劇場公開日 2017年1月7日

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「面白い題材だが、途中で空中分解しちゃった」ブラック・ファイル 野心の代償 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)

2.5面白い題材だが、途中で空中分解しちゃった

2016年12月9日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

監督はシモサワ・シンタロウ。
米国生まれの日系米国人で『THE JUON/呪怨』『呪怨 パンデミック』 の共同製作や『ザ・フォロイング』などのテレビシリーズの脚本を執筆している。

全米最大手の製薬会社から薬害報告がなされている。
事実はいまのところ不明。
そんな折、国選弁護人を務めている若手弁護士ベン(ジョシュ・デュアメル)のもとに、元カノのエミリー(マリン・アッカーマン)からSNSを通じて連絡が入る。
彼女は、件の製薬会社CEO(アンソニー・ホプキンス)の愛人で、会社が臨床試験を改ざんした記録を持っているという。
3億ドル規模の損害賠償に発展する超大型民事訴訟の糸口をつかんだベンは、勤務する弁護士会社トップのエイブラムス(アル・パチーノ)にその話を持ち掛け、訴訟の責任者の地位を得る。
順調に進むかに見えた訴訟だったが、ベンの情報元のエミリーが何者かによって殺害されてしまう・・・

といったハナシは、あらすじだけ書くと面白い。
いや、映画も途中までは、かなり面白い。

妻子あるベンがエミリーと肉体関係を結び、抜き差しならぬ仲になってしまってからのエミリーの死。
その容疑がベンに降りかかってくる・・・

という展開は、一定水準以上の緊迫感を持って描かれる。
が、中盤からガタピシ。

謎の殺人者イ・ビョンホンが登場してからストーリーがこんがらがってくる。

謎の殺人者へ殺人示唆は誰がしたんだ?
なぜ、そんな示唆をしたんだ?
そもそも、そんな示唆ってしたのかしらん?

エミリー殺害の犯人は最終的には明らかにされるが、その犯人も含め、犯人と目星される人々(製薬会社CEO、弁護士会社トップなどなど)が、ベンを殺人犯に仕立てる理由が皆目不明。
犯人の意外性はあるものの、結末は、論理的に整合性が取れていないとしか思えない(それとも、理解不足なのか)。

ということで気になって脚本家について調べてみると、脚本はアダム・メイソンとサイモン・ボーイスというふたり。
過去には、日本では劇場未公開の『ネバダ・バイオレンス』『JIGSAW デッド・オア・アライブ』『ネバダ・バイオレンス』といった脚本を共同で書いている(一部の作品はアダム・メイソンが監督)。
ふーむ、独立系のホラー映画なのか・・・

それにしても、アンソニー・ホプキンスとアル・パチーノの両名、この脚本のどこが良かったのかしらん。
薬害問題とその隠ぺいという現代的なテーマはあるにはあるけれど。

りゃんひさ