劇場公開日 2016年12月16日

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「設定の中で考え得る限り最高の出来」ドント・ブリーズ ぷ~太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0設定の中で考え得る限り最高の出来

2017年1月27日
Androidアプリから投稿

2016年12月16日公開なので、かなり遅まきながらではあるものの、映画 ドントブリーズを昨日やっと観れました。
公開前から設定を知った時点でかなりワクワクしていた本作、
だって、盲目の老人が若者を圧倒するんですよ?

これ聞いただけで高まります。

あらすじは、カネ目当ての〈若者〉が、元軍人の〈盲目の老人〉宅に侵入。楽勝で大金が手にはいるかと思いきや猛烈な反撃をくらい、老人宅という限定空間で音を出すとヤられるという恐怖に陥る。というもの。
観賞前に知っていたこのあらすじは、観賞後に他人に本作を薦める際も同じことを言うでしょう。
そのくらいこの設定、この展開が本作のほぼ全てを表しています。

じゃあ大体分かったよ、と
観なくても分かったよ、と

いえいえ、観れば分かる恐怖、戦慄、

こ れ は ス ゴ い !!

感想に入りますが、ハッキリ言ってこの映画、5億点級です!
スゴイ!スゴ過ぎる!

この設定、このあらすじで映画を作ってくれと言われても誰も本作を越えられないんじゃないでしょうか
そのぐらい打ちのめされます。
映画が始まる前はベラベラとおしゃべりしていたカップルも、ポップコーンを貪り食ってたオッサンも、映画が始まって老人と若者が初コンタクトを取ったその時からシーーン…劇場から一切の騒音が消え、皆が皆、息を殺して食い入るようにスクリーンを見つめています。
もちろん私も。

楽勝ムードで侵入する若者達。
こいつらだってただのパーリーピーポーじゃございません。窃盗に関してはそれなりに場数を踏んだヤツらなんです。
しかしひと度覚醒した老人と相対すると狩る者と狩られる者が完全に逆転。
そしてこの本作の肝になってくる、本質に入るこのあたりまで、ここまでにもちゃーんと上手に、周到に、そして無理なく無駄なく伏線は張られている。
且つ、舞台となる老人宅の内部構造のあらましまでも分かりやすく見せてくれる。再びポイントとなる場所が現れた時には観る者みんなに「そうだ、ここはこうなってる場所だ」と分かるような造り。

これはかなり大事で、 いろはのい に思えても結構ここが分かりにくい映画は多い。特にアクションが大切な映画に於いて、人物の立ち位置や建物の構造が分かりにくいのは致命的な減点対象になります。

せっかくノってきたのにノリ切れなくなアクション映画の大半はこーゆー部分が疎かになっているものです。
しかしドントブリーズは優秀です。

そして演出が見事。先ほど述べた狩る者と狩られる者の逆転。これは老人宅で侵入者である若者と老人が初めて対峙する場面。<br>盲目のはずの老人がいつの間にか若者の方を〈見ている〉……この恐怖。
そして盲目の老人が覚醒し、若者を狩りだすと、目の代わりに耳を使って若者を探す老人なので、当然 映画全体の台詞量は少なめ、
しかし前述したように本作は建物の構造や登場人物の位置関係を上手く見せてくれるので全く問題ない。
そして、ここから先は
いきなり現れる恐怖、音を出すと気づかれる恐怖、さらには盲目の者にとっては普段と変わらないが若者にとっては圧倒的に不利になる暗闇での恐怖、
そして盲目の老人の謎の部分の恐怖……
これらが怒涛の展開の中で理想的なほど自然に次から次へと繰り広げられ…

ネタバレは無しなのでここまでにしますが、これは完全に傑作です。
こんなに完成度が高い作品を劇場で観れて非常に嬉しいです。
少しでも興味があれば可能な限り早めに劇場での観賞をオススメしたい作品でした。

ぷ~太郎