「原作がなぜ売れているか理解して作って欲しい」斉木楠雄のΨ難 れいさんの映画レビュー(感想・評価)
原作がなぜ売れているか理解して作って欲しい
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この監督は、斉木楠雄の原作がなぜ読者に受け入れられているのかまったく理解しないと感じた。原作があるものを映画として撮るのであれば、最低限原作の良さは理解して作って欲しい。見た目が似ているかどうかなんかでなく。
中身に言及すると、まず斉木が喋ってる。映画でモノローグはそこまで難しくないのでは?さらに燃堂はただの気怠げな大人でキャラがまったく生かされていないし、そもそもアホだけれど母親の誕生日を祝うためにバイトしてみたり、根っこの部分の人間味がまったくない。
海藤も人前で堂々と厨二なんではなく、ある程度の恥じらいを持ってかっこつけて書いたノートを母親に見られて赤面したり、自分がボコられそうになっても先に逃げた斉木の無事を喜べるいい子なのに、これじゃただのぶっとんだやつでしかない。
他のキャラクターも然り。うわべなぞって面白いでしょ?こういう話なんでしょ?という作品に思えた。映画と漫画で媒体は違えどもリスペクトする気持ちをまったく映画から読み取れなかった。
少なくとも斉木の漫画ファンはただキャラが濃い面々に笑っているだけではない。こういうやつっているよね、を少し煮詰めて濃くしたキャラクターたちが、ギャグだけではない人間らしい行動をしているところに親近感や好ましさを覚えているのでは?勿論、漫画の読み方はそれぞれではあるけれど…。
30分は我慢して視聴したが、観るに耐えずそれ以上は見ていない。学園祭の話だが、まさに学園祭の演劇部をみているような気持ちでいっぱいな映画であった。
キャラ一人一人つっこみどころがありすぎて書ききれないが、照橋さんはあんな嫌な女の子じゃないし、自分がどう見られているのか、どれだけ注目されているかも知っているから自分より劣るとかんじているひとを持ち上げるような嫌味なことはしない。
原作が好きなので、あまりの読み込みの浅さにがっかりした映画であった。
★は制服などの衣装、見た目の再現度の高さに。メイクさんや衣装さんはすごい。ポスターがMax。演技はそれぞれ身体張ってるとは感じたし、どうしようもないのかもしれないが原作を無視したキャラ作りからは監督、脚本同様原作へのリスペクトが一切感じられなかった。原作読まないのか?読んでそれなのか?