「血の宿命と受け継がれる記憶」アサシン クリード フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
血の宿命と受け継がれる記憶
暗殺教団の血を引く主人公が先祖の記憶を追体験し秘宝を探る話
率直に言うとあまり面白い作品ではなかった。
ゲームは1だけやった事があったので、世界観などは知っていたし物語の大筋は理解できたのだが、秘宝の効力やヒロイン?のマリオン・コティアールに感情移入できなくて最後まで行動が理解できなかった。
記憶を遡る装置アニムスによる過去退行の世界はとっても刺激的でいつまでも見ていられそうな作り込みなのだが、現実世界の無機質感や色味のなさからくる退屈さなどがあいまって、過去世界との落差が激しい。
本作は過去と現在のシーンが大体半分ずつあったように思えるのだが、現在のシーンが退屈なので早く過去に行ってほしいと思ってしまう。
物語上、過去と現在の同時進行が必須なのはわかるが、もっと現在のシーンも見ていたくなる構成ならよかった。
秘宝の説明があまり理解できなかったのも作品を楽しめなかった要因かもしれない。
人類の意思を操作できるようになるらしいのだが、そんな危険な物をなぜアサシン教団だけが守っているのか。
それを使えばテンプル騎士団や異教徒との争いは無くせたのではないか?
世界平和か征服なのか財団の方針や設定もよくわからないが、主人公達もよくわからない。
アニムスで退行したために記憶が戻り、使命を全うしようとしているのか元から伝え聞いていた教団の教えに従っているのかはっきりしないため、言葉の重みが感じられない。
父と母のように教えを伝え聞いていたなら説得力があるのだが、アニムスで使命を思い出して行動しているならなんとも滑稽な気がする。
過去のシーンは全体的に良かった。、
ルネッサンス期のエルサレム、建造中の建物や文化の最先端であろう都市の雰囲気がビシビシ伝わって来た。
衣装や戦闘など申し分んなかったと思う。
ゲーム同様、一端見つかるとかなり頑張らないと敵から逃げきれない感覚も表現されていたしイーグルダイブもいい感じだった。
ただ、暗殺と言うより普通に戦闘をしている方が多いのでもっと、忍びながらの展開も欲しかった。
映画としては脚本以外はとてもいいのだが、細部に納得できない点が多々ある作品といった印象。
続編を匂わせる最後だが、つづきが見たいとは思わなかった。
劇中セリフより
「今日、私が死んでも涙はながさないで」
肉体は死んでも心は残る。
受け継がれる意思を大切にしていきたい。継いできた人々の願いをくむ、それが継ぐ者の義務なのだとおもった。