「フラッシュバックで登場する女の子は誰なのか?」メッセージ Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
フラッシュバックで登場する女の子は誰なのか?
ドゥニ・ビルヌーブ監督(ボーダーライン等)により2016年製作の米国映画。
原題Arrival、配給ソニー・ピクチャーズエンタテインメント。
フラッシュバック的に挿入されている映像が、実は未来の映像というのは実に斬新で、凄く面白く感じた。そして、フラッシュバックの謎が完全に分かり、未来には不幸があると分かっていても、今この時の幸せを重視し、プロポーズを受け入れたヒロインの重い決断。一人一人の人生の意味の様なものを考えさせられた。そして、映画のラストにおいて、あのフラッシュバックの原点に辿り着いたという大きな感慨があり、映画タイトルは自分的には原題の方が良かったかなとは思った。
異星人が12ヶ所におり、断片的な情報をもたらす。タコの様な異性人ヘプタポッドの造形はありきたりだが、墨の様に描かれるループ状の表意文字の造形は素晴らしかった。宇宙船の形もシュールで気に入った。
ヒロインの活躍で最も好戦的であった中国将軍を説得し、12の断片的情報を繋ぎからのわせることに成功し、異性人からのメッセージを解読することができた。この流れ、ありがち感は有るが、ヒロインが観る未来映像の賜物という要素が入れられて上手いストーリー展開と思わされた。また12カ国のノンゼロサムゲーム、win-win の関係性が現実にあり得るということを、具体的に示していたことに、メッセージ性は感じた。
製作ショーン・レビ ダン・レビン、アーロン・ライダー デビッド・リンド、製作総指揮スタン・ブロドコウスキー、エリック・ハイセラー ダン・コーエン、カレン・ランダー トーリー・メッツガー、ミラン・ポペルカ。
原作テッド・チャン「あなたの人生の物語」、脚本エリック・ハイセラー(遊星からの物体X ファーストコンタクト等)、撮影ブラッドフォード・ヤング、美術パトリス・バーメット。衣装レネー・エイプリル、編集ジョー・ウォーカー、音楽ヨハン・ヨハンソン、視覚効果監修ルイ・モラン。
出演はエイミー・アダムス(バイス等)、ジェレミー・レナー(ハート・ロッカー等)、フォレスト・ウィテカー、マイケル・スタールバーグ、マーク・オブライエン、ツィ・マー。
原作のテッド・チャンの「あなたの人生の物語」を読み終えました。
大傑作の印象で、感銘も覚えました。
特に、光の経路に関するフェルマーの原理が目的論的(光の到達する目的地が予め分かっている様に思える)で、それを容易に理解出来ているヘプタポッドの言語は、過去現在未来の同時把握的なデザイン構造をしている。そして、その言語を習得したヒロインが、必然的に未来をも見通せる能力を身につける展開が、実に秀逸。更に、その能力を用いて未来の娘(25歳で山岳事故で亡くなる)に人生を語りかける構成が斬新で、感銘もさせられた。
なお少々残念ながら、フェルマーの原理が目的論的というのは、人間側の誤った解釈らしく、現在ではファインマンによる確率振幅の理論等で因果論的に説明出来るらしい。
皆様、コメント有難うございます。
原作は未だ読んでおらず、是非読んでみたいと考えています。
ヒロインの未来が見える能力が宇宙船が来る前からあったか否かが、自分には判然としてませんが、原作読めば明確になるんですかね。
今晩は。
今作はやや、難解ですが、テッド・チャンの「あなたの人生の物語」に収められた短編”あなたの人生の物語”を読むと、成程・・、と思った作品でしたね。
ドゥニ・ビルヌーブ監督の才能が、SFでも十二分に発揮されるんだなと思った作品でもありました。では。
同じく非常に面白い作品だと思いますし円盤も買いました。異星人と出会い!?そこに居た?👽価値観の変化から過去も未来も同時に見える能力を手に入れてしまう話は、ミステリーとSFの組み合わせが非常に上手いなあと感じます。少女は自分の子供の大きくなった姿で、最愛の者の生と死も同じモノと感じ新しい価値観と向かい合う姿勢は感慨深いものがありますね。
何故?中国って思いました。後から、中国系作家と分かり、原作も読んでみました。
映画は中国に忖度してますね。さしずめ、今ならロシアですね。僕が不満だったのは、大団円が『スター・トレック』みたいに稚拙だったことですね。
> 墨の様に描かれるループ状の表意文字の造形は素晴らしかった
ですね。たしかに。
この映画、観た際にはあまりハマらなくて、この映画.com でのカミツレさんと琥珀さんのやりとりをみていたく感心し、原作を読んで「そういう話だったのか!」と目の前が開ける、という貴重な体験をできたのですが、Kazu Ann さんのレビューも素晴らしいです。