「いやいや面白いでしょ」関ヶ原 空猫さんの映画レビュー(感想・評価)
いやいや面白いでしょ
このレビューをいつも参考にさせてもらっていますが、本作に関しては不当に☆の数が少ないような気がします。長いのでネタバレありでたたみます。ネタバレってなんだ?と思いますが…笑
面白かったです。
だいたい、あんなに大きな時代の転換となる出来事を150分の「映画」に収めようとよくしたなと。褒めてます。無理だ、だから今までだれも出来なかった。
「鑑賞しやすい」「起承転結かっちりとした」「合戦シーン頼みの薄いドラマ」になったら嫌だなーと危惧していましたが、実際鑑賞できて、「めちゃめちゃ面白かった」です。
岡田准一氏が石田三成をどう演じるか注目していました。私の中の関ヶ原での三成像は「融通が利かず、理想だけは高いのに世間知らずでキレやすいイタイ人。だけど義に熱く愛情豊かで憎めないバカ」なのですが、それをあんなにかっこいい岡田くんが演じてくれるのか、変にかっこよくならないか心配していました。が、結果はどハマりでした。良かった!人間的で、魅力的で良かったです。
役所広司はじめ、俳優さんたちの演技は小気味良かった。
セリフが聞き取りづらい問題は、「原田眞人監督作品ですから」で解決です。尾張言葉や鹿児島の言葉も音楽みたいで気持ちいい。内容が気になるようでしたら日本語字幕版を見ましょう。
東本願寺や金剛輪寺などの重文の舞台や野外ロケ地も目を見張ります。美術を追ってるだけでも楽しい!もちろん合戦シーンは壮観でした。最近大河ドラマで合戦シーンを描かれないですよね。当時の武具や戦法はもう一回ゆっくり観たい。作品全体を通じて情報量が多いので、二度も三度も観たいです。
司馬先生の語りもよかった。親切でした。
紛れもなく、これまで描きたかった、観たかったけど、難しくて描かれなかった、という作品だと思うので、これから将来にわたって観られる作品だという予感がします。
ちなみに初芽の忍びへのキャラ変は、私はアリだと思いました。伊賀者の伏線を張ることで、エンタメ要素が高まって映画として引き締まったと思います。