「伝わりきらない暗殺者の信条」アサシン クリード 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
伝わりきらない暗殺者の信条
シリーズ累計販売本数3700万本以上を誇る大ヒット
ビデオゲーム『アサシン・クリード』の映画化作品。
なお、自分は原作ゲームの1、4作目だけクリアし、
以降は未プレイor かじった程度というハンパな経験者。
なので原作の大ファンではないが映画化は面白そうと
感じてたし、同監督&主演の『マクベス』(2016)も
好きだったのでちょっと期待していた。
のだが……結論から言うと、今ひとつ。
不満点を端的にまとめるならこんなところか。
・抑制を利かせすぎて熱が感じられない台詞や演技
・質の高いアクションの興奮をブツ切りにする編集
・原作を知らない人には分かりづらいだろう飛び飛びの説明描写
『マクベス』同様、荒涼とした色彩の映像美や、泥臭くも
スタイリッシュなアクションなどは非常に好みなのだが、
厳粛な雰囲気を重視したのだろうその語り口(台詞・テンポ)が、
活劇的な興奮やプロットの面白味まで殺していると感じる。
...
老婆心ながら、原作を知らない人の為にザックリ世界観を整理。
まず物語の大きな鍵は”エデンの果実”という物体だ。
これは早い話が超古代文明の遺した洗脳装置で、多数の
人心を掌握し、世の支配者に立てるほどの力を秘めた代物。
で、この”果実”を巡って2つの組織が太古の昔から
現代に至るまで長い長い争いを繰り広げている。
「人心をコントロールして世界を完璧に平和に
統治しよう」という”テンプル騎士団”と、
「人々の自由意志を奪うことは許せない」
とそれに対立する”アサシン教団”である。
(ゲーム版1作目ではこの争いは十字軍遠征の頃まで遡る)
資金力も組織力も豊富な”テンプル騎士団”はあらゆる
事業に手を出しており、映画の主人公カラム達を
捕えていたアブスターゴ社もそのひとつ。
人の遺伝情報から、その祖先が見聞きした出来事を
追体験できるという装置“アニムス”を開発した彼らは、
自身が”アサシン教団”の末裔であると知らなかった
カラムを利用して”果実”を探し出そうとする。
だが祖先の想いや母の死にまつわる真実を知ったカラムは、
いつしか暗殺者としての血に目覚め、他の”アサシン教団”の
子孫たちと反旗を翻す……というのが映画の流れ。
...
んが、
映画版では”エデンの果実”に関して説明らしい説明が
殆ど無いので、「何をそんな必死に探したり争ったり
しとるん?」て感じの観客の方も多かったんじゃなかろうか。
また、原作での“アニムス”はベッドや椅子のような装置だが、
映画版では記憶とシンクロして自在に飛び回れるような
ものに変わっている。この改変については意図が
イマイチ読めないが(記憶だけでなく肉体的にも暗殺者
として成長していく点に説得力を持たせたかった?)、
中世スペインで繰り広げられるスタイリッシュな激闘と、
現代で半裸のお兄さんが人に囲まれてぴょんぴょん
飛び回っている様子を同時に見せるのは正直ちょっと滑稽。
それに、過去パートが盛り上がってきた所でブツッと
現代パートに戻るので、どうもエキサイトし切れない。
現代パートと過去パートを細切れにしてつなぐより、
各パートをもっと長く見せた方が、アクション
映画としてのテンションは持続したろうし、
物語もかえって分かり易くなったのではと思う。
最後の決着も、もうちょっと盛り上げて欲しかったかなあ。
過去パートと同じくらいのアクションが見たかった。
...
何度も書くが、美麗な映像やアクションは良い出来だ。
個人的には映画の台詞や演技は抑え気味な方が好きでもある。
世界から”暴力”を失くすという目的での統治とか、
自由意思を守る為に暴力を行使するという点とか、
人の暴力性に関する白黒付けにくい価値観を
打ち出した点とかも、映画版の良い点だと思う。
けどねえ……もうちょっとアクション映画としてハッチャケて
作ってくれても良かったんじゃない?と勿体無い気分。
まあまあの3.0判定で。
<2017.03.04鑑賞>
こんにちは。
いつぞやのコメントありがとうごさいます。
すっかり返信遅くなってしまい
申し訳ありませんm(__)m
さてさてしばらく前に私も見たの
ですが、確かに分かりづらい笑。
ゲームやらないんでそのままの
感想ですが第2作に期待ですかね。
作風自体は嫌いでもないので
いつのまにかカルト的な扱いに
ならないようにして欲しいです。
夏の猛暑も一休み。
お体にお気をつけてこれからも
作品楽しんでくださいね。