ジムノペディに乱れるのレビュー・感想・評価
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作家性が発露せざるをえない特殊な土俵際プロジェクト
「低予算、早撮り、本編時間は7、80分程度、10分に一度は絡みあり」そんなルールのもと大量生産されてきたロマンポルノ。その再興を謳った今回の第一弾もかなり変わった味わいに仕上がっている。台詞や演技も地表から数センチ浮遊しているように特殊で、ファンタジー、あるいは白昼夢と言ってもいい。だがその特殊性を板尾創路が体現するとなぜかしっくりときてしまうのだから不思議だ。悲哀とおかしみ、若干何かに取り憑かれたような表情が同時成立するとはなんたる俳優であることか。
エロスだけではない。本作にはミステリー色も漂う。「なぜ彼はやりまくるのか?」といった、ロマンポルノにあるまじき命題にもきちんと落とし所を作ろうとする。さらに劇中では主人公の口を借り「映画とは」「愛とは」との言葉も。そういった細部の息遣いに行定監督の濃厚な作家性を感じ取れたことは収穫だった。誰より裸になったのは監督自身だったのかもしれない。
追い詰められた男
男(板尾創路)の職業は有名だが、スランプの映画監督。
日活ロマンポルノ・リプート・プロジェクトの一編。
行定勲監督作品。
男は非常にモテるというかサキリのついた男で、
1週間、毎日違う女を犯している。
女優、教え子、看護師、元妻、
手当たり次第。
抱くというより、暴力的で、痛めつけているように見える。
女優は全員美形でしかもナイスバディ。
おっぱいは丸く豊かで美しい。
女優の選択は白石和彌とは真逆だ。
白石和彌は演技力や人間的な寂しさや悲哀を感じさせる女優を
選んでいる。
行定勲はおっぱいの綺麗な女。
「ジムノ・ペディに乱れる」のオーディションに落ちた女優を
白石和彌は使っているのだから、愛される訳だ。
皮肉というか方向性が違うのね。
行定勲は女を見た目で選別していて、有名女優と区別している。
男は嫌な奴で、妻と乗っていた車のハンドルを妻が無茶苦茶に切り、
男は大怪我、妻は植物人間になっている。
《人間悲劇で人間喜劇》
ある意味で、ロマンポルノの枠組みからはみ出している。
男の人生はエリック・サティの「ジムノ・ペディの、1番」を弾く妻に
捉えられて狂って行く。
サティは演奏者に“苦しみを持って”の指示をしたと言うが、
聴く私たちには癒しに聴こえる名曲。
自分勝手な男の人生は苦くてかっこ悪い。
行定監督が描くスタイリッシュなロマンポルノ!
行定監督はスタイリッシュな愛情表現を美しい映像で撮る事に定評のある監督だと思うが、この”日活ロマンポルノ・リプート・プロジェクト”による1作も過去のテイストを崩すことなく、且つ日活ロマンポルノで用いられてきた映像手法を巧みに取り入れた秀作に仕上げられている。
行定監督自体は日活ロマンポルノでの経験は無いものの、R作品で通常用いられるモザイクを使用することなく、陰部を絶妙なカメラワークで隠すロマンポルノ独特の技法はここでもオマージュとして取り上げられている。またキャストも板尾創路が独特な存在感で女に溺れる鬱屈した日々を演じる他、競演する女優陣についても特に芦名すみれの透明感ある演技は見事に行定ワールドにマッチしていたと思う。
夢か現かの世界観
映画館のシーンで板尾が語るセリフがもし真実だとするならば。
つまり彼は、交通事故以来この世界が虚構なのか現実なのか分からなくなっている。そして彼は植物人間となった妻に水を注ぐ事が愛だと考えている。だが、人は簡単にはそんな風に清廉には生きられないものだ。
手持ちカメラによる揺らいだ視点、不条理にも発情した雌猫のように彼に寄ってくる不思議な女たち。こうした半分夢で、半分現実でという微妙な世界観に浸りながら彼の情事の行く末を見つめ続ける事は耽美である。いい意味でそれだけの映画だが、実はこれは彼の死後の世界の話でね、彼は延々とこの奥さんへの憎悪と果てられない情交を輪廻しているんだよと言われても納得できそうな話だ。
誤解して欲しくないのは、現実だったとしても板尾みたいな心ここにないような男は何故かモテる。
板尾の奥さんが植物状態である事は伏せられたまま、何故か板尾がモテ続けるのに最後まで事を終えることができないという謎をかけたまま物語は淡々と進む。このヨーロッパ映画のような構成は鑑賞する人を選ぶだろうけれど。
手あたり次第、色んな花に水を注いだ結果…
1.総尺80分前後
2.撮影期間は1週間
3.10分に1回の濡れ場
4.完全オリジナル作品
5.製作費は全作品一律
6.ロマンポルノ初監督
という6つのルールが与えられた監督たち。その中の一人行定勲が撮った作品。主人公は落ちぶれてしまった映画監督・古谷(板尾創路)。妻の弾くエリック・サティ作曲の「ジムノペディ」が延々と繰り返される。気だるい白昼夢に誘われそうな幻想的な曲だが、淫靡な輝きをも放つためか、冴えない中年男に女が寄ってくる。月曜日から土曜日まで、撮影現場に出勤してから家に帰らず、色んな女とホテルに泊まったり、なんちゃらかんちゃら・・・
日活ロマンポルノのリブートということだが、かつての量産された作品とは違い、カメラワークやら編集やら、さすがは行定監督といった雰囲気に圧倒される。しかし、プロットとしては面白いのに、まるで俳優オーディション用に作られたようなセリフばかりでうんざりさせられる。
女優陣はここぞとばかり脱ぎまくりで濡れ場もへっちゃらな子ばかり。エロさでいえば眼帯をつけた芦那すみれが一番。つまらないAVよりは絶対にいい(よく知りません)。そして、「私の花の色は?」なんて訊くところがエロすぎセリフ。
ベルリンで賞を獲ったこともある監督という点で、やはり監督自身を反映させているのだろうけど、最近はつまらない作品が多くなってたので、気分転換にもちょうど良かったのでしょう。
男のロマンだなぁ
日活ロマンポルノ初めて観ました
中年のおじさんがなんでこんなに美女にモテるんだってくらいモテまくり笑
映画監督ってこんなに美女にモテるんですか?
本当だったらすごいけど、理想というかほんと男のロマンだよね
御都合主義な映画はたまに観てて笑えるけど、時間も80分くらいでちょうど良かったかな
10分に一度の濡れ場
芦那すみれ という人のデビュー作品がロマンポルノというのを聞き観てみました。期待は通りでしたが、10分に一度の濡れ場という頻度は意外と短く後半は観てて疲れる感じでした。
好きなセリフは「てゆうかなんで俺のTシャツ着てんだよ」です。
花とじょうろ
監督と周りの女性が乱れる話
ロマンポルノリブート作品4本目
月曜日のテロップとともに嫌な予感がしてしまった。
「あ、これ一週間の話なのね」と
自分は映画を見るとき時間を気にしないし気にしたくない。
最後のシーンが近づくのは雰囲気で感じ取りたいタイプの人間なのだが、時間を思わせるメッセージが冒頭から出されると、終わりが強制的にわかってしまうので嫌なのだ。
最近見た映画では「ラ・ラ・ランド」も同じような演出だった。こちらは四季だったので一週間よりまだましだった。
今作は正直に言って退屈だと感じた。
劇中、なぜかモテモテの板尾が馴染みの女優、教え子、新しい女優、ナースなどと日ごとに交わるのだがどれも唐突で不自然な流れ、濡れ場を無理やり入れた様に思う。
制約とは言えもっと上手に作ってほしかった。
途中で木曜日と出た時に、まだあと3日もあるのかと絶望してしまった。曜日のおかげで最後がいつ来るか把握できたのは不幸中の幸いだった。監督は意図していたのだとしたらそこは感謝しなければいけないのかも知れない。
女優さんたちは美人で濡れ場はなかなかなのだが、いかんせんどこかで見た展開。
人妻とラブホテル
教え子とマンション
女優と工場
ナースと病院
なんだかAVの企画物の見本市のようだ、それぞれがあまり物語に重要な要素ではないので単に監督の性癖が見せられている様でもあった。
ジムノペディは個人的に好きな曲なのだが、この作品の影響で嫌いになりそう。
この曲が流れだすと文字通り男女が乱れるのだが、この演出が合計7回続くので3~4回目には途中で笑えてくる。
俳優のおかげで最後まで見れたが映画自体は苦痛だった。
劇中セリフより
「精神さえ研ぎ澄まされていれば、いい映画になる」
作品に向き合う気持ちが重要
どんな作品だろうと心がこもってなければいい作品にはならない。
もし自分が物を作る立場になった時は半端な気持ちで取り組まないように努めたい。
深いものはなかったが、板尾さんは良かった。
板尾さん、ダメ男やったけど、女性にとってはそこが放っておけないのかな。濡れ場は単調やったけど、元嫁のシーンはなかなか斬新でした(笑)何人もの女と関係を持っても満たされない心、嫉妬心、不甲斐なさ、やるせなさ、板尾さんはいい味出してました。専門学校の生徒役の女の子、なかなか面白い。
祝・復活。
日活ロマンポルノリブートプロジェクトの第1弾は行定勲監督が登板。
映画監督が主人公だが、撮れない鬱屈を抱えている。撮れないのには理由があるのかないのか、鬱屈は映画が撮れないからだけなのか。
板尾創路が笑わないキャラクターを絶妙に演じている。
行く先々で女を抱くので、実はめっちゃモテるんじゃないの、と思いながら、それでも彼は妻のことを、というのが最後にわかる。
このジャンルは、人の気持ちをじっくりと描けるので、大人にはちょうどいい。
もちろん、他人のことはそう簡単にわからないこともあるので、わかりにくいところもあるが、それも映画である。
昔もそうだった。出る女優は全員脱ぐ。それでこそロマンポルノである。
板尾
タイトルの通り、ジムノペディが流れるとセックスの合図。
曜日毎に板尾が様々な女性とセックスをする映画。
しかし映画もドラマもいい加減、意味ありげなシーンでジムノペディとドビュッシーの月の光に頼るのやめませんか。
9
花の色は
数々の邦画の監督を輩出してきたピンク映画。興味はあったが、一人で成人映画専門の劇場へ入る勇気がなく、これまでに一本も観たことがなかった。
一般映画(こんなカテゴリが適当なのかどうかは別の問題として)の劇場で、ロマンポルノ・リブート・プロジェクトとして公開された本作は、ピンク映画初心者にはうってつけの企画。劇場には日活ロマンポルノ世代のおじさんも多いが、比較的若い女性やカップルの姿も目立つ。
そもそもセックスを扱う映画をことさらに他のものと区別することに強い違和感を感じる。
殺人は犯罪である。しかし、これを描写する映画は星の数ほどあり、小さな子供でも観ることができるものがほとんどである。
セックスは犯罪ではない。ほとんどの成人が経験し、あるいは日常的に行っている行為であり、そのことが子供を成し社会を形作っていると言ってもよい。
このセックスをことさらに描写したものは、子供には公開することができない。そして、今の映画興行の慣行では、このセックスを主題とした作品は主にそれ専門の劇場での公開しかなされない。別に、ポルノを子供にも見せろと言いたいのではないが、かくもセックスを主題とする映画を隔離する理由が腑に落ちない。
で、初めて観たピンク映画はというと、改めてその思いを強くするものだった。
板尾創路演じる映画監督は、腹が減ってうどんをすするのと同じくらいの日常行為として、周囲の女性とセックスをする。個別の女性との彼のセックスそのものに特別な感情は伴わない。
ラピュタ阿佐ヶ谷でのトークイベントで板尾は、愛を注いで咲かせる花の色について語る。いったい彼にはどんな色の花が見えているというのだろうか。私には、彼の眼には色のない花が目の前を過ぎていくだけのように思えた。
映画の中で、板尾が山中貞雄の「河内山宗俊」のビデオを観ている。この戦前の大傑作に憧れる映画作家は、モノクロの映像の中に瑞々しい色彩を感じ取っているに違いない。
彼にとっての「愛の実体」がどのような色をしているのか。入院中の妻によって、ほんの少し観客に伝えられる。
「花の色は うつりにけりな いたづらに、、、、」である。
板尾さん、入り乱れてました。
「日活ロマンポルノを有名監督が撮ったら?」がテーマの作品第一弾。
学生時代に新宿のどこかの映画館でロマンポルノ風の映画を観たのがラスト。
でもあれは日活ロマンポルノだったか今覚えていない。そう思うともしかしたら初ロマンポルノだったかもしれない。
ちょうど足を運んだ日は舞台挨拶があり、行定勲監督と女優さん4名(田山由紀・田島真弓・木嶋のりこ・西野翔)のお話が聞けて、事前に聞けたことで笑えるポイントが増えた気がした。
知らなくてもきっと笑っていたかもしれないけど、聞いたことでより笑えた感がある。
ロマンポルノ以外の映画を通常映画と呼ぶなら、通常映画しか観ない私からするととても入りやすくて、シリーズ第1弾としてとても良い印象。
ロマンポルノ愛好者からすると物足りなさを感じるのかもしれないけど、笑い処が散りばめられてたり好きでした。
こういうところが商業映画でも成功させてる監督ならではなんだろうなぁと感じた。
そして板尾さん乱れ打ち感が凄いのと、ジャケット風の膝丈の黄土色コートがめっちゃ似合います。
もっと若い監督にチャンスを
途中でなぜこのような映画を観に来てしまったのか悩んだ。「10分間に1度のセックスシーン」は今誰が喜ぶんだろう。代わりに「10分間に一度のギャグシーン」「10分間に一度の格闘シーン」を入れろといって作ったとしても才能は推しはかられるのだろう。とすると、この映画の「セックスシーン」にはときめきがなかった。そのくらいどうでもいい話だった。
行定監督というのはオシャレ監督のイメージが強かったが、今回、ありとあらゆるところでダサい。学生の部屋まわり、道端の廃屋、そして前作にもあった映画撮影関連の数々、大げさな芝居、というかメジャー仕事をしているとこう鈍くなるのかと思った。
正直、なんでこういう企画を中途半端な有名監督に撮らせるのだろう。もっとチャンスのない才能あり若手の監督に撮らせればいいのに、と素直に思う。
美しくて悲しくて可笑しい
美しいです。手垢のついた感のあるサティの曲も新鮮に聴こえます。大きな喪失を抱いた男の滑稽で切ない物語です。人がセックスに求めるもの、そして結局得られないもの、シンプルなストーリーと美しい映像が人間の滑稽さと哀しさを浮き彫りにする作品です。
クライマックスのナースとのエピソードがとにかくいろんな意味ですごいです。ナース役の木嶋のりこさんの演技も素晴らしかったです。板尾創路さんの空虚さもすごい。その世界にずっと浸っていたいタイプの作品です。劇場に笑いが起こるシーンもいつくかありましたし、もちろんエロティックですし、すごく楽しめた作品でした。
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