「"天下分け目"の全貌。」関ヶ原 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
"天下分け目"の全貌。
原作は未読です。
司馬遼太郎の同名小説を原作に、日本映画史上初めて「関ヶ原の戦い」にフォーカスし、群雄割拠の戦国時代末期、武将たちが権謀術数の中で繰り広げたドラマを迫力満点の合戦シーンと共に描いた歴史スペクタクル超大作。
石田三成を「義に厚く愛に生きた男」と捉えて、徳川家康を「智謀に長け、野心を剥き出しに生きる男」として比較し、両雄を取り巻く群像を中心に天下分け目の大戦さの全貌を描写。
原作の雰囲気を踏襲したドキュメンタリー・テイストを貫いて、原作の文章そのままのナレーションを挟みながら、発端から勝敗が決するまでを重厚感たっぷりに描いていました。
セリフが早口なので聞き取り辛い個所が多く、監督の作風なのかもしれないと思いました。時代考証故か聞き慣れぬ用語や言葉遣いも散見されるため、普段から時代劇を観慣れている人は苦では無いかもしれませんが、そうでない人は少し構えておいた方が良いかもしれません。また、登場人物の相関や出来事に特に説明は入らないので、予め鑑賞前に関ヶ原の戦いの概要を知っておいた方が良いかもしれません。
三成と初芽の恋模様など、想いの入り乱れるドラマが胸熱でした。各々が叶えたい夢、遂げたい野望を胸に秘め、己の全てを懸けて大戦に臨む姿に心揺さぶられました。
合戦シーンの迫力も見事。大作に相応しく、大人数のエキストラを動員し、シネマスコープの画面いっぱいに展開された戦闘はリアリティーたっぷりで、手に汗握りました。
日本映画草創期から培われて来た殺陣や様式美など、伝統と格式の世界と言っても過言ではないでしょう。時代劇作品がめっきり減ってしまった昨今、日本固有の文化であるそれを見直し、世に問い掛けなければ本当に廃れてしまいそうです。
日本映画がハリウッドに対抗し得る最後の切り札は、やはり時代劇の超大作だな、と…。絢爛豪華なセットや歴史的建造物での撮影、そして合戦シーンは、海外の大作映画にも引けを取らない日本独自の魅力に溢れているとつくづく思いました。
[余談]
同じスタッフとキャストで「城塞」を映画化して欲しい!
※以降の鑑賞記録
2019/? ?/? ?:Blu-ray
2020/04/05:Blu-ray
2020/05/17:Amazon Prime Video
※レビュー投稿記録
2018/04/22:初投稿
2020/04/05:再投稿
※修正(2023/02/24)
今晩は
日本映画がハリウッドに対抗できる・・と仰るコメント、全く同じ思いです。〈算盤侍時代劇も好きなのですが、観賞後の深い満足感は大作ならではだと思います。時代の要求だから仕方ないのでしょうが、本格的時代劇を大スクリーンで観たいですね。