劇場公開日 2017年1月2日

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「ドキュメンタリー映画の再発見」人生フルーツ いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ドキュメンタリー映画の再発見

2017年2月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

2回/日の鑑賞は避けている。なにせ頭が悪いから先に観た内容をトコロテンみたいに脳内から押し出してしまうから。
しかし、『アンチポルノ』のリベンジじゃないけど、何か上書きしないと、逆に精神的に疲労感が重くのし掛ってしまうと感じ、直ぐにラジオでサンキュータツオかPKが喋っていた今作品を思い出す。新宿から東中野は直ぐだ。人気で連日満席だということだが、寒い雨の日はその辺りクリア。
さて、作品だが、題名が少々勿体ない、ちょっと寂しいと感じる位、内容は素晴らしかった。これをドキュメンタリーで上映するというところもピッタリなモチーフである。樹木希林のナレーションもガッチリ嵌る。『風が吹けば枯葉が~云々』の朗読も所々にポイントで登場するのも場面展開としてのきっかけとして良い。
そして何より、登場人物の高潔さに唯々感心する以外にない。芸が細かく、そして寡黙、そして、芯を捉える朴訥とした語り、その全てが正に、悪い表現で申し訳ないが、絶滅危惧種的な世界なのだ。
フィクションという物語のプロットやモチーフ等にそんなイメージを織込むことは枚挙に暇がないが、正にこれはノンフィクションでドキュメンタリーなのである。
そして、これをテレビではなく、映画として表現場所を求める最大の山場をきちんと用意されている周到さにこれまた驚く。勿論自然の摂理なのだが、これはフィクションではなく、ノンフィクションなのだということに涙を禁じ得ない。
鼻を啜る音が館内にこだまする今作品、多分ドキュメンタリー部門で、どこかの映画祭で賞をあげて欲しい、そんな強い感動を得られた作品を撮った、東海テレビに称賛である。

いぱねま