「【今作は、旧ソ連支配下のエストニアで、強大な国家権力、敵わないと思っていた強敵にフェンシングで挑んで行く秘密警察に追われる教師と教え子の絆と姿がムネアツな作品なのである。】」こころに剣士を NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【今作は、旧ソ連支配下のエストニアで、強大な国家権力、敵わないと思っていた強敵にフェンシングで挑んで行く秘密警察に追われる教師と教え子の絆と姿がムネアツな作品なのである。】
ー ご存じの通り、エストニアは1918年に独立を宣言した後も、ナチス・ドイツ、旧ソ連に併合されたが、1991年に独立回復を宣言し、1994年にロシアが完全に撤退した苦難の歴史を辿って来た国である。
今作では、旧ソ連に併合されていた時代にエストニアの小さな町ハーブサルにソ連の秘密警察から逃げて来た男、エンデル・ネリサが子供達にフェンシングを教える中で、且つて胸に抱いていた”剣士の心”を想い出していく様を描いているのである。-
■1950年代初頭、旧ソ連、スターリン指揮下のエストニア。戦時中ドイツ軍にいたため秘密警察に追われるエンデル・ネリサは、小さな町・ハープサルの体育教師に志願する。
レニングラードでは有名なフェンシングの選手だった彼は、学校内でフェンシング・クラブを開くことにするが、ソ連に媚びる校長により、様々な嫌がらせを受けるのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・冒頭、エンデル・ネリサは秘密警察の目を気にし、隠れるように生きて居る。だが、フェンシングを教え始めると、彼の心は嫌な事は忘れ、スポーツにのめり込んで行くのである。
・だが、旧ソ連に阿る、愚かしき校長は保護者会で、エンデルのフェンシング部を旧弊的と批判するが、ヤーンの祖父を始め多くの保護者から、部をすべきだと投票で決めるシーンは、スカッとしたなあ。
・この作品が、胸に響くのは、お爺さん、父が旧ソ連の秘密警察に連れていかれたヤーンを始め、エストニアの多くの子が、父を亡くしていることであろう。
だが、小さな少女マルタを筆頭に、彼らには負けん気があったのである。
・レニングラードでのフェンシング大会に、仲間から”危険だから来るな”と言われたエンデル。最初は出場を辞退するが、マルタの猛烈な抗議により、出場を決めるのである。
■そして、レニングラードでの大会。秘密警察が見守る中、エンデル率いるチームは快進撃を続けるのである。
そして、予選を勝ち抜いたチームは決勝へ。そこで、エースのヤーンがポイントを稼ぐも足を怪我してしまう。エンデルは補欠のマルタを出場させる。大きな相手にたじろぐマルタだが、持ち前の負けん気で相手を圧倒していくシーンは、大変にスカッとする。そして、闘い終了後、エンデルは秘密警察に連れていかれてしまうのである。
<その数年後、1954年にスターリンが死去し、収容所に送られていた人たちが戻って来る。久しぶりにハープサルの駅に戻ったエンデル。そこには、恋仲のカドリを始め、隠れていたヤーンやマルタを始めとしたエンデルの教え子が待っていて、皆がエンデルに抱き着くのである。
今作は、強大な国家権力、敵わないと思っていた強敵にフェンシングで挑んで行く教師と教え子の絆と姿がムネアツな作品なのである。>
いい映画でしたよね〜。
そして、2017年2月に、俺がこの映画.com に初めて書いたレビュー。ああ、懐かしい。もう8年も経ったんですね。私的な話になっちゃって失礼しました。