最後の追跡のレビュー・感想・評価
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コマンチェ=敵
代々受け継がれた土地を守る為に、何とかお金集めたい弟(クリス・パイン)が、兄(ベン・フォスター)に銀行強盗を持ち掛け 強盗を繰り返すが、定年間近のテキサス・レンジャー(ジェフ・ブリッジス)が、相棒(ギル・バーミンガム)と共に兄弟を追い詰める…。
かつて、アメリカン・インディアンズのコマンチェ族から奪った土地を、同じアメリカ人に奪われそうになり、強盗を繰り返す兄弟と白人に対抗したアメリカン・インディアンズのコマンチェ族の姿が重なる…。
ジェフ・ブリッジスの飄々としながらも、鋭い勘で事件を解決に導く 老いたテキサス・レンジャーが良かったし、行き当たりばったりで、破滅の道を突き進むお兄ちゃんのベン・フォスターも良かった。
搾取される現代のネイティブアメリカン
個人評価:3.8
開拓時代に白人の軍隊に土地を奪われ、現代もなおカタチを変えながら、白人から搾取されるネイティブアメリカンの末裔達との構図を考えさせられる。
白人が生き残りネイティブアメリカンが追いやられ死んで行く世の中に、強盗という手段で負のスパイラルを脱却する主人公。クライムサスペンスに重いテーマを重ねる脚本で見応えのある一本。
銃社会テキサス
『ウインド・リバー』の予習のために鑑賞。
銀行強盗を繰り返す兄弟。その目的は…?という話。銀行強盗をするたびに、客や目撃者が銃で撃ってくる、というのがテキサスならではなのかしら?彼らの目的は借金の返済なのだけど、借金を抱えた理由が銀行無理な貸付、という社会問題を取り込んでいて面白かった。
ギリギリなバランス感
終始Happy Go Luckyでいながら、やる時はやる。酷薄なようでいて、じつは篤い。テキサスレンジャーのマーカスが、トゥルーグリットのシェリフ、コグバーンとピッタリ重なります。弄りまくっていた相棒アルベルトが撃たれ、仇を討つのは、マティロスを抱いて夜通し走ったコグバーンそのもの。ジェフブリッジズの独壇場でした。
飄々として鷹揚、でも癖っぽくて口が悪い、勘が鋭く執念深い、マーカス。彼の戯れ言と差別発言を苦々しく受け容れるアルベルト。時々無表情で反駁する。スピンオフいけそうなほどいいコンビで、ハワード兄弟より惹かれました。
無軌道にみえる強盗が、じつは銀行に奪われた牧場を取り戻すことを企図していたと次第に判ってくるのですが、復讐劇に陥らず、といって社会派にも落とさない、絶妙な筋書きにも感銘をうけました。
マーカスは相棒を失い、トビーは兄を失います。いわばおあいこですが、当人としてみればかけがえのない喪失です。
「何をしても終わらない、一生背負っていくのさ、お前も俺も」
うまく言えませんが、是非のつけられない、ストイックな着地だったと思います。
復讐と社会派の狭間と言えば、この脚本家Taylor Sheridan、エミリーブラントのSicario(ボーダーライン)を書いていて、ドラマバランスに、通じるものが感じられます。
8月(2017)に封切られたWind Riverで初監督兼脚本。しかもカンヌで監督賞。三作で躍り出た時の人で、Wind Riverは今一番見たい映画のひとつ。余談ついでに、主演はホークアイとスカーレットウィッチです。
ちょっぴり愛嬌のあるけど、一歩間違えたら片足に老害突っ込んでるマー...
ちょっぴり愛嬌のあるけど、一歩間違えたら片足に老害突っ込んでるマーカスおじいちゃんと、そんな上司のクソすべりギャグに毎回付き合わされる哀れな部下アレハンドロの駆け引きがじわじわ来ます。
マーカス「今に俺が退職したら、寂しくなるぜ。きっと墓の前に立つときが来たら思い出し笑いするさ」
アレハンドロ「いまそうしてやりたいですよ・・・」
田舎が似合うナイスガイ ジェフ・ブリッジスの傑作
「ムーンライト」「ラ・ラ・ランド」に継ぐ本年度アカデミー賞関連の作品を鑑賞。感想としては「ムーンライト」よりこちらの方が自分は好き。とにかく自分が想像するアメリカの田舎が堪能できる。へたするとテキサスの観光映画っぽく感じてしまうが、気がついた事はここテキサスは昔の風景から全然進歩してないんじゃないの?これ本当に去年の映画?って思うくらい普遍な土地。
端役の強烈な個性もいい。(特にウエイトレス!前半の比較的若いふくよかな女性と後半の年配の女性が笑わせる。)
本来主役は相続した土地を守るため銀行強盗を続ける兄弟なんだろうけど、見事に毒舌なジジイ保安官ジェフが完全に映画全体をコントロールしてる。このジェフ・ブリッジス、田舎が似合う。(個人的感想ですが・・)なにより彼の若い頃の出演映画で田舎が舞台の「ラスト・ショー」が好きで、どうもそのイメージを自分は引き摺ってる感じ。
102分釘ずけでした。
トランプが大統領になった背景
テキサスの貧しい農民が実は昔インデアンを追い出し手に入れた土地から次に銀行に追い出されて牙をむく姿を描く。保安官のインデアンジョークに尊敬しつつ距離を置くインデアンの副保安官とのやり取りが面白い。副保安官が死んでおろおろなく保安官の姿や、銀行に復讐しろという弁護士が今までのこういう映画にはなくよかった。要するに金を動かすエリート層が貧しい農民を追い詰めて、貧乏は次々に家族に感染していくという絶望感を農民に生ませる。なぜ下層白人がトランプに希望を託したのか、できるできないは別にしてもその理由が予言されている。なんで日本未公開なのか。
アメリカの現在
ジリ貧に陥っているアメリカの持たざる白人の現実という、トランプ政権を産んだ原因ともいえる現在と閉塞をじっくりと描いた秀作。
見るだに埃っぽくガラガラに渇いた空気感がそれっぽいし、役者の演技も良い。ただ、最近こういう絡みの犯罪話が多いよね。そんなに追い詰められているのかと思わせられる…
テキサス・カウボーイの漢らしさ
ローン返済の看板や先住民、コマンチ族などテーマに成り得るアメリカの問題がセリフでの説明などはあまりせず渋い演出で撮られていてボーッと観ていると大事な事柄を見逃してしまう感じ。
淡々と実行する弟の現状など感情表現が薄い分、汲み取れないし兄の最後の勇姿は凄いが行動した理由など兄弟の感情自体に描写が弱いかなと。
自警団と言われるカウボーイ達の逞しさが銃社会の不安定な安心さが恐ろしいアメリカ。
州ごとに考え方や人種まで違うアメリカ大国に驚愕。
物語の不安定さをJ・ブリッジスでビシっと固めて燻し銀な渋い作品に仕上がった。
Hell or High Water
"Hell or High Water" is directed by David Mackenzie and stars Jeff Bridges, Chris Pine, Ben Foster and Gil Birmingham, and so on. I watched it on Netflix cos it hasn't come out here in Japan yet except on Netflix. Reading some reviews of this film on the internet, I'd been really curious and wondering how Jeff Bridges acts as a sheriff this time and how crazy things the two scoundrels, played by Chris Pine and Ben Foster, have done as like cowboys. Well this kinda story is not really a new idea that the thefts are done by two brothers as usual: one can't control his temper and is more likely to go nuts than the other who just supports his older brother. It sounds like a cliche but the atmosphere is different from other crime films. Frankly speaking, it's a bit similar to No Country for Old Men winning an Oscar for Best Picture in 2007, but there is only one crazy killer flipping one coin to decide whether to kill or not every time he encounters someone. Whereas in Hell or High Water, it focuses on not only the robbery but also their relationship between these brothers. Hope Jeff Bridges will win an Oscar again.
アメリカの何を信じればいいのか?
Netflixで鑑賞。まさに『ノーカントリー』以来の「現代の西部劇」と呼ぶに相応しい傑作だった。アメリカ南西部のどん底の「引力」から"Old men"は逃れられない。彼らがそこに見出した光がドナルド・トランプだとしたら…アメリカの闇とはこうも深いのか
先住民の土地を白人が奪ったように今は白人が銀行から奪われている。その資本主義の摂理についていけない者が宗教に逃げる。しかしジェフ・ブリッジス演じる保安官は神などいないことを知っている。アメリカの何を信じればいいのか?『最後の追跡』はそういう所まで台詞無く匂わせる。苦いが豊かな傑作
ハリウッド大作なんかの嘘で固められたアメリカ映画も好きやけど俺が真に心惹かれるのはそのハリウッドの嘘を告発する作品。そういう作品は傑作の確率が高い気がする
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