒否して席を立ち、11対5の圧倒的多数で可決したにもかかわらず、まだまだ黒人差別が当然だったアメリカの大統領であるウィルソンによって葬り去られた。
歴史は常に大国の勝手によって振り回されている。

曽羅密
曽羅密さん / 2017年10月18日 / PCから投稿
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社会派映画。差別問題の難しさ

北欧スウェーデン、
ラップランド地方の先住民族
サーミ人(ラップ人)の
迫害について描かれた作品。

サーミについて、
何も知らなくても理解できる内容、
ストーリーでした。

また主人公エレ・マリャの
少女時代を演じた
レーネ=セリシア・スパルロクさんから
セリフ以外の仕草、表情だけで
感情・思考が伝わってきて、

差別をされる側の辛さが
とても伝わってきました。

今作のベースは
人種差別の話ではありますが、

私たち、日本人の日常に
当てはめて考えると
より身近な内容の映画として
考えさせられるなとも思いました。

サーミ人がなぜ差別されるのか?

要因として、脳レベルの低さ
(脳の大きさの違い)も
有るのかもしれませんが、

もっと簡単に考えれば、
「貧困」「職業」「体臭」に対する
差別と言えると思います。

私も小学生の頃、貧困を理由に
イジメられている子を見た事があるし、

体臭に限らず、誰だって臭い処には
近寄りたくないですよね?

今、日本で農業・漁業を見下す人は
少ないと思いますが、
アルバイトなどの「非正社員」に対して
職業差別意識を持つ日本人は、
けして少なく無いと思います。
(私も時々、理解ない人に蔑まれます。)

この3つの課題のうち
体臭については作中で触ていて、

あまりお風呂に入らない人など、
体臭があまり良くない人にも
ぜひ見て、セリフを聞いて、
気付いて欲しいなと思いました。

大学生、民族・歴史に興味がある人
以外にも、
小・中学生の子の親子、
驕りがちな大人など、
色々な人の目に触れて欲しいな〜

と、感じる作品でした。

ちびメガネ
ちびメガネさん / 2017年10月13日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.5
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良い映画

人種・民族・出自等に対する偏見や差別…自分の運命に翻弄されます。

stoneage
stoneageさん / 2017年10月12日 / スマートフォンから投稿
  • 評価: 3.0
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