劇場公開日 2016年12月16日

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「アイディアの勝利」ドント・ブリーズ Toshiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アイディアの勝利

2017年1月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

この種の低予算ジャンル映画はセントラルアイディアが全て。観客の想像を上手く外して成功している。
若者たちは簡単なヤマだと踏んである家へ泥棒に入るがそうはいかなかった。理由は住人の盲目の老人がとんでもない人物だったから。
この老人の怪物的キャラクターが凄まじい。若者たちが老人から逃れるためには物音ひとつ立てず気配を消さなければならない。スクリーミングなきスクリーミング映画。タイトル通り息をするな!
トランプ政権誕生で話題のラストベルト、デトロイトの荒廃した住宅地という舞台設定が効いている。イーストウッドの「グラントリノ」の舞台でもあったが、こちらの街はまるで核戦争後の街の如く。寒気がするほど。ここには若者たちと老人と悪魔のようなあの犬しかいない。老人はイラク戦争で負傷した退役軍人であり、この街に孤独に住んでいる。怪物を産む設定としてリアリティがあるので恐怖が増幅する。若者たちは金を盗んでまでこの街から逃れようとしている。老人から逃れることと街から逃れることが同義となる二重構造。怪物的な老人は荒廃したデトロイトの街の象徴なのかも知れない。
アメリカの現状から産まれた映画であることは間違いない。
老人が退役軍人だという設定のわりには銃の扱いの描写がおかしかったりアラはあるが90分弱を一気に見せる。
必ず劇場で観てください。こういう映画は劇場の暗がりの中、スクリーンで観ないと怖さが半減します。

Toshi