「野性的な恐怖」ドント・ブリーズ lavaさんの映画レビュー(感想・評価)
野性的な恐怖
・脚本、演出等
退役した盲目の老人の一軒家に強盗しようとする若者たちの話。まず、この話、簡単に思いつきそうで思いつかない。
普通、強盗の被害者は弱い立場なはずだが、強盗が逆に返り討ちに合ってしまうという構図。これだけでも面白いのだが、更に盲目という設定を加えることで他のサスペンス、スリラー等では観れない状況を描写できる点が本作の強み。
話の内容のわかりやすさ、設定のリアルさのせいか、主人公と同じ目線で老人の動向を恐る恐るうかがわざるをえない。盲目の老人との気配の探りあいが秀逸。
カメラワークも上手い。家の構造を活かした闘争シーンには目が離せないのと同時に、ホラーとは別の野性的な恐怖を感じた。
話の展開に意外性や一貫性もある一方で、飽きさせないシナリオになっている。
また、結末も斬新。海外のスリラー系統の作品には珍しい、観賞後にジワジワ残るような感覚が得られた。
・演技
特に老人役の俳優の演技が良い。
・音楽
息をするなというタイトルにふさわしい曲。静かで不気味な感じ。ただ、エンディングはもう少しソフトなほうがバランスがよかったと思う。
・全体的に
このようなジャンルで、ここまでリアリティを欠くことなく恐怖を持続させられるものを作れるのは評価できる。20年に一本というだけのことはあると思う。
→追記
ただ、全体的に狭くて暗い。何度も観たくなるような作品ではない……
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