「ゼンブうーそさ♪」手紙は憶えている kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ゼンブうーそさ♪
目覚める度に「ルース!」と妻の名前を呼んでしまうゼヴ・グットマン(プラマー)。認知症の度合いが進んでいて、家族も気がかりだ。ホームで車椅子のマックス(マーティン・ランドー)がゼヴに対して手紙を渡し、決行するんだなと確認する。十分な金と手紙をもとにゼヴは一人で旅立つのだった。
アウシュヴィッツで家族を殺した男オットー・ヴァリッシュは名前“ルディ・コランダー”と変えてアメリカに潜伏。戦後70年も経っていて、仮に戦争犯罪人として裁かれることになったとしても、高齢のために死んでしまうかもしれない。そうなっては復讐できないのだ。マックスが調べ上げたルディという人物は4人いて、一人ずつ本人かどうか確かめ、射殺するのがゼヴの使命だった。
最初のルディ(ガンツ)は全く違っていた。カナダに渡り2番目の男も探し当てるが違っていた。3番目の男を訪ねたとき、ルディはすでに死亡していることが判明する。警察官である息子はルディの遺品を見せようとゼヴに丁寧に応対し、ナチの関連グッズを見せつける。ところが、ゼヴがユダヤ人であることがわかると、態度が急変する。彼もナチ信奉者であったため、ユダヤ人迫害は正しかったと主張する。恐ろしくなったゼヴは小便をちびるものの、買った拳銃で犬とルディの息子を射殺するのだった。
最後のルディ。彼こそがオットーに違いないと、確信をもって訪問するゼヴ。声にも聞き覚えがあったゼヴは「本名を言え!貴様がオットーだ」と強迫するが、ルディは「違う。本名はクニベルト・シュトルムだ」とゼヴを諭すように語り出す。ゼヴの左腕には囚人の番号がしっかり彫られていたのだが、ルディもまた続きの番号が彫られていたのだ。ゼヴこそがオットー・ヴァリッシュであり、ルディとともにドイツから逃げるためにユダヤ人のふりをしていたことが明かされる。しかし、つい発砲してルディを射殺。自分がオットーだと気づいて、こめかみに銃口を当てるゼヴ。そして自害した・・・
全てはマックスが仕組んだこと。ヴァリッシュとシュトルムに復讐を果たすために、すっかり過去を忘れているゼヴを利用して2人とも殺害しようと手紙を認めたのだ。最後のどんでん返しは凄くビックリさせられるが、いくら認知症といえども過去の自分のことは憶えているだろうに。ちょっと出来すぎ。