「ストップモーションアニメーション」KUBO クボ 二本の弦の秘密 Editing Tell Usさんの映画レビュー(感想・評価)
ストップモーションアニメーション
今回紹介するのは、アニメーション会社Laikaが製作した、最新作をご紹介。
Laikaといえば、ストップモーションの技術を現代的に発展させながらも、原型を受け継いでいる数少ない長編映画ストップモーションアニメーション会社です。
今回はアメリカを中心に人気の衰えない、3Dアニメーションとストップモーションアニメーションの違いについて話していきましょう。
3Dアニメーションというのは、ディスニーピクサーやドリームワークス、イルミネーションを代表するようなCGをつかった仮想3次元世界をコンピューターの中で作り出したアニメーションです。
一方で、ストップモーションアニメーションというのは、実際に粘土でキャラクター模型を作り、それを実際のカメラで撮影したアニメーション作品です。
全く同じように捉えることができない二つの作品ですが、それぞれに良さがあります。今回の記事では、ストップモーションが優れているとこはどこなのかを見ていきましょう。
先ほども紹介したように、ストップモーションアニメーションは実際に模型を使ってそれを動かして動画を作っていくというところから、照明やカメラに収められる映像の質感がまさに現実世界のものと同じに映ります。
3Dアニメーションでは、カメラというのは3D仮想空間のもとでの仮想のカメラですので、全ては計算式で作り上げられた世界なのです。なので、間違いは起きません。起きたとしてもそれは人為的なエラーであって、明らかなミスです。
しかし、ストップモーションは実際のカメラで実際の模型を撮影しているので、模型とカメラの間には空気があり、実際に模型を照らしているのは実際の照明です。なので、作り手が思いもしなかったことが起きることがしばしばあります。
例えば、偶然手がぶつかって、キャラクターのコスチュームが少し破れてしまった。やべっと思って、カメラのレンズを見てみると、その破れ方に洋服の質感が出ていて、悪くない。
こんなことはコンピューターの中では絶対に起きませんね。このように、実際の3D空間で撮影しているが故に、人為的な操作が及ばないリアルが起こりうるところが、ストップモーションの優れているところです。
今作品でも、やはり、キャラクター模型やセット模型の照明や影というものは、3Dアニメーションにはない独特の雰囲気が出ています。まるで、実際に美術館でミニチュア模型を見ているような感覚です。というよりも、そっちの方が近いんですけどね。
さらには、そこにかけられた時間と、人々の努力を見て見ると、信じられないものがスクリーンの後ろには隠れています。Behind the Scenes もいれて、この作品一つといってもいいのではないかというほど職人技が詰まっています。
時代の流れに逆らったこの伝統と、時代の流れに乗ったVFXの融合も見ものです。
アニメーションとはひとくくりにはできないほど、とっても広く、多くの人が輝いている場所なんですね。