劇場公開日 2017年5月19日

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「書き直し(2度目の鑑賞) いいねをしていただいた方々、またまたごめ...」メッセージ R41さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0書き直し(2度目の鑑賞) いいねをしていただいた方々、またまたごめ...

2023年12月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

知的

難しい

書き直し(2度目の鑑賞)
いいねをしていただいた方々、またまたごめんなさい。
2度見る価値のある作品というのは、やっぱりあります。

「メッセージ」というタイトル
奥深い作品
物語というものの進化を感じるを得ない。
こんな作品を作ることができるアメリカ人という存在を再評価する。
彼らの中にもまた真理というのか、普遍性というのか、またはスピリチュアルというものが根付いていることがはっきりとわかる。
SFというモチーフを用いて真理を語る手法は、物語そのものの面白さ、そして主人公であるルイーズだけが理解したこの宇宙の理というものを我々に教えてくれる。
この真理
この新しさ。
「彼ら」はこの先3000年後に起きるヘルプに対する準備を、あえて、このタイミングで行った。
それはたった一つの気づきであり、言語学という分野のカリスマ的存在として広くこの理を全地球人に伝える存在であれば事足りるというメッセージ。
そのためだけに仕込んだ世界12か所での「宇宙船」による「コミュニケーション」というメッセージ。
この彼らのメッセージを、全世界が攻撃対象とした。
そんなことさえ、すでに彼らはわかっていたのだろう。
コミュニケ-ションできないものに対する「攻撃」
全人類が持つ「恐怖」
その排斥のための「武器」 = 戦争
そんなことは端からわかっていながらも、あえてこの地球を選択したこと。
そう、
まだ我々は「大丈夫」なのだ。
たった一人気づくものがいれば。
ジーサス・クライスト
これを感じさせる物語だ。
彼の、その一点だけを抽出したのがこの作品だと感じた。
今も、未来も、過去も、まさにこの瞬間、この同じ空間の中に存在するということを、この物語に託している。
宇宙人の介入した現在過去未来によって、ルイーズは世界を救う。
そのことはそのことだが、ルイーズにとってのそれは、まだ見ぬ未来とそこで起きる大きな出来事の数々。
喜びと悲しみの同居。
この理を人類は受け入れられるのかどうかを彼らはメッセージとして送り、実に3000年の猶予を持って現れた。
それはおそらく、たった一人で良かったのだ。
まるでウミガメの産卵と生き残る可能性のように思える。
ただそれは、今、たった一つであっても、やがてそれは普遍的な理となるのだろう。
その布石こそ、彼らの目的であり「メッセージ」だった。
全世界の行動
各国協力しておきながらも、自国に有利なようにしか駒を進めないやり方。
武器という単語は、世界征服するためのもののようにも思える。
彼ら宇宙人のメッセージもまた暗号っぽくしている。
かつての火星人のモデル
タコ入道のようなエイリアン
その吐き出す墨
水墨画のような文字
その解読を我先にと急ぐ。
彼らの文字
一文字で表される文章。
その解読は難航を極める。
ただそれは、ハメるためではなく理解してほしいから。
彼らの姿と、科学力に恐怖しかない各国政府
この、「恐怖」を受け入れられない人類に対する「メッセージ」
たった一人で良かったのもまた、2000年前のジーサスと同じで理だろうか?
昨今、多くの人がスピリチュアルな概念を思考に落とし込もうとしている。
だがうまくいかない。
誰かがそうだと言っているのも、それが本当かどうかわからない。
そこにある「私」という現象と「人生とは」といったような哲学的問いかけ。
宇宙人やUFOは未知の象徴
その異次元の科学力
その恐怖
時間という概念
ルイーズは夢と幻想の中で様々なビジョンを見る。
やがてそれが、…。
すべては決まってしまっているという考えにもなるこの作品
ここがこの作品に対する最大の是非
しかし、
出来事は起こるものだ。
そこには必ずいい面と悪い面がある。
ピンチとチャンスはいつも一緒にやってくる。
組織が大きくなるほど「問題定義」がされ「対処」が問題となる。
それは組織自体が存続する方向へと向かうものだ。
物語上の各国政府だ。
しかしこの作品は、個人の認識ににこそ「問題」があると言っているように思う。
いま-過去-未来
わかりにくいかもしれないが、いまこの瞬間に、ビデオフィルムのようにこの3つは同じ空間に存在しているというのが、スピリチュアル的思考。
この出来事に対しポジティブな感情とネガティブな感情を揺らしながら右往左往するように暴れているのが、私の人生、自作自演。
ルイーズのように長いスパンでそれを知ったとき…。
これを自分自身で想像してみるのがこの作品だろうか。
この『メッセージ』は、ただのSFではない。
それは、私たち自身への問いかけであり、未来への希望でもある。
素晴らしいSFだった。

R41
Mさんのコメント
2025年6月3日

この映画の「未来と過去と現在が同時に存在する」という考え方は「大豆田とわ子と三人の元夫」のオダギリジョーの話の中にも出てくるのですが(作者もこの映画を見ていた?)、私にとって、とても安らぎを与えてくれる考え方でした。

M
きりんさんのコメント
2025年5月17日

R41さん
共感ありがとうございました。

地球外生命体がやって来たとき、彼らのコトバを何とかして聞き取ろうとして世界が固唾を呑んだ。
― その事が我々の世界にとってはとても大切で、回復すべき生き方だったと思いますね。

他者のコトバを聞かず、他者を黙らせ、他者の言語を奪って住民ごと言葉を殲滅させてきた我々人間の「戦争」と「植民地化」の歴史。
全世界に7000余の言語があり、そのうち44%が消滅の危機にあるのだそうです。

僕たちはもう一度、自分は口を閉じて相手の存在に耳を傾けるべきなのだと、
この映画はそれについても大きなメッセージをくれたと思います。

きりん
かせさんさんのコメント
2025年5月11日

キム・スタンリー・ロビンスンじゃなくてテッド・チャンでした。
色々とまちがいまして、大変申し訳ないです。
m(_ _)m

かせさん
琥珀糖さんのコメント
2024年4月7日

コメント
ありがとうございます。
R 41さんのコメントを読んで、はじめて意味が
分かりました。
夢の中で主人公は、未来の夫の顔そして子供が生まれて、
その子供が難病で亡くなる。
それでも何もない未来より、愛して失うと分かっていても
結婚して子供を生む・・・未来を選択する。
映画では整理出来てない事柄がはじめて納得出来ました。
テッド・チャンが世界的に愛される訳が知れた気がします。
そのことを、ヴィルヌーブ監督の答えが「メッセージ」の映画なのですね。
良かったです、ありがとうございます。

琥珀糖
かせさんさんのコメント
2024年3月31日

キム・スタンリー・ロビンスン原作の『あなたの人生の物語』という中編の映像化ですね。
すごく好きな作品だったんですが、それを知らずに見てて途中で気づきました。
ヴィルヌーヴに撮らせるとなんでも美しいなと、絵になる映像を撮れる監督だと思います。

かせさん
Don-chanさんのコメント
2024年3月23日

R41さん コメントどうもありがとうございます。
今作では彼女が未来を知ってしまったわけですが、それでもその人生を歩むということは、かけがえのない一瞬一瞬を大切に生きることが容易に想像できます。確かに、そこに感動がありますね。
未来を知るということは、綿密に計画したことを実行することと似ていますね。

Don-chan
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