人生フルーツのレビュー・感想・評価
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一歩一歩ゆっくり二人で進む
とある建築家夫婦の生活
こんなにも素晴らしい夫婦生活がおくれる二人が羨ましい
最高の作品でした。
なんとものどかでゆっくりした生活、一つ一つが優しくて暖かく感じた。
人生の一つの理想像がこの作品にはあるのではないだろうか。
自分達の食べ物を庭で育て、必要な物は馴染みのお店で買う。
こだわりと人情を大切にし、誰にでも優しいく穏やかに過ごす事を簡単に行っている二人。
意外と単純でマネできそうなのだが、今の自分には難しい行動だ。
だが、二人を見習って少しづつマネできる所からマネしていきたいと思った。
この作品ではマネしたい事が本当に多い。
自分で育てた果物や野菜を食べる
季節を楽しむ
土いじりを通して自然を感じる
看板に一言添える
物を大事に扱う
修理できる物は修理する
知り合いに手紙を出す
誰でもできて誰もやらなくなった事や昔ながらの生活の楽しみ方。
利便性のために捨ててきた物、手間のかかる事の味わいや心の癒しにい気付く。
おじいちゃんはの仕事への熱意と責任感も凄い。
自分の手掛けたプロジェクトを最後まで見届けるために、設計したニュータウンで生活をするし、引退後も心のケアをする施設の設計を請け負い、真心こめて仕事をする。その姿勢にはただただ尊敬するしかない。
おばあちゃんは可愛らしく、手作り料理や畑仕事をこまめにする。
毎日おいしいごはんを作って、生きる活力を与えてくれる。
夫を支え健康のため食事にこだわり、食べきれない食材は子や孫におすそ分けし、主婦として母として素晴らしいと思う。
話は少しそれるが老夫婦ドキュメンタリーと言えば、「二人の桃源郷」も大傑作、こちらは電気も水道もない山奥で自給自足の暮らしをする夫婦の話だ。
どちらの作品も自然と共にてゆっくりと生きていく夫婦の話だが、状況も環境も違うのにどこか共通していて憧れてしまう。
同じような作品で「あなた、その川を渡らないで」と「風の波紋」もある。
この二つも田舎の夫婦を追ったドキュメンタリーだ。
ただ、自分はこの二作品はあまり好きではない。
「あなた、その川を~」はすごく作り物の臭いがするし、「風の波紋」はいかにも田舎暮らしいいでしょう?憧れるでしょう?
と言っているような気がしてしまうのだ。あくまで個人的だが。
「人生フルーツ」には作り物でも押し付けでもない、純粋な生活が描かれていると感じた。
同じ劇場に居た大学生位の人はかなり感動しているようだったし、若者にも通じる感動が有る作品なのだと実感した。
夫婦で見ても一人で見ても、親と見てもいい作品だと思うし、鑑賞後の幸福感と満足感は保障するので是非鑑賞して頂きたい。
劇中セリフより
「人生コツコツ」
一つ一つを大切に、ゆっくりでもいいから積み重ねる。
人生を楽しみ豊かにする方法はマイペースでいる事なのかも知れない。
いつか必ず実る人生フルーツ
タイトルからはピンとこなかったけど、いい映画というかいいドキュメンタリー作品だった。
テレビ放送された番組の映画化だけど、この老夫婦が持つ独特な時間の流れをただそのまま見つめていく。
意図的な文字スーパーが必要最小限に挿入され、ナレーションもおなじみの樹木希林さんだから安心して観れる。
舞台となるのは、この老夫婦が住む名古屋近郊の高蔵寺ニュータウン。
前知識は、建築家だったことと果樹に囲まれて生活しているということだけ。
よく知ってるつもりのあまり好きではなかった土地だけど、映画を観て変わった。
その何でもない日々の暮らしがこんなにも豊かで、二人きりの老後をここまで楽しめる秘訣はどこにあるんだろう。
このニュータウンがどうして出来たのかの理由が、伊勢湾台風だったとは。
ときは高度経済成長の真っ只中。
被害の無かったこの高台の地に、住宅公団の都市計画が持ち上がる。
その先頭に立ってプランを設計したのが、この津端修一さんだったのだ。
そのプランでは、地の利をいかして尾根沿いに家を建て、谷はそのまま風の通り道となるよう、21世紀の現代こそ必要とされる自然と共生するライフスタイルを、すでに60年代に打ち立てていた。
しかし、計画が進むにつれ業者やいろんな利権が入り込んだのだろうが、結局今わたしたちが知ってる無機質な団地となってしまった。
だからこそ、修一さんは責任を感じたんだと思う。
無残なはげ山となり造成された新地で、自ら土地を買い木を植え土をつくりながら小さな実験をはじめる。
全体からでは出来なくても、1軒ずつでもそんな暮らしが増えていけば、雑木林に囲まれた住宅街が出来ると、自らのプランを実現しようとする。
そのスピードはなんとゆるやかなことか。
ゆっくりでもこつこつとやっていれば、やりたいことは自然と実現していく。
お金を貯める生活でなく、時間を貯めるというとてもシンプルで豊かな生活。
だから、何でもない日々の生活のひとつひとつが生き生きとして、それらは果実のようにいつか必ず実るということをわたしたちに教えてくれる。
英子さんの手料理ひとつひとつも。
お孫さんにつくったドールハウスや、娘さんが大切に思った鳥の水場も。
そんな夢のような時間がいつまでもつづき、まさか最期のときが来るとは思えない二人だったけど。
だけれど、それも自然に美しかったのだ。
コツコツと、ゆっくりと
映画の中で何度となく、樹木希林が語る
「風が吹けば枯葉が落ちる。枯葉が落ちれば畑が肥える。畑が肥えれば果実が実る」が心に響く。
戦後、住宅難の時代に設計に携わったニュータウン。
初めは団地に入るも、その後、敷地の一角に平屋の住宅を建て、樹木を植え、畑で野菜を作りながら、その町を観察していたのだろうと思う。
最期まで、人間が楽しく幸せに暮らせる住宅を追い求めていたのだろう。
家は生活の宝石箱でなくてはならない(ル・コルビュジエ)
長く生きるほど、人生はより美しくなる(フランク・ロイド・ライト)
全ては、自然が書いた偉大な書物を学ぶことから生まれる、人間が造る物は、既にその偉大な書物の中に書かれている(アントニ・ガウディ)
すてき。
ものすごくすてきなご夫婦。
学ぶこといっぱい、そして大事なことに気づかされ涙。
とても濃い、優しい、温かい映画でした。
樹木希林さんのナレーションもぴったり。
人間らしく。ゆっくり、こつこつ。自分でできることは自分で。なにかが見えてくる。
丁寧に暮らしたいのに、なかなかできてない自分には、とてもよいお手本を見せてもらえました。理想的なおふたり。
丁寧にこつこつと
ドキュメンタリー映画
元々は東海テレビで放送されたのがきっかけで
映画館でも放送されるようになった。
津端夫婦は本なども出版されている
有名な建築家の、ドキュメンタリー映画。
その模様は、いつも丁寧に暮らし
人生を楽しんでいる様子があった。
自分も将来そんな風に生きていきたい
旦那様が生きていたら会ってみたい
そんな風に思わせてくれる映像!
ドキュメンタリー映画の再発見
2回/日の鑑賞は避けている。なにせ頭が悪いから先に観た内容をトコロテンみたいに脳内から押し出してしまうから。
しかし、『アンチポルノ』のリベンジじゃないけど、何か上書きしないと、逆に精神的に疲労感が重くのし掛ってしまうと感じ、直ぐにラジオでサンキュータツオかPKが喋っていた今作品を思い出す。新宿から東中野は直ぐだ。人気で連日満席だということだが、寒い雨の日はその辺りクリア。
さて、作品だが、題名が少々勿体ない、ちょっと寂しいと感じる位、内容は素晴らしかった。これをドキュメンタリーで上映するというところもピッタリなモチーフである。樹木希林のナレーションもガッチリ嵌る。『風が吹けば枯葉が~云々』の朗読も所々にポイントで登場するのも場面展開としてのきっかけとして良い。
そして何より、登場人物の高潔さに唯々感心する以外にない。芸が細かく、そして寡黙、そして、芯を捉える朴訥とした語り、その全てが正に、悪い表現で申し訳ないが、絶滅危惧種的な世界なのだ。
フィクションという物語のプロットやモチーフ等にそんなイメージを織込むことは枚挙に暇がないが、正にこれはノンフィクションでドキュメンタリーなのである。
そして、これをテレビではなく、映画として表現場所を求める最大の山場をきちんと用意されている周到さにこれまた驚く。勿論自然の摂理なのだが、これはフィクションではなく、ノンフィクションなのだということに涙を禁じ得ない。
鼻を啜る音が館内にこだまする今作品、多分ドキュメンタリー部門で、どこかの映画祭で賞をあげて欲しい、そんな強い感動を得られた作品を撮った、東海テレビに称賛である。
暮らしの宝箱
暮らしを自分たちの手で作っていく。
物を選んで長く使う。
土を作る。
野菜、果実を作る。
着るものを作る。
楽しんで作る。
素敵だなぁ、いいなー✨
と思いながら鑑賞していました。
憧れに終わらず、作りたい!
と思っていることを、実行しようと思いました!
人として、どう生きるのか
どんどん手触りのあるものが減り、便利でキラキラしたものを良しとするながれの中で、やっぱり手触りのある生活っていいなぁと素直に感じられる作品。
そういうものと切り離しては人は人として生きていけないんだなぁと。それを楽しみながら人生をかけ、体現したからこそ、この作品は暖かく、まっすぐに届くのだと感じました。
ゆっくり、ゆっくりと丁寧に生き抜く…
ある建築家の10年くらいの余生…のドキュメンタリーです。
余生というには、スマホが当たり前になった僕にはあまりにも衝撃的過ぎて。
高円寺ニュータウンのプロトデザインを考え、そこに暮らし、人が生きるということを、信念を持って全うした建築家のドキュメンタリーですが…本当に暖かく、優しく、ゆっくりで、生きるという事を考えさせられる映画でした。
最初の光景から印象的でしたが…最後の仕事に対する姿勢や意識…結局人は死ぬということを前提に何ができるのか…ということをかんがえました。
ゆっくり、でも一歩ずつ、そして、丁寧に自分で考えてやってみる…当たり前だけど当たり前じゃない今だから、ゆっくり突き刺さる映画でした。
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