「心を揺さぶる」君の膵臓をたべたい(2017) ケイさんの映画レビュー(感想・評価)
心を揺さぶる
2018年にAmazonプライムで鑑賞。
ふとした弾みで原作を読み、映画をネットで鑑賞しました。
何度読んでも、何度観ても泣けてきます。歳を取ると、涙腺が弱くていけません。
「選択が私たちを会わせた」、自分を振り返ると心に響きます。そう、自分の選択で今の自分がある。納得しているものの、あの頃に戻って別の選択をしていたら。
原作と映画を比べると、主人公二人の性格設定が異なるように思えました。「僕」は、原作では損得計算の上で人と交わらないことを選択していたのに対し、映画では傷付き/傷付けることに臆病なように見えます。原作の「僕」はブリキのロボットで、桜良が流れ込んで人の心を持つのに対し、映画の「僕」は星の王子様であり、桜良から人と交わることの尊さを教えられたように感じました。
桜良の性格は、「僕」に釣り合うように、映画では純粋化されていると感じました。彼女は積極的に行動する女性、少し気になる相手を知りたい-〉嫌われてないけど反応が薄い-〉好きになった、どうしよう。臆病な相手に言動がエスカレートしてしまうようです。更に桜良は、病気で追い詰められていますね。
北村匠海さんと浜辺美波さんは、繊細な心を表現して好演です。この映画の最大の収穫は、浜辺さんの美しく豊かな表情と仕草で、役者としての成長を見続けたいです。
桜良が「僕」に宛てた最後の手紙は、臆病な「僕」を勇気付けるために贈られた、と受け止めました。臆病なために孤独を選び、桜良が居なくなっても傷付けられないように、桜良を心の中の友達でも恋人でも無いところに押し込めようと必死な「僕」。桜良の「春樹は強い、憧れていた」は、春樹の葛藤を知り、孤独を耐える強さに憧れ自分もそうなりたいと肯定した上で、人と交わることを恐れず生きて欲しいという願い。12年遅れて手紙を見つけ、ようやく前を向くことが出来た「僕」。
そして最後のタイトルフレーズに繋がるくだりは、春樹の中で生きたい、やっぱり、春樹と一緒に生きたい、という、桜良の本心を現していると感じました。