沈黙 サイレンスのレビュー・感想・評価
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原作の完璧性の証明
あくまで原作に則った映画で、オリジナルの要素はほとんどない様に感じました。
過不足なく忠実に描かれていて、というよりそれをするだけで完璧に素晴らしい映画になってしまったという作品だと思います。
その原作の完璧性と、その完璧な原作を完璧に再現した凄さがこの映画の小さくない見所の一つだと思います。
丁髷が英語
日本以外の監督作品の場合、曲解された日本表現が心配になるが、全く気にならない雰囲気でしたが、やはり気になるのは英語。市井のおじさんが躊躇いなく英語喋ってるのは変というか不思議。
これだけ苦労して布教活動してから早400年強。日本でのキリスト教率は数%らしい。この映画の中でも「この国は苗を植えても育たない沼だ」と宣教師に棄教を迫ったが、現時点では少なからず当っているのかもしれない。
それでも、知り合いの五島列島の方に聞いたが、地元にはクリスチャンが多いらしい。
日本は田畑かそれとも沼地か。
キリスト教を尺度にするのはちょっと違うかな。
キリストの沈黙
1600年代の江戸初期、キリスト教が布教を禁じられていた頃のポルトガル宣教師のお話。小説未読。
宗教に無頓着な私としては、神のお言葉だろうが何だろうが知りません。何かにすがりたい気持ちがあるからこそ神が存在し宗教なるものがあると思いますので、寄りたい気も無いし逆も辞めて状態。
まあ、3時間弱長々と拝見しました。この作品を観ると、当時の外国人の布教には文句は言いませんが、受け入れた側の日本人の馬鹿さと言うか、浅はかと言うか。
キリスト教が都合のいいその当時の暮らしの逃口にしか感じませんでした。
また、日本にはキリスト教は根付かないと言って、「じゃあ、根付いている仏教は?」がこの映画には無い。(あるからこそ棄教した後のお話も描いたんだよね?)
仏教の事も理解し、総合的に考えれる人間は居なかったのか?(あまりこの映画には描かれていません。)と思うと、この映画の意味・理解に苦しみます。(日本側の歩み寄りも無意味。)
100歩譲って宗教の狭間で揺れ動くキリスト宣教師の話として少しはマシだったけど、最後のアレは何?
何はともあれ元の鞘に納まる?
シラケるって!すがらせて終わるな!
私としては当時日本としてのキリスト教の意味合いを期待していただけに、長々と観せられた時間と共に残念です。
評価が難しい。
司祭として師匠の司祭を探すために日本にやってきたが、キリスト教禁止令のもと、過酷な生活を強いられる。
探し求めていた師匠は改宗していて、改宗を勧めてくる。
そこの葛藤が丁寧に描かれている。
改宗したらキリスト教徒は殺されず解放されるが、司祭ほどの立場で自分の宗旨を否定するのことができるのだろうか、と。
助ける代わりに改宗。布教もできない、罪を聞くこともできない、それを求められても断らなければならない。それを表面上でも仏教徒として生きていけるのか。
踏み絵は教科書で見たが、踏めばいいじゃん!と軽く考えていたのが恥ずかしくなった。それほどの強固な信仰を持って生きる=生き様そのものがキリスト教徒なんだろうね。
『形だけでいいから...。』というところにこそ潜む本質
宗教的バックグラウンドがないだけに、
余計にキリスト教文学の深さに驚かされ、キリスト教と日本の仏教観についてより深く知りたくなる作品でした。
何度か出てくる、
非常に日本的な『形だけ...』というのが非常に印象的で、
日本の隠れキリシタンを題材にしてキリスト教を描く本質的な深みがここにあるのではないかと感じます。
最後にロドリゴが火葬されるシーンでキリストの像を握りしめているカットが入っていることからも分かるように、
(しかも恐らくは死後に妻が本人の意思を察して?そのように握らせて火葬されたのかもしれないと思えば、)
単に批判的な観点ではなく、
日本的な共同体の中では自我を抑えて『形だけ』でもその場を成立させなければならない文化、民族性があり、
たとえ、そのような背景においても個人の信条というものは奪えないものであるということについても考えさせられました。
フェレイラもロドリゴもキチジローも全員転んでいますが、
置かれた環境と状況に合わせてその信仰の形を進化させただけであって本質的な棄教はしておらず、
その心の中では各自の宗教観が生き続けているように見えました。
かつての自分の師がこれまでの教えを全否定するという、
それまでに生きてきた人生や自分自身の誇りや生きる糧を一瞬ですべて否定されるような強烈な場面は釘付けになります。
原作も読みましたが、
自分自身の信念を曲げることが出来ずに殉教する(それまでの価値観にこだわる)ことが、
はたして本当に正しいといえるのか?
という問いかけは普遍的で、
キチジローの惨めに苦悩する姿や、転んだ宣教師たちの姿を軽蔑するマッチョな世界に対する違和感を気づかせてくれます。
そして同時に、
カトリック思想が強く、神学校で学んだこともあるというスコセッシ監督が28年かけて完成させたというカタルシスに思いを馳せると感慨深いものがあります。
全体としては、よい作品
さすがに読み返すことはしていないが「沈黙」は二回くらい読んでいる。こんなだったかな?とてつもない凄みのある小説、という印象は残っている。
えっと、主題は「神の沈黙」で、そこはなんらぶれていないと思う。おそらく原作に対するリスペクトがあるためだろう。とくに監督色があるわけでもない。
モキチがこの映画のひとつのピークかな。殉教の残酷さと美しさが一番わかりやすく出ている場面。主人公がはじめて踏み絵するシーンも力を込めているのが伝わってくる。とても印象的である。
まあ、意見はいろいろありそうだけど、キチジローはミスキャストか?声質が軽いのと、汚くなりきれないルックスはマイナス。(俳優としてダメとかじゃなく、単にミスマッチという)
全体としては、よい作品と言えるのではないでしょうか。
信仰の本質を炙り出す良作
前半一時間がとにかく見ていて辛すぎた。
信仰心を絶やさない為、周りの犠牲を見ながらも何も出来ないという無力さ。
そのいたたまれなさと言ったら想像を絶するだろう。
日本人キャストとハリウッドキャストのアンサンブルも見事だった。
信じていたのに救われないだなんて。
神の存在とは一体なんであろうか?
己の命を捨ててまでも神を信じるべきであるのか?
そんな疑問を投げかけたくなる終わり方でした…。
仏教が主流の日本では、異国の宗教はなかなか受け入れがたいもの。
それでも村々の人たちは、宣教師が隠れていることをひた隠しにしながら生活していたようです。
役人に捕まって拷問を受けてもひたすら耐え忍び、死んでいった数多くの日本人たち…。
祈っても祈っても死罪となってしまう虚しさに、パードレの心はボロボロです…!
信ずるものは救われないのか…。
裏切り行為を繰り返す男が生きながらえるのに、真面目な信仰者は死罪というやるせない現実…。
神も己自身も信じられなくなったパードレの、辛く悲しそうな表情が心に残ります…。
結局、日本にキリスト教の教えは根付かず、泥沼の中でもがき苦しむしか出来ないのでしょうか?
仏教がここまで根強い影響力を持っていたとは⁈
色々と考え深い作品でした。
大学三年のときに原作を読んだ。 当時、あまり本を読む習慣はなかった...
大学三年のときに原作を読んだ。
当時、あまり本を読む習慣はなかったが、なぜかすっと読めた記憶が。
三浦綾子といい、遠藤周作といい、キリスト教ものは共感できる点ややるせない点がなんとも惹きつけられる。
涙なしには観れません。
クリスチャンの家に生まれ、親に信仰を強制された私としては、とても感慨深いものがあります。
キリスト教のすべてが悪いとは思っていませんが、人による勝手な解釈で歪められている部分が多いと思います。
この映画を観ていて、私は「生きてこそ」だと思いました。キチジローや主人公を責める気にはなりません。
踏み絵だってただの絵です。
真理が何なのか分かりませんが、殉教が正解だとは思えません。
「沈黙」という題でありながら、クライマックスで答えていますが、これは信仰によるものという解釈でしょうか?
神は沈黙しつづけることも神である所以だと思っていました。
アンドリューの演技に圧巻
日本の時代背景の描かれ方が、日本の時代劇よりもリアルで素晴らしいです。トニー賞受賞したアンドリューガーフィールドの演技は圧巻ですね。キリシタンの非情な拷問シーンが何度もあり目を背けたくなります。それでも棄教せず頑なに信仰を貫く姿に心が締めつけられます。何度踏んじゃえと思ったことか。重くて辛い作品でした。
大浦天主堂や日本二十六聖人殉教地は長崎旅行で訪れました。宗教とは何かと改めて考える、よい機会になりました。
スコセッシの愛
暗く重く、拷問シーンも多いが不快さは少しもない。きっとスコセッシが日本とキリスト教を愛し尊敬の念があるからだろう。他の人が撮っていたらこうはならなかったのではないか。
表面は棄教していても内はいつも神と共にあったというキチジローとロドリゴ。敬虔なクリスチャンからしたらダメな事なんだろうけれども神とはなんだ⁉️と問いかけ続ける160分は貴重な時間でした。
レビュー
遠藤周作原作+スコセッシ監督作品。全体に対する期待とキャスティングに不安を覚えつつ鑑賞。序盤、住民の生活感や必死さがひしひしと伝わる。中盤以降は宗教と人間について考えさせられた…🦊💦
かなり普遍的なテーマに落とし込まれているので、現代でも響くものがいくつもありました😋
痛く、切なく…
熱い志しを持ち、大航海を経てジパングに辿り着いた宣教師達。そこは、島原の乱以降、キリシタン弾圧の過酷な運命が待ち構えていた。
今の自分達には、そうまでして布教に努め、神に縋るのかは理解し難いところでありますが、当時の貧しい百姓達の苦悩があまりにもリアルに描かれており、心痛くなりました。
信じるものが違うから、人が人をあんなにも苦しい拷問の末に命を絶つ。それっていつの時代も変わらない人の悲しい性なのかもしれない。
クリスチャンの原作者・遠藤周作だからこそ描けた作品なのかもしれません。
とても重くて難しいストーリー
・何をしてもこのような状況では良い答えが見つからないので、観ていて辛かった
・私は無宗教なので、意味が分からないシーンが結構あった
・キチジローの気持ちや行動に感情移入出来なかった
・映像はリアルに感じてスゴいと思った
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