家族はつらいよ2のレビュー・感想・評価
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「死」を「笑い」に転化する、山田洋次監督の大胆な試み
「男はつらいよ」のような人情喜劇を、「東京家族」のキャストで。そんな着想で始まったシリーズだが、山田洋次監督の映画はルーティンでもなければセルフパロディでもない。第2作で最も驚かされるのは、ある登場人物の死を描き、そこから生じる動揺や混乱をあの手この手で笑いに転化する試みだ。死から笑いへ、このギャップこそが意表を突く大爆笑の鍵になると踏んだのだろうし、それが見事に成功している。
高齢者をめぐる時事的な問題を取り込む手並みも確かだ。判断力の低下による危険運転、身よりのない独居老人、無縁仏……。テレビや新聞ならネガティブな文脈で取り上げられる話題も、「家族はつらいよ2」に出てきた途端、しっかりと笑いに転がっていくから痛快だ。もちろん、単に面白おかしく描くだけではない。そうした表層の奥にある日本社会の根深い問題を見つめ、為政者の怠慢や無策に抗議する姿勢があるからこそ、笑いにキレがあるのだ。
現代の問題が沢山詰め込まれていた
高齢者の運転問題、孤独死問題、低所得・生活保護問題など色んな問題が詰め込まれていてちょっと現実的過ぎて面白いけど考えさせられる回だった。同級生の小林稔侍が家に泊まりに来て朝起きたら死んでいたと言うあらすじ。小林稔侍は毎回別の役で出演していて、前回は探偵だったか、今回は工事現場の誘導員・同級生、3では医師役だったかな。
免許返納する覚悟
橋爪功扮する平田周造は朝からコロンを付けてラジオ体操に出かけた。車をぶつけてばかりで家族から免許を取り上げられそうになっていた。ところが何と新車を買おうとしていたのだった。
免許返納する年齢はまだ先だけど、いよいよとなると覚悟が必要だよな。やっぱり車の便利さと危険を天秤にかけると便利さが勝つもんね。年を取ると言う事はまさに面倒な事だね。
楽しかった。けど哀しくなった(個人的なこと)
楽しかった。
橋爪さんがちゃんと憎まれおじいちゃんをやってて。
今回観るのは2度目。
1度目は確か、全体的に大げさというか、わざとらしい感が鼻について、あまりポジティブな感想は持たなかった記憶。
でも今回は、観終わって、自分は死ぬとき誰かいてくれるのかとか、おみおくりしてくれる人いるのかな(縁もゆかりもない葬儀屋さん一人かな)とか、考えてしまった。
ケンカが日常でも、本当に憎しみあってたり疎まれてるわけじゃなく、家族に囲まれ、お金の心配もなく、日常的に家族以外の人とも会う機会があって、老後を満喫している恵まれた高齢者が今の日本にどれだけいるのかな…と考えてしまった。
小林稔侍さんの、家族とは縁が切れ、仕事も真面目にやってきたのに、気付いたら転落していて、老後も生活のために汗水たらして働かねばならず、1日の終わりは一人で小さなボロアパート、みたいな方が自分に近いからそんなふうに思ったのだけど、
そちらをメインに描いたら、こんな楽しい映画は作れない。
「ぎんなん」みたいに、死ぬときは友達の家の柔らかいベッドの上で、友達の家族が好物をお棺に入れておみおくりしてくれる、なんて恵まれた最期になること、ないだろうから…
でも、妻夫木さんと蒼井さんが柴又駅のホームにいるけど、はっきりと柴又にいるよ!とわかるのでないところが、なんか好ましかった。
言いたいこと言い合える家族はすてき。
たのしく生きられたら良い。
そうできないのは、その人個人のせいじゃないのにね…
楽しかったー。 免許返納がメインと思いきや、小林稔侍騒動がかっさら...
楽しかったー。
免許返納がメインと思いきや、小林稔侍騒動がかっさらっていった。悲しい、悲しい話なのだが、随所で笑ってしまう。
・稔侍左右ブッ飛ばし・ひとり登場・うな重配達・鶴瓶登場等々
3も早く見たい、って言うか、これ寅さんみたいにシリーズ化してもいい。でも山田監督もかなりの高齢。いやいや、映画ファンの為に頑張って欲しい。山田作品、大好きです。
BSテレ東
いまの時代の「男はつらいよ」
・救われなかった人たちへの鎮魂歌であり、ブルースであり、国への反骨パンクであり、家族の讃歌である
・どんなに家族に不満があろうと家族がいるということが、紛れもなく幸せである事実をつきつけられる
・コメディベースではあるけど、緊張と緩和のペースと振れ幅がすごい。泣かせてるときに笑わせてくる。あまり乗ってこなかった観客への配慮もあるのかもしれない
・笑っちゃいけないときこそ面白くなっちゃう
・映画を観ながら自分の父の友人はどんな人たちだったんだろうと想いをめぐらせた
その悲劇も、きっと明日は喜劇になる!
2020年5月2日
#家族はつらいよ2 鑑賞
今回のお話は、高齢者の運転、高齢者の仕事、孤独死・・・・・
悲しすぎるテーマをコメディで描いてます。
最近の #山田洋次 ファミリー総出演の映画
#林家こぶ平 さんが出てるとコメディ色が強くなりすぎる気がする。
昭和が好きな方にオススメの映画です。
切り離すしかなかったんだよ、きっと
映画「家族はつらいよ2」(山田洋次監督)から。
高齢者の事故が目立ってきた頃だろうか。
高齢者の「免許返納」という、タイムリーな話題で、
家族ならではの「不協和音」が、いい音を響かせている。
もちろん「熟年離婚」の話題も燻り続けていた。
蒼井優さん演ずる、次男の嫁の両親も離婚していて、
夫役の妻夫木聡さんが、歩きながらこう尋ねる。
「(君の両親は)もう一度やり直せないかのか?」
それに対して、キッパリとこう答えた。
「無理ね、きちんと結んであった糸がほぐれたなら、
もう一度結び合わせることもできるかもしれないけど、
お父さんとお母さんの場合は複雑に絡み合ってしまって
切り離すしかなかったんだよ、きっと」
離婚って、そういう解釈ができるのか・・と、
妙に納得してしまった自分がいた。
「子どものために」とか「一度は愛し合ったんでしょ?」
そんな台詞を、思いっきり吹き飛ばしてしまうくらい
分かりやすい説明だった。
「夫婦」という糸が、どう結ばれていたか、
中島みゆきさんの「糸」を思い出さずにはいられなかった。
無理やりほぐそうとすると、余計に絡まるんだよなぁ。
【世の時勢を織り込みつつ、市井の人々を優しい眼差しで見つめ、品のある喜劇に仕立て上げる山田洋次監督の慧眼冴え渡る】
山田洋次監督は齢、80歳を超えているとは到底思えない程、外見も思考力もお若い。
現役で映画をバリバリ製作されており、しかもどの作品も高いレベルで喜劇要素を纏わせながら、強いメッセージを世に発信しているのだから、恐れ入る。
山田監督の半分強しか生きていない私などは、マダマダだなあ、と監督作品を鑑賞する度に思う。
さて、今作だが「東京家族」に出演した8人の俳優さんたちが再々集合している。
テーマは平田周造(橋爪功)が度々車をぶつける事から発する免許返納問題から始まり、
平田が、旧友丸太君(小林稔侍)が交通整理をする姿を見て(零落した姿として描かれている)十数年振りに呑みに行き我が家に泊めるが、丸太君が急死してしまい・・。
と、近年社会現象になっている諸問題を喜劇に仕立てながら、世に問う物語。
鑑賞中は場面場面でくすりと笑い、時に、我が身の周りに起こっている事を思い出ししんみりし、”うーん、矢張り山田監督の作品はいいなあ”と思いながら劇場を後にする事が出来る・・・。
今作もそのような良き作品である。
<2017年5月30日 劇場にて鑑賞>
高齢者の免許証返納の話題
自分は大丈夫だと思っていても、車の傷は日に日に増えるばかりの周造(橋爪功)。愛車はマークⅡで18年も乗っている。長男である幸之助(西村雅彦)は周造と小料理屋のかよ(風吹ジュン)と歩いてる所に出くわしたのをきっかけに免許証返納するように訴えるが、簡単に却下。長女の金井成子(中嶋朋子)や次男の庄太(妻夫木聡)にも頼んで返納させようと画策。そして家族会議へと発展するわけだ。
一方の周造はおかまいなしで自家用車を運転。偶然出会った交通誘導員が20数年も音信不通だった同級生の丸田(小林稔侍)だとわかり、有志を集めて同窓会を開く。昔はモテて美人と結婚するもバブルがはじけて以来、離婚、一人暮らしという生活だと言う。意気投合した周造は彼を自宅に泊めるのだが、翌日丸田が死んでいる現場を発見。家族会議のため来ていた庄太の妻・憲子(蒼井優)が看護師なので死亡を確認。とりあえず救急車を呼ぶ。すごくリアル・・・父親が死んだときを思い出してしまった。免許証返納もしかり。
前作よりもコメディの要素は少ないのかもしれない。しかし、今作では高齢ドライバーの免許証返納といった問題や高齢者の孤独死の問題が取り上げられている。憲子の母も離婚して以来一人で母親の介護をしていたり、丸田が自宅のアパートで孤独死するより、他人ではあるが暖かい家族の中で死亡した方が幸せだったのかもしれないことを訴えてくる。
映画ではタクシーに乗るシーンが3回登場するが、これもまた高齢者には運転してほしくない表れだろうか。
家族の大切さって意外と気づかないよね。
なぜか、シリーズ1と3は鑑賞済なのに、2だけ見逃していました…。
シリーズものですが、1作完結なので問題なく楽しめたのが嬉しい(^^)
今回はお父さんが中心の話。
年とともに車の運転技術が衰えた為、家族は運転免許を返上してほしいと懇願するのですが…。
お父さんはまだ自分は大丈夫だと過信して、免許を返すことなく車を乗り回すという破天荒ぶり…!?
誰のいうことも聞かずに、頑固に車を運転する姿は呆れ返る…。
家族のしつこいぐらいの説得に、嫌気がさしていたお父さんでしたが、ある日高校時代の同級生と再会したことがきっかけで考え方に変化が⁈
天涯孤独の同級生の寂しそうな姿と対照的に、お父さんの家は常に人が集まる大家族。
普段はうるさくてイライラする空間ですが、同級生のとある事件がきっかけとなって、家族の温かさを感じて再認識させられます。
でも、お父さんがあんなに車をボコボコにするような運転したら、自分だったらもう怖くて乗れないかも…。
安全運転大事です!
社会問題に斬り込む良質な喜劇!
"家族はつらいよ" シリーズ第2作。
レンタルDVDで鑑賞。
ノベライズは未読です。
前作公開から1年後と云う昨今の映画業界での続編スパンを考えるとかなり早い公開となりました。個人的にはなんだか嬉しい。古き良きプログラム・ピクチャーみたいだから。
深刻な社会問題を喜劇にしてしまおうと言うのだから、山田洋次監督のチャレンジングな精神、恐れ入る。隙無く、きちんとコメディーに落とし込んでいるから脱帽です。
高齢者を中心にした社会問題ですが、平田家の若者たちも巻き込みながら一緒に問題に向き合っていました。「本来こうあるべきでは?」と社会の在り方を問うているな、と…
人の死を扱いながら盛大にボケる西村まさ彦など、笑いに振り切っていながら問題定義を成立させているのが秀逸だなと思いました。大いに笑い、大いに考えさせられました。
[余談]
家族会議で鰻重を頼むと何かが起こる平田家。
シリーズの鉄板ネタになりそうです(笑)。
※以降の鑑賞記録
2018/03/04:レンタルDVD
※修正(2023/04/19)
笑えるけれど、笑えない
人間性を封印すると楽しめるけど、人としての矜持を保ちたいと思うと嫌悪感が出てくる。そんな映画はこの映画で2作目。
1作目は『キングスマン』
でも、まあ、『キングスマン』は思春期妄想ムービー。カトゥーン風の映像を実写でできるかとチャレンジした映画。SFというか、あくまで作り物の世界の話として、現実と切り離したところで鑑賞できる。
でも、今作『家族はつらいよ2』は、あくまで現実に根差した物語。
典型的なしょーもないエピソードを凝縮することで、”演劇舞台”の中でのドタバタと割り切れはする。
でもね。基本、現実の生活がベースの作品で、加害・被害が絡む身近な問題を扱っていて、絵空事にしきれないだけに、ムカついてくる。
高齢者の免許。映画で描かれているような運転する人に付与していていいのかと本気で怒りが沸き上がる。
”高齢者”であることが問題なんじゃない。あんな運転をしている自分を客観視して、周りの人々のことを考える現実的な対処・決断ができないところが問題、心が幼児化している。ジャイアンだ。亀の甲より年の功と言われる、高齢者だからこそもてるはずの円熟さと叡智(カッコよさ)なんてものはない。
東京都の交通ルール順守を促すポスターが、子どもむけのものから、高齢者向けのものになったのはいつからだろう。
運動会でも、写真を撮ることに夢中になって、子どもが走るレーンにまで出てくる高齢者。子どもがぶつかったらどうするんだ。注意したら「孫の写真を撮れなかったらどうするんだ」と逆ギレされた。
子どもよりも、たち悪く子ども化した高齢者。馬鹿さを若さと勘違いしている人々。これを笑えって、自虐ネタ?
孤独死についても不満。あれ?1作目と設定が違うという戸惑いはさておき。
自分の葬式に参列してほしい人って誰だろう。私だったら、友人の家族より、同級生。亡くなる直前の”励ます会”に参加した人になんで連絡取らないのか?それで誰も参列してくれなかったら、自分の家族に頼むのじゃないか?
私とポイントがずれている。”人”の生きざまが適当にあしらわれている。そして、最後の銀杏の場面にはげんなりさせられた。あれが、ギャグなのか?小学生はああいう発想大好きだけれどね。
でも、老々介護についてだけは良かった。ぽっと心に灯りがともったようだ。
周造を頂点とする家族の面々は、前作よりこなれてきた。
嫌な役回りを次々に押し付ける様なんか、あるある感満載で、苦笑しつつ爆笑。肩の力が抜けて、老夫婦・長男・長男の嫁・長女・長女の婿・末っ子・末っ子の嫁・孫もある意味典型的なんだけど、それをさらっと演じてくれる。現役貫きたい老人に対して、いつの間にかそっくりになってきた長男とのボス猿世代間交代もさりげなくさらっと描かれ、笑える。
この辺りはうまいなあと唸る。演者の力とともに、脚本・演出の力だろう。何度もリハーサルを繰り返すという。役者も実力を丹念に発揮できて役者冥利につきるんだろうな。
相変わらず、無理に笑わそうとする箇所もあるが、演出過剰で笑えなかった前作に比べて、素直に笑える場面が満載。
演劇としての質は高い。
それでも、鑑賞後、気持ちよくはなれない。
”家族”をテーマにしており、ドタバタを描いているが、家族間の関係性を深めない。周りの社会的なネタを持ち出して、話が進む。
孤独死と離婚した家族、三世代家族を比較して、家族のありがたさを描いているつもりなのか。庄太夫婦が、どういう家族を作っていくのだろうとか、幸之助家族の子どもたちが大きくなるにつれ、どういう展開になるのだろうという興味はある。でも、私から見ると、長男の嫁があまりにも損な立場になっていてかつ報われないから、あの家族の中に入っていく気はない。あくまでご近所さんとして見守るだけだ。
加えて、上記のように、世間で話題になっているネタを織り交ぜるが、上から目線。外側から見たネタを、外側から撮っている。丸田という人の生きざまが描かれるわけではなく、同情してやっているという目線。こうしてやったら喜ぶはずだという押し付け援助。ムカつく。”下流老人””路上生活者”だって、一人ひとりの生きざまがある。終わりの迎え方の希望だって一人ひとり違う。なのに、こうであろうと傍観者が考えている典型例として登場させて死なしてしまった。
これで、社会問題を扱っているつもりなのか。
と、文句ばかり書いているが、
『幸福の黄色いハンカチ』『武士の一分』『小さいおうち』等は好き。橋爪さん他、好きな役者さんもたくさん出演されているし。だから、つい、今度はおもしろいんじゃなかろうかと期待して観てしまう。
「今度こそ」と。
山田洋次監督らしさ全開
1を観たから2も観ておこうかな、くらいの感覚で。
高齢者だから、運転免許を取り上げるだとか…同級生の死だとか…
まさにおばあちゃん達と話してる時の話題と感覚。笑
観終わった感想は1と同じかな。
自分が死ぬ時はどうなんだろう?とかすごく考えた。孤独死はダメなのかな?
『東京家族』から始まったシリーズの3作目で、『家族はつらいよ』の続編。
前作のラストがよくないと書いたけれど、こうやって続いていくことを考えたらあれでよかったのかもしれない。
内容的には、ところどころで笑を入れて観客を楽しませながら、社会問題や、現代の家族の問題をいろいろ入れて考えさせるところが素晴らしい。
最初は平田周造役の橋爪さんに感情移入していて、蒼井さんみたいな嫁がいたらいいな、とか免許がなくなったらたいへんだとか考えていたけれど、丸田吟平役の小林さんが登場してからは小林さんに感情移入した。
演出もそんな感じの流れになっていた。
そうすると自分が死ぬ時どうなんだろう?とかすごく考えた。
よく世間では孤独死はダメだというけれど、死ぬ時は一人なんだし、逆に周りに人がいるとかえってうざいような気がしなくもないので、個人的には別にかまわないような気がする。
実際に死ぬとなったらすごく怖くなるのかもしれないけれど、今のところたいしていい思いもしてしないし、これからもないような気がするので、死ぬこと自体はあまり怖くないけれど、それに付随する諸々が怖い。
できれば人に迷惑をかけないよう、恥をかかないよう(死んでしまうのだからどうでもいいような気もするが・・・?)にはしたい。
けれどもいつ死ぬかわからないしどうやって死ぬのかもわからないので、ある程度迷惑かけるのはお互い様という気がする。
この映画の丸田の死に方は、すごく唐突でかわいそうみたいな演出にはなっているけれども、別にかわいそうだとは思わなかった。
痛かったり苦しんだりしてもいないようだし、ある意味理想的な死に方でうらやましいくらいだった。
でも、孤独死はしかたないとしても、なんでもかんでも自己責任で、結果的に孤独死に追い込まれて、遺体の引き取りてもいないような社会システムや考え方はよくないと思う。
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