「追い詰められた男」ジムノペディに乱れる 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
追い詰められた男
男(板尾創路)の職業は有名だが、スランプの映画監督。
日活ロマンポルノ・リプート・プロジェクトの一編。
行定勲監督作品。
男は非常にモテるというかサキリのついた男で、
1週間、毎日違う女を犯している。
女優、教え子、看護師、元妻、
手当たり次第。
抱くというより、暴力的で、痛めつけているように見える。
女優は全員美形でしかもナイスバディ。
おっぱいは丸く豊かで美しい。
女優の選択は白石和彌とは真逆だ。
白石和彌は演技力や人間的な寂しさや悲哀を感じさせる女優を
選んでいる。
行定勲はおっぱいの綺麗な女。
「ジムノ・ペディに乱れる」のオーディションに落ちた女優を
白石和彌は使っているのだから、愛される訳だ。
皮肉というか方向性が違うのね。
行定勲は女を見た目で選別していて、有名女優と区別している。
男は嫌な奴で、妻と乗っていた車のハンドルを妻が無茶苦茶に切り、
男は大怪我、妻は植物人間になっている。
《人間悲劇で人間喜劇》
ある意味で、ロマンポルノの枠組みからはみ出している。
男の人生はエリック・サティの「ジムノ・ペディの、1番」を弾く妻に
捉えられて狂って行く。
サティは演奏者に“苦しみを持って”の指示をしたと言うが、
聴く私たちには癒しに聴こえる名曲。
自分勝手な男の人生は苦くてかっこ悪い。
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